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pressed flowers that I recommend [close to you <art編>]

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各museumの学芸員の推しの植物の押し花を展示する企画展。
そもそも釧路市立博物館の加藤学芸員が立案し、道内の学芸員に声をかけたのがきっかけ。
釧路市立博物館では加藤氏推しの「ミヤマニガウリ」・・・・・・・10/15まで
浦幌町立博物館では持田氏推しの「エゾネコノメソウ」・・・・・・9/3まで
美幌博物館では城坂氏推しの「ハイキジムシロ」・・・・・・・・・10/9まで
札幌市博物館活動センターでは山崎氏推しの「クロヌマハリイ」・・9/2まで
北海道大学総合博物館では首藤氏推しの「ゴハリマツモ」・・・・・10/31まで
北海道博物館では水島氏推しの「ヒメニラ」・・・・・・・・・・・未定
どれも小さくて地味であまり目立たないものが多い感じ・・・。でも今まで何年も見つからなくて最近見つかったものや、北海道東部では初確認したもの等。
それぞれの学芸員の想いが詰まった展示と、加藤氏からお話しを伺っていて感じました。
植物を研究する人なら誰もが知っている牧野富太郎。明治期の日本には日本産の植物を網羅した図鑑や植物目録がありませんでした。
彼にとって「日本植物志」を出版することが目標。図の方が文章よりも早わかりすると思ったそうで、解説よりも先に図篇を出版したそうです。
彼の描く植物はとても緻密で繊細で、植物の解剖図みたいなものもあり、1枚の紙に全てが網羅されている素晴らしいもの。
現在、NHKで放送されている「らんまん」日本の植物学者・牧野富太郎をモデルとしています。
今回の企画展のサブタイトルが牧野富太郎と植物標本。この企画展をきっかけに植物標本という世界、分類学という世界に触れてみることも面白いと思います。
何より人間牧野富太郎に私は大変興味を覚えました。
(推し花の押し花は10/15まで釧路市立博物館で開催中です。)

2023.0823 O.A 釧路労災病院 院長代理 小笠原和宏氏 [close to you <dr.編>]

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以前、市立病院の森田院長と一緒に地域医療に関する講演会を聞く機会があったそう。大学の先生から、これから釧路地域がどうなっていくのか?つまり、人口構造が変わって行く・・高齢化がますます進むという話を聞き、それに対して医療がどう対応していくべきかという勉強をなさったそうです。お年寄りがかかりやすい病気がだんだん増えてくる。救急車で運ばれてくる人たちも高齢者独特の病気で運ばれてくる人が増えてくるだろうと。そのような方たちを急性期病院で治療して治したとします。ところが1週間以上寝ている状態にすると、帰ったとしても病気をする前よりも弱った状態、場合によっては寝たきりで家に帰れないといったことも起こってくると。病気をしたら救急車で病院に運ぶでは済まない状況がこれからどんどん増えてくるとおっしゃっていました。重要なのはまずは予防。病気になるのは仕方ないとしても、なるべくならないように。たとえなったとしても重症化しないように予防するのがこれからの時代大事だという話になっているそうです。講演なさった先生は国のお仕事をなさっていてほとんどの地域の状態をご存知の方、もちろん釧路のことも。さて、高齢者のかかりやすい病気とは?まず一番が誤嚥性肺炎。むせたりして口の中にある雑菌を肺の中に吸い込んで肺炎を起こしてしまう。ところがむせたことに気がつかない方がたくさんいらっしゃるそう。神経の反射も筋肉も弱くなる、これが老化現象というものなのかもしれないそうですが・・・。口の中のプラークが菌の温床になったりするので、口腔内を綺麗にする。これが大事。その2は脳卒中。脳血管障害。多いのは脳梗塞。血液サラサラにする薬は外科医にとっては天敵みたいなもの。実はある程度の年になってから実践してもなかなか難しいそう。若い時の生活習慣がとても重要。まずは禁煙。そして過剰なカロリーを摂取して血液中のあぶらをギトギトにしないこと。このような注意を30代、40代の時から続けていることにより60、70、80になった時に綺麗な血管を維持できると言われているそう。その3は心臓病。血管が詰まる心筋梗塞もあるが、心不全という筋肉の力がだんだん落ちて、普通の道を歩くのでも息が切れてしまう・・という状況になると、生きてはいるが、行きたいところに自分の足で歩いていけない、普通にお家の中で生活ができないという状態になってしまう。この予備軍がたくさんいると。「外来に通ってらっしゃる患者からよく耳にするのが、ピンピンコロリという言葉。このコロリというのがそう簡単ではないと思うのです。やはり救急車に乗ると周りは何がなんでも助けるという状況になる。そうするとコロリといかせてもらえないんですよ。もしかするとコロリと逝くというのは意外と幻想かもしれませんよ。現代社会では」ピンピンコロリという概念はあっても言葉が一人歩きしているかも。だからこそ普段から話し合っておくことが必要なんですよ。」自分がこう生きたい、こうしたいという最後の答えは私はこういう死に方をしたいになるのかもしれない・・・と最後におっしゃっていました。

