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slightly distorted・・・iron [close to you <art編>]

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〜鉄の歪みを利用した家具。
椅子は座ると脚が少しだけ歪んで床を掴みます。
テーブルは天板が天然木のため、温度湿度によって動きますが、
脚が歪んで床と離れないよう自然に調整されます。

IMG_9123.jpg〜2023年3月に設置した札幌の藻岩山展望台のモニュメント。 札幌市政100周年記念事業。
IMG_9124.jpg〜2023年9月に設置した北海道苫小牧工業高等学校のモニュメント。 開校100周年事業。

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〜地元苫小牧市立樽前小学校の新校舎建設中。
新校舎に旧校舎の凸凹を利用したモニュメントを作ります。
水場の排水溝に粘土を押し付けます。
色々な凸凹を写しとって、
これからタイルに仕上げます。
新校舎の校章を出来上がったタイルで作ります。

鉄のイメージは?
硬い、錆びる、頑丈、
でも細くすると弾力が出るのです。例えば針金。針金ほど細くなく板状でもない、わずかに歪む鉄が彼の中での課題。

自ら制作活動をおこなう他に、去年から北海道大学 文学院の中の文化人類学研究室 大学院生となり、札幌市立大学デザイン学部で常勤講師も始めたのです。
「時間がとにかくないです。制作する数は全然減っていないので、ある意味、時間の使い方が上手になったかな?」なんて。
人の暮らし、生命に関連する作品を作り始めた頃から、文化人類学には興味を覚えていた・・・と今振り返ると思うそうです。
文化人類学の歴史的流れと現代の文化人類学はどう変容しているのかを勉強しているそう。「すごく変わった学問なんですよ。大きく変わってきている学問です。人類も価値観も変わっているので。理系からすると非常に不思議な学問ですね。」
制作している作品は公共のものが続いているそうです。大きなモニュメントを作ったり、地元小学校の新築に設計段階から関わっているそう。サインの総合計画、外観等。環境の中にアートをどう入れるか等・・・ある意味、レオ氏にとっての集大成的なものになるのでは?と感じました。

「鉄って非常に丈夫だけど弾力性があるんですよ。その弾力性だけで造形ができないだろうか・・・それも自然の力とか、素材の特性とか、それを生かした造形を探している感じです。」
鉄以外にも様々な金属も使われますが、多いのが鉄。「弾力性が面白いですね。」
「鉄固いですよね。ただ、針金は柔らかいじゃないですか。簡単にいうと細くなると弾力性がよりわかりやすい。針金ほど柔らかいと構造的に強度が出ない。
もう少し太い針金だったらどうか・・というところなんですよ。そうすると、針金ほど曲がらないけれど、体重をかけると少しゆがむ・・等そのようなことが起こるのです。荷重がかかった時にわずかにゆがむ・・その辺を狙っているんです。その時の弾力性とそれ以上曲がらないという強度のあたりを狙って家具を作ってみたり、その弾力を生かした造形を探したりすることが非常に面白いのです。」
※尚、写真は藤沢レオ氏からお借りしました。

2024.0228 O.A 釧路労災病院 緩和ケア内科 小田浩之氏 [close to you <dr.編>]

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釧路にいらして4年半ほど。緩和ケア病棟を小笠原院長代理とともに立ち上げ、ホスピタルアートにも力を入れていらっしゃいました。
このほど労災病院を退職することになり、あらためてですが、緩和ケアについてお話しを伺いました。
釧路労災病院が緩和ケア病棟<れぽふる>で取り組もうとなさってきたことは大きく3つ。
一つは入院期間が長くなっても追い出さない。何かあったらいつでも戻ってくることができる。療養型の病院への転院はさせない。治療が必要であればいつまでいても良い。体調が落ち着き、自宅や施設に戻っても何かあったら365日24時間いつでもベッドを用意する。ターミナル(終着駅)ではなく、ガソリンスタンド。
二つ目は、入院が必要ながん患者さんなら誰でも受け入れる。労災病院にかかっている患者さんでなくても、まだがん治療の半ばの患者さんであっても、痛みや気持ちの辛さなど、入院加療を通じてできることがあれば、できる限り受け入れる。(ただし、ホテル代わり、施設代わりではなく、あくまで病気で入院が必要な場合)
そして、三つ目は、「ありがとう」と言える関係をつくる。実際に運営していくうちにそう感じたとおっしゃっていました。症状が重くなって人の手を借りなければならない状況になっても、「迷惑だから」「こんな風になっては生きている意味がない」ではなく、手を貸す側も借りる側も「お互いさま」「ありがとう」と言い合える平等な立場での治療・療養にあたる。
緩和ケア病棟<れぽふる>の特色は・・・リハビリテーションを全患者で実施したそう。これは専用リハピリスペースは全国でも珍しいそうです。
また、口腔ケアを全患者で実施。そして、ホスピタルアートの実施などがあげられます・。
どの業界でも人材不足が叫ばれますが、緩和ケアの世界も同じとのこと。
北海道の現状としては、日本緩和医療学会専門医・認定医の数は、全国で1367名、うち北海道は54名。
北海道専門医・認定医の所属ですが、がん診療連携拠点病院 8/21施設(専門には3人のみ)緩和ケア病棟 14/25施設。
最近は緩和医療の専門医が育っていないのが現状とのこと。道東緩和ケア人材不足の深刻化には、そもそも全道的な緩和医療医の不足と高齢化があるそうです。
他の業界の人材不足と同じです。「多分、それぞれの病院で、道内の緩和ケア医を取り合っても解決策にはならないと思います。育てることを考える、あるいは人材がいなくても回るシステムを考える時期なのだと思います。」
さて、10月12日&13日に札幌コンベンションセンターで「第47回日本 死の臨床研究会 年次大会」が開催されます。こちらに関わっていらっしゃる小田氏。学会ではないので、一般の方も参加し、いろいろな話を聞いたり、お話ししたりできるそうです。ホスピタルアートもなさるそうです。
テーマは<つらさやかなしさを持つ人々と共に歩む>近くなりましたら、またお話しを伺うことを約束し今回の結びとなりました。