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2023.0202 O.A BAND [chord 5]

・Scatterbrain / JEFF BECK
・Cause We've Ended As Lovers / JEFF BECK
・Come Dancing / JEFF BECK
・Sophie / JEFF BECK
~今回はバンド編です。JEFF BECK 特集です。
出演は、河口氏&midoriでお送りします。

オゾンホール発見の歴史(中山 雅茂編) [fun science]

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オゾンホール発見の歴史について。「南極オゾン層が2066年頃までに回復する予測」というニュースがありました。
1980年代、当時は廃棄される冷蔵庫やエアコンで使われていたフロンガスが、ほとんど回収されずにいました。ヘアムースや塗料、殺虫剤など、様々なスプレー缶の噴射剤として、フロンガスが使われていました。現在は法律でフロンガスの使用が規制されているので違うものになっていますが、当時は化学的に安定で液化しやすく人体に毒性が無いという多くの利点で、様々なものに利用されていたのです。現在ではオゾン層の破壊だけでなく二酸化炭素と同じく地球温暖化を加速させるガスであることも知られています。その温室効果はフロンガスの種類にもよるのですが、二酸化炭素の数百倍から1万倍以上と非常に大きいのです。
「オゾン層が破壊され、その現象として確認されるオゾンホールですが、その発見の歴史が結構面白いのです。」と中山氏。
南極の上空に、南極の春(9月〜10月頃)にオゾンホールが現れます。南極大陸上空のオゾン層がとても薄くなる現象。
インターネットで「オゾンホール 発見」というキーワードで検索すると「日本の気象研究所の研究者が発見した」と紹介されている場合と、「イギリスの南極調査所の
大気物理学者たち」と紹介されてる場合の二つ、もしくは、「日本とイギリスの研究者達によって」と紹介されているそうです。
イギリスと日本どちらが先?気になった中山氏さらに調べたそうです。1983年10月と12月に、気象研究所の忠鉢繁さんがご自身が1982年2月〜1983年1月に昭和基地で行った観測結果を発表。「9月下旬から10月中旬にかけてのオゾン全量は、220 DU前後と昭和基地では今まで観測されたことのない低い値を示している。」
220DUという値は、当時の観測記録の中ではとても低い値で、忠鉢さんが次のように話されています。
「驚いたというより誤観測じゃないかと不安でしょうがありませんでしたよ。」この言葉からも当時、貴重な観測、地球の変化をとらえた時であったことが感じられます。
一方、イギリスの研究者たちですが、1985年5月にネイチャーという雑誌でイギリスの南極調査所が運営するハレー湾観測所での観測結果をもとに発表したのが最初。
原稿自体は1984年12月24日付け、雑誌社が原稿を受しています。国際的な総合科学雑誌ですので、この発表に世界中の研究者が注目したのでは?と。
では、オゾンホールを発見したのはどちらなのでしょう?日本もイギリスもそれぞれの観測地点の上空のオゾン層が薄くなっていることをとらえています。
でも、南極大陸がすっぽり見えるような広がりで、南極大陸の上空のオゾン層が減っている状態をとらえているわけではないのです。
実は、日本とイギリスの研究者たちが観測結果を発表している時、まさに同じ時に、人工衛星はその姿、南極大陸上空のオゾン層が減っている姿をとらえていたのです。
しかし、コンピューターの処理速度が遅く、データを転送する方法も限られていたため、1984年半ばまで、データ処理は9ヶ月ほど遅れていたそうです。
1983年春の衛星データは1984年6月までNASAの中で処理されないままだったという記録が残っています。さらにこの衛星データの扱いについては話が続きます。
1984年6月になり、ようやく1983年9月〜10月のデータが処理され、この時の南極上空のオゾンの値が非常に低いことがわかります。ただ、人工衛星としての設計寿命があり、その設計上の寿命が1年間ですでにその期間を大きく過ぎていました。その為すぐに公開されなかったそう。衛星ではなく他の測定方法で計測された値と比較して
検証する作業が必要になったのです。この時、日本やイギリスのデータではなく、他の観測所のデータとの比較が行われ、観測所の値が衛星の値よりも約2倍も大きく、
衛星の値が異常だと扱われてしまいました。後に観測所の値が正しくない事が判明しています。
1985年、人工衛星で観測されたオゾンホールの画像が公開されるようになり、1986年8月にネイチャーという世界的な科学雑誌にも発表。
(参考:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1631071318301196#bib0045
衛星が観測した画像としてオゾンホールが世界に公表されると人々の受け止め方が急速に変わり、1987年9月16日「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール
議定書」が採択につながったといわれていると教えていただきました。