関東大震災から100年(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1日本海中部地震震源域の海底で見つかった亀裂.jpg写真2北海道南西沖地震震源域の海底で見つかった亀裂.jpg写真3相模湾東京海底谷でみつかった段差.jpg写真4相模湾初島沖の化学合成生物.jpg写真5海底ケーブルを使った地震津波の観測網 .JPG
今年は大正時代に起きた関東大震災から100年。今回は関東大震災にからめ、ここで紹介してきた地震観測について振り返りながらの展開。
関東大震災、発生したのは9月1日、11時58分。相模湾にある相模トラフが震源。震源域は神奈川県西部から千葉県の房総半島にかけての広い範囲。
この関東大震災では10万5千人の方が亡くなりました。うち9割弱が火災による死者、亡くなられた方は東京で7万人、神奈川は3万3千人。
関東大震災はプレート境界に関連した地震で、海溝型地震、つまり東日本大震災や南海トラフで起きる巨大地震、北海道南西沖地震や日本海中部地震、十勝沖地震と同じタイプの地震。この地震は繰り返し発生することがわかっているそう。繰り返し発生する巨大地震を震源近くの海底で観測し、発生に備えることを目的として、北海道沖の千島海溝から日本海溝、南海トラフでは海底ケーブルを活用した地震津波の観測網が構築されています。特に南海トラフの地震津波観測監視システムDONETはJAMSTECで開発したシステムで完成後、防災科学技術研究所が運用・管理。海底ケーブルを利用した観測網は、海で大きな地震が発生した時に、震源に近い沖合で陸よりも早く地震を検知して緊急地震速報に使われたり、あるいは強い揺れが来る前に新幹線を停止させたりと、少しでも被害を減らすために活用されています。
東日本大震災の後、地震予知は不可能と言われたように、何時何分にどの場所でどのような規模の地震が起きるかという確度の高い予測は現在の科学技術では不可能と言われているそうです。「ただ、予知はできないかもしれませんが、私たちが今取り組んでいるのは、地球内部の特に地殻と呼ばれている地震の発生する場所で起きている変動現象を正確に把握すること。このため、海底に基準点を作ってその場所の上下動を含めた変位や、海底を掘削し、その孔に地殻変動を観測するためのひずみ計や傾斜計などの観測装置を入れ、より震源に近い場所で地殻変動を観測するシステム開発や構築、ここ数年は新たな手法として光ファイバをセンサーとして活用する技術開発と実装に取り組んでいます。さらに、過去に発生した地震の履歴調査として、昔の地震に関する文献を調べて発生した地震の規模を調べたり、深海の海底堆積物から地震の痕跡を調べたりしています。」
海底の地殻がどの様になっているのか内部の構造を正確に把握する為に船から音波を出し、その音波の海底下の地層からの反射を調べる事で海底下の構造を正確に把握する調査も行っているそう。今年6月、海底広域研究船「かいめい」で日本海溝の北部の構造調査を実施。様々な手法で得られた調査結果や海底のリアルタイム観測でとらえた変動が、地殻の中でどの様に推移していくか複数のモデルを考えてスパコンを使って予測するという研究も行っているのです。いわゆる現状把握と推移予測。
特に現状把握については、紀伊半島沖の南海トラフで、地球深部探査船「ちきゅう」を使って海底を掘削し、その掘削孔に観測装置を入れ、海底の観測網DONETに接続して海底下の微小な変動のリアルタイム観測。この様な掘削孔を使ったリアルタイム観測を行っているのは日本だけだそう。
この海底下の観測により、「ゆっくりすべり」と呼ばれる揺れを伴わない地震をより正確に把握することができるようになるのだとか。「ゆっくりすべり」は岩盤がゆっくりと動くのため地震のような揺れが発生しません。でも、この時に通常の地震と同じ様に海底にたまっていた歪が解放されることがわかっているとおっしゃっていました。その場所で歪が解放された分、周辺では歪が蓄積し大きな地震につながる可能性があるので、「ゆっくりすべり」のような地殻変動も正確に把握する必要があるのです。「今まで観測が難しかった地殻変動を部分的ですがとらえることで、現状把握の高度化を目指しているのですが、これにより推移予測の精度があがると考えられているのです。制度上、JAMSTECから予報をだすことはできないのですが、将来的には、天気予報の降水確率のような情報発信を目指して、観測システムの開発・構築に取り組んでいます。」
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真上(左)は日本海中部地震震源域の海底で見つかった亀裂(男鹿半島沖、水深約3300m、「しんかい6500」により撮影)
・写真上(真ん中)は 北海道南西沖地震震源域の海底で見つかった亀裂(奥尻島沖、水深約2800m、「しんかい6500」により撮影)
・写真上(右)は相模湾東京海底谷でみつかった段差(水深約1000m、無人探査機「ハイパードルフィン」により撮影、関東大震災との関連は不明)
・写真下(左)は相模湾初島沖の化学合成生物(水深約1200m、断層から染み出す硫化水素をエネルギーとする生物 手前の赤いのはチューブワーム)
・写真下(右)は海底ケーブルを使った地震津波の観測網(BlueEarth166, p20)
詳細情報:https://www.mowlas.bosai.go.jp/mowlas/
長期孔内観測の参考URL:https://www.jamstec.go.jp/chikyu/j/outreach/portfolio/resources/posters/pdf/3-6_a-22_nankai-ltbms.pdf

2023.0818 O.A 「フィルムカメラ処分しました。」 [varied stories]

逸見光寿さん(写真家)
https://coju.info/

今回はずっと愛用してきたフィルムカメラを手放したというお話し。「昔は中判のフィルムカメラをメインで使っていたのですが、もう何年も使っていないので・・・思い切りました。なんといっても防湿庫がパンパンになって困っていたのです。」
実は釧路で買取業者さんによる無料査定会があることを新聞広告で見つけ、決意したそうです。
準備段階では、売りたい機材をリスト化。そして大手の買取業者買取価格等で相場をチェックし、おおよその金額を把握。それから機材をダンボールへ。
正確な点数はわからないそうですが、ダンボール2箱分くらいの機材を持っていったそうです。
ハッセルブラッド、マミヤ、キャノン、ニコン、オリンパス、リコー、シグマ、フジ、ペンタックス、ゴッセン・・・。
「結構な数の人が来ていて、整理券をもらって順番を待ちました。そこには二人の担当者がいて、順番がくると機材をメーカーごとに並べ、ハッセルやマミヤといった大物から査定が始まりました。カメラは電池を入れて動作を確認し、レンズはペンライトを当てカビやチリ等を入念にチェックしていました。」
マミヤ6が2台もありびっくりされたそうです。普通はレンズにカビが生えているのが多いそうで、逸見氏のカメラはどれも状態が良いと言われたそうです。
逸見氏が思っていたものとその価格が剥離していたものも結構あったそう。安いレンズはまとめて500円とか、カール・ツァイスの銘玉が当時からは考えられない安値だったり・・・。「思い入れのあるカメラを処分するのは気が重かったのですが、処分してみると気持ちが軽くなりました。」と。
今回の写真は思い入れの強いマミヤ6で撮影したもの。マミヤ6は中判カメラなのに、軽量コンパクトで沈胴。沈胴とはカメラの電源を入れると、ボディーの内部に収められたレンズが繰り出してくる方式。カメラを使用しないときの収納性・携帯性に優れ、レンズの保護に役立つそう。このカメラで世界中を旅したそうです。
「マミヤ6で初めて撮った作品です。静岡の三保の松原。海岸にカップルがいたので声をかけて快諾してもらって撮りました。シャッターを切ろうとしたら、彼女が彼にもたれかかってくれて、それがまた最高の図になったと思っています。」
※写真は逸見光寿氏からお借りしました。
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2023.0817 O.A 邦楽(TVドラマ、番組テーマetc.特集) [chord 5]