湖を研究する〜植物プランクトン4〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

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植物プランクトンシリーズ今回は、緑藻について。緑藻はその名のとおり緑色をした藻の仲間。クロロフィルという色素を持ち、太陽の光から青と赤の光を吸収して光合成しています。緑色の光は吸収されにくいので、緑色の見えるのです。
昆布やワカメなどの大型の緑藻を含めると、世界で約6,500種が確認されていて、日本では海水域に約300種、湖のような淡水域に約1,500種の、合計約1,800種が生育
すると言われているそう。金魚などの魚を飼っている水槽が緑色の藻に覆われることがありますよね。あれはたいてい緑藻のしわざ。
ちなみに、コケなどの陸上の植物の中には、一部の緑藻から進化したものがあるそうです。コケ類は最も古い陸上植物と考えられていて、今から約4億7000年前に化石が
見つかっています。陸上で生きていくためには乾燥に強くないといけないので、進化の過程で細胞壁が強くなったというわけ。そして、コケ類がシダ植物に進化し、
シダ植物がタネを作る植物、つまり種子植物に進化したのです。今から約3億年前の地球には大型のシダ類の大森林ができていたそうです。これらが地中に埋まって、
やがて石炭となり、いまの僕たちの生活を支えているのです。
さて、この緑藻は、他の植物プランクトンと比べて、私たちの生活の中に最も身近な植物プランクトン。皆さんのご自宅の引き出しの中にもあるかもしれません。
サプリメントで「クロレラ」って聞いたことありませんか?粉上のもの、錠剤のものがあると思いますが、「クロレラ」は緑藻の一種なのです。
自然界でも普通に生育していて、サプリ用のクロレラは人工的に培養し増やしたものから作られているようです。抹茶みたいな味がするそうですが、飲んだ事ありますか?
クロレラは、良質なタンパク質やビタミンB2、そして鉄などを含んでいるので、免疫力を高めたり、貧血予防として愛用されている方がいらっしゃるようです。
緑藻は陸上の植物と同じく細胞壁を持っていて、やや硬いので、サプリにする際は細胞壁がよく破壊されたものの方が体によく吸収されるそうです。
サプリだけではなく、ある種の緑藻が日本のエネルギー問題を救う可能性が指摘されているのですが、バイオエタノールって聞いたことがあるでしょうか?
バイオエタノールとは、植物からつくった石油の事。コストを無視すれば陸上植物からもバイオエタノールを作り出すことができ、代表的なものにパームやしがあります。
パームやしは熱帯の植物。ですから、日本では比較的増やしやすいと思われる植物プランクトンが、バイオエタノールの原料として期待されているのです。
そう考えると、シダ植物の祖先である緑藻もエネルギー源となる可能性が考えられるという事。
もちろん、緑藻だけでなくて他の植物プランクトンも研究されていて、バイオエタノールを作り出すのに最もコストが低いものを探しているのです。
ただ、現在の技術では、例えば日本の全エネルギー消費の1%を担うのに必要な植物プランクトンを増やすためには、宮城県の耕作面積(約13万ヘクタール)と同じ位の
場所が必要と試算されているそうです。それに加え、まだコストに見合うほど藻類から燃料を生産することができていないのが現状。
研究が進めば、将来、藻類から作られたディーゼル燃料をつかってドライブに行くなんてことができるかもしれません。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/5hk83zQFhKA5ruVR18TJpO