・I'm Here / 小比類巻かほる
・何も言えなくて…夏 / J-WALK
・Dear My Friend / Every Little Thing
・BEAT / 河村隆一
・いつまでも変わらぬ愛を / 織田哲郎
~今回は80~90年代CM・ドラマソング特集です。
曲のセレクトはもちろん斎藤氏。出演は斎藤氏とmidoriでお送りします。

化石探検〜縫別(ノジュール)編(境 智洋編) [fun science]

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道東化石マップの実地探検、第三弾。今回も縫別方面が続きます。それだけ魅力的な場所なのです。
茶路累層の場所。これは釧路では見ることができない地層です。
比較的新しい地層。・・と新しいと言っても今から3600万年くらい前の地層です。
場所といえば・・川のそば。その崖からノジュールが顔を出しています。
海岸線で見かけたノジュールよりも大きめ。おにぎりくらいの大きさです。それよりも大きなものも。
早速割ってみました。すると、シジミみたいな2枚貝の化石が顔を出しました。
続いては・・・?と思いきや植物っぽい何かが核になっているみたいです。
他にも何個かノジュールを見つけ、割ってみました。(割ったのは境氏ですが)
海岸線で見つけた時は、何も入っていないと思われるものが多かったのですが、ここでは入っている確率は海岸よりも高いかもしれません。
それにしても山の奥地、綺麗な川が流れるそこに貝化石が入っているノジュールが現れるとは・・・
今回も本当に不思議な気分です。そして、この川には黒い石炭が川底に模様のように見えました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/25xbvAmeqNC3IBs2gq2V01

人と動物をつなぐ・・・(笹森 琴絵編) [nature treasure]

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今日は室蘭市主催の市民体験ウォッチングツアーのお話を。
今年30周年のこの事業、船にのらなければ見ることのできない室蘭の別の顔を市民の皆さんに知ってもらい、魅力を知ってもらうことで好きになってほしい。そして、好きになったら、たくさん外に向けて宣伝してね、そんな主旨で市民や学生を対象に行われているものです。観察対象は外海から見る室蘭の美しい断崖絶壁と海の生き物などなど、室蘭のシーサイドを丸ごと。
笹森氏は、ガイドと事前の講演担当で、四半世紀ほど関わっていらっしゃいます。25年の間には、毎年一校ずつ小学生を対象にしたり、市民の親子連れ、あるいは留学生や市内の大学生たちなど、様々に変わってきたそう。それに同行することで、市民が自分の町の宝物の存在を知って驚く様子や、海と地域の方をつなぐ現場を支えた方々の姿や願いなどをつぶさにみてきたのです。
これほど長く事業が続いた背景には、市役所の担当者の方たちの熱意や市民の皆さんの高い関心度、その受け皿となるウォッチング運航会社の協力など、あらゆる実施環境が整っていたこと。そして、いうまでもなくカマイルカの存在。そもそもこの事業が始まるきっかけもは彼らが噴火湾に毎年やって来るとわかったからだったと笹森氏。海の食物連鎖の頂点にいるイルカが長い間、変わらずに来遊するということは、少なくともこの期間は生態系が維持されてきた証。
室蘭以外にも、銚子、愛知、高知、長崎、沖縄など全国各地と・・・
北方四島の子供たちとも関わってきました。そして、釧路でも10年間、さかまた組として市民ツアーを実施。
「現在、水温変動や海ゴミ問題、海洋汚染など、人間活動によって海が大きく変わろうとしているのは、ご存知の通り。自然界を脅かし、巡り巡って私たちの生活をも脅かすようになった、この負の連鎖を断ち切るには、海の豊かさとそれを培う生物との共生の道を探ることが何より大切。そのための第一歩となりうる地元民のためのネイチャーツアーは、これからますます重要な役割を果たすようになるはずです。私たち人間の隣で生きる彼らの姿を自身の目で確認し、自分たちはイルカ、シャチと共に生きていることを実感してほしい。この経験は、楽しいだけでなく、学ぶことも多く、また人生観や価値観が広がったり、あるいは変わったりと、人生に関わる経験になる方も多いはずです。いつかぜひ同様の事業が釧路市あるいは市民の皆さんの中から立ち上がり、安定して実施される時が来るといいなと願っています。」
※写真は笹森琴絵氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/21Q0QnNscw4qtrQp4qmgMm

barbizon school world [close to you <art編>]

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IMG_7681.jpg落ち着いた雰囲気が漂います。
自然の中にとけ込んだみたいな感覚に陥ります。
バルビゾン派とは1830年ごろからフランスのバルビゾン村に現れた「イーゼルにキャンバスを入れて風景画や風俗画を描く」人たち。
また、それは各人それぞれの性向や画風によって多様な方向が展開されたそうです。
ただ、フォンテンブローの自然、その場で描くという自然主義の姿勢が共通点。
それが、ロマン主義から印象主義へと移行する時代の自然主義への動向を形成したといえるかもしれません。
主要なメンバーは、ミレー、コロー、デュプレ、ドービニー、ドゥフォー等々。
展示されている作品はなんとなく、釧路湿原の風景を彷彿とさせるものがあり、親近感を覚えます。
ミレーの「落穂ひろい」や「耕す人」の版画は人々の逞しさ、生き生きとした感じが伝わってきます。
落ち着いた空間の中でじっくりと鑑賞するにはとても良い機会だと思います。
(田園の夢 帯広美術館名品選 バルビゾン派の世界は9/3まで北海道立釧路芸術館で開催中です。)

2023.0816 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏 [close to you <dr.編>]

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6月23日&24日 第25回日本医療マネジメント学会総会参加レポート(国際会議場のあるパシフィコ横浜)が開催され、そこに参加なさった森田氏に2回に分けて色々とお話しを伺いました。今回は後半の内容です。以下は、森田氏の要点を記したメモです。
●日常生活の維持と災害対策についての指針は?
・日赤は全ての都道府県に支部を有し、災害対応の拠点を作っている。こころのケアや市民の健康ケアを普段から支援しておき、災害時の健康支援に繋げるためのボランティア活動を指導。
・医療に連結する前の準備として、市民の暮らしを確保する対応(免震建設・水や発電の確保のための井戸再利用)
・そもそも病院職員も被災すれば避難民であり、平時から住所の分布図を各施設で調べ、統合しておき安否確認に繋げる。
・戦時には活動できる職員を効率的に病院へ集めること、毎年勤務交代で入れ替わることが前提。
・病院幹部は災害時に一定のルールで緊急招集がかかる仕組みをどの病院でも取っているが、そのような緊急招集対応と安否確認がコロナパンデミックの際にしっかりできたかどうかがコロナ後の離職率に関係していたと報告。
・多くの職種が病院にはあり、全ての医療専門職と良好な災害時連携をとりやすいのは「看護師」という職種である。
●災害と言っても色々な種類があります。どのような種類の被害想定をしておくべきでしょう?
・戸田中央メディカルグループ災害対策室長 野口英一氏から大規模自然災害以外の放火火災時のビル対応などの実践的防災訓練ガイドラインについて。
例えば、ビル火災が大規模病院で起こった場合、自力で階段避難ができない高齢者などでは、無理に医療スタッフの労力を使って階下に階段で避難することを考えるよりも、水平移動による避難経路をあらかじめ平時から設定しておき、防煙扉による遮断で火災区域から有害な煙を避難部署に流煙しないような構造設計を準備することで、高層階に入院・入所している高齢者もストレッチャーやベッドのままで迅速に火災被害から退避できると。
・煙対策や、風水災害に対する水災害対応能力評価を各病院で行って平時は訓練を積んでおくことが必要。
・実際に病院で火災が起こる原因の第一位は残念ながら「放火」であり、病院はこのような防災のプロではないことを認識し、通報と避難誘導を目的とした対応マニュアルの整備が望まれる。
水平避難には、煙を天井部分で隔離する「防煙シールド」が古い建築物でも結構有用で経費も安いため、導入しない手は無い。そのように同じビルの階で安全な避難場所を作り籠城することが可能で、地震と違いある程度、火災防災は予測できるところが特徴である。
●続いて、災害拠点病院としての新築計画と病院建築にまつわる問題について。
・国立保健医療科学院の医療・福祉サービス研究部の小林健一氏から医療 BCP に求められる病院建築について。世界地図で地震や自然災害の頻度を示すと日本は非常に危険エリアにあることがわかる。阪神淡路・東日本の大震災では建築設計の基準を変えるほどの被害が生じ、そのような建築で幸いビル崩壊を免れたとした場合、災害発生時から何日目まで籠城できるかという条件が建築の面からも問われている。道路の瓦礫を片付けて道路啓開が可能となる3-6日まで籠城できることが理想。その様な籠城を病院で行うためには職員の生活維持が病院で可能にならないと災害時 BCP は難しい。
●では、実際の地震津波災害で起こる被害は具体的にどういうものなのでしょう・・・
・東日本大震災では、直接外科的対応を要する救急患者は、溺死が多かったことより、結果的に少数だった。また、直接的被害ではなくて、東京電力の計画停電によって千葉県の広い範囲で二次的停電が長引き、予想外の場所で医療機器の通電のために自家発電燃料輸送を必要とする事態が生じた。
・1ヶ月あまり空調、 CT、MRI 、滅菌装置の節約を強いられたために手術が出来ない地域病院もあった。デジタル化や電子化で多くの医療機器が停電で影響を受けるため、在宅医療が拡大されている地域では在宅酸素療法が維持できず、100名近くの方が緊急搬送された病院に自家発電の燃料輸送を必要とする事態が生じた。
・一方 2016年の熊本地震では地域の特性として平常時の給水が井戸水の利用割合が高く、地震で濁ってしまうため使用できないという問題があった。熊本はこの後、線状降水帯による被害にも見舞われ、複合災害になった。地域の事情に精通した行政機関との連携による防災計画が個々の特殊性を把握した上で進められる事が大事。1961年に伊勢湾台風被害を受けて制定された災害対策基本法を全国各地の地域の特性に合わせた地域防災計画が 2013年に策定された。行政機関には地域をよく知る防災の専門家が必ず居るので、その方々と協調する事がポイントだと小林健一研究官は結論されていた。

能の台詞〜如何なる人にてましますぞ(中西 紗織編) [varied experts]

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能の場面によって少し言い回しが異なることもあるが、「一体あなたはどういうお方でしょうか?」という意味。例えば、前場、前半の場面で登場した、いかにも不思議ないわくありげな女性に対して旅の僧が「いかなる人にてましますぞ」と問いかける台詞として出てくることがよくある。
●《井筒》
 前ジテ:里の女 後ジテ:紀有常の娘の幽霊 ワキ:旅の僧 アイ:里の男
舞台は大和国 石上 在原寺(現在の奈良県天理市 在原神社)
世阿弥作の名作で、能らしい能。しっとりとした風情の美しい物語。世阿弥自身「上花也」つまり「最上級の作品である」と書き残している自信作で、『伊勢物語』から題材をとっている。美しい和歌がたくさん出てくることでも知られている。
前場では、前ジテの里の女が昔を懐かしんで語り、後場では、後ジテの紀有常の娘の霊が、夫の形見の装束をまとい想い募らせて舞を舞うという場面が特徴的。前場で、旅の僧(ワキ)が在原寺に到着し、休んでいると不思議な女が姿を現す。「いとなまめける女性」大変優美な女性が「庭の板井をむすび上げ花水とし、これなる塚に廻向の気色見え給ふ」、庭の板囲いの井戸から水をくみ上げ、花を供える水として、この塚に廻向する、亡くなった方を供養している様子でいらっしゃる。舞台の前の方に井筒の作り物が置かれていて・・・この台詞。旅の僧は大変心ひかれたのでしょう。そのような様子のあなたは「如何なる人にてましますぞ」。するとその女性は「これはこの辺りに住む者なり」と答え、この在原寺ゆかりの、在原業平の御霊を弔っているのだと言い、在原業平と紀有常の娘との恋の物語を語る。女性はついに、実は私がその有常の娘、井筒の女とも呼ばれたのは私だと正体を明かし、井戸の陰に消え去る。
後場では、僧の夢の中に有常の娘の霊(後ジテ)が現れ、在原業平の形見の装束の冠と、直衣という男性貴族の普段着の着物を身に付けている。有常の娘の霊は、井戸の水かがみに自らの姿を映し、そこに愛する人の姿を見て「見ればなつかしや」と謡う。大変美しい場面。幸せな日々を懐かしみつつ、ほのぼのと夜も明けていく中、女の霊は消え、旅の僧の夢も覚めていく。
●《野宮》
 前ジテ:里の女 後ジテ:六条御息所の霊 ワキ:旅の僧 アイ:里の男
舞台は京都 嵯峨野 野宮の旧跡(現在の京都市右京区嵯峨)
世阿弥の娘婿 金春禅竹作。晩秋の嵯峨野を訪れた旅の僧(ワキ)が、野宮の旧跡を参拝。僧が昔を偲び心を澄ましていると、女性(前ジテ)が登場。「いとなまめける女性一人、忽然と来り給ふ」大変優雅で美しい女性が忽然と現れたというわけ。そこで、この台詞「如何なる人にてましますぞ」と僧が問いかける。すると里の女は・・・「如何なる者ぞと問はせ給ふそなたをこそ、問ひまゐらすべけれ」どのようなお方かと私におたずねになるあなたこそどなたでしょうかと。女は直ぐには正体を明かさず、折しも今日 は光源氏が野宮にいた六条御息所のもとを訪ねて来た日だと言い、毎年九月七日に神事を行っているので、神事の妨げにならないよう、僧にこの場を去るようにと女が言う。ところが、僧は私は出家の身で世捨て人なのでお気になさらず、と。女は少しずつ昔語りを始め、ついに六条の御息所は私ですと正体を明かし姿を消す。夜が更けて、後場。僧が弔っていると六条御息所の霊(後ジテ)が牛車に乗って現れ、昔を懐かしみながら、孤独や妄執の思いをつのらせて、〈序ノ舞〉という舞を舞う。能《野宮》では、舞台上に鳥居の作り物が置かれていて、これは六条御息所の心情と深く関わっているそう。
「鳥居にい出でい入る」という言葉が出てくる。六条御息所が、鳥居に一歩踏み入れた足をそのまま後ろに戻すという所作があります。妄執から抜け出したいけれど昔恋しい。迷っている心情を表していると言われている。鳥居をくぐって越えてしまえば、この妄執から解脱できるのに、毎年九月七日にここに来てしまうのは、鳥居をくぐらせることで、私を救おうとする神様の思し召しなのかもしれないと。そして六条御息所の霊は再び牛車に乗り姿を消す。
●《舎利》
 前ジテ:里人 後ジテ:足疾鬼 ツレ:韋駄天 ワキ:旅の僧 アイ:能力
舞台は京都東山泉涌寺(現在の京都市東山区泉涌寺)出雲の国からやってきた旅の僧(ワキ)が、仏舎利や十六羅漢を拝むために京都 泉涌寺を訪れる。能力 力仕事をする寺の男に案内され、仏舎利を拝んだ僧は感激し感動のあまり袖を濡らす。すると怪しげな雰囲気の里人の男(前ジテ)が現れる。僧は、私が仏舎利を拝み申して仏前で仏のことわりを静観して、物寂しい様子でいるところに、仏法を尊ぶ声がする。そのようなあなたは「如何なる人にてましますぞ」と、この台詞。僧が問いかけると、男は答える。「私はこの寺の辺りに住む者です。妙なる仏法の声を聞いて、ここに立ち寄ったのです」と。そのいわれを語るうちに、空がにわかにかき曇り、雷鳴がとどろきます。男は、実は我こそ、その昔仏舎利を奪って逃げた足疾鬼の執心だと明かす。その鬼が、この舎利に今も思いがあるので、お許しくださいお坊様と言うと、舎利を奪い空の彼方に消え去る。後場となり、この寺を守る韋駄天(ツレ)が登場。韋駄天も足の速さで知られている仏法の守護神。その昔、足疾鬼が奪い去った舎利を取り返したのが韋駄天。最後の場面は、足疾鬼と韋駄天の疾走感あふれる追いかけっこのようなダイナミックな展開となる。なかなか決着がつかない・・・ついに韋駄天が足疾鬼を捉え、舎利を取り返す。泉涌寺にめでたく舎利が戻り、足疾鬼は力尽き、消え去る。