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2023.0824 O.A BAND [chord 5]

・Don't Stop Believin' / JOURNEY
・Stone In Love / JOURNEY
・Who's Crying Now / JOURNEY
・Mother, Father / JOURNEY
・Open Arms / JOURNEY
~今回はバンド編です。JOURNEY 特集です。
セレクトは河口氏。出演は、河口氏&midoriでお送りします。

道東〜三陸〜常磐沖の高水温化:南下しない親潮・北上する黒潮続流(黒田 寛編) [fun science]

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今年の夏、釧路沿岸の海面水温は高いと言い続けてもう10年ほどが経ちました。実は、昨年6月以降は、冬(昨年12月~今年2月)を除き、ずっと釧路沿岸の海面水温が高い状態が続いているそう。「特にこの夏の高い海面水温の分布は私も初めて見るようなパターンで、自然変動の複雑さや予想や予報の難しさを感じています。」
現在の高い海面水温の原因となる海の特徴は2つ。一つは、北の海から冷たい海水を運んでくるはずの親潮が道東よりも南側に流れ込まないという事。もう一つは、黒潮(正確には黒潮続流)が北緯40度近くまで極端に北上している事。現在、千島列島~北方四島に沿って流れる親潮は、北方四島の色丹島付近までは元気に流れています。千島列島付近では親潮は強い状況。ただし、色丹島付近で親潮は南東方向に流れの方向を変え、その後、北東方向にUターンしてしまうので、道東よりも南には差し込んできません。その原因は親潮の駆動力である「海上風」。道東より南側への親潮の南下を弱めていると推察されています。さらに、この道東以南への親潮の南下を弱めるような海上風のパターンは、2017年以降の冬、毎年のように見られていて、長期的に親潮を弱める原因になっていると。ただし、2017年以降の冬に毎年のようにみられている海上風のパターンは、1900年以降のデータを解析すると、珍しいパターンであることがわかっていて、最近年の気候変動に伴うような自然のゆがみを感じているとおっしゃっていました。
次に、本来、北緯37度を超えては北上しない黒潮(正確には黒潮続流)が、現在、三陸沖付近(北緯40度付近)にまで極端に北上しているのはなぜなのか?原因は、日本南岸沖、正確に言うと紀伊半島沖で黒潮が大きく蛇行していることと関連しているそう。黒潮は二つの流路に分かれます。一つは日本南岸沖で大きく蛇行して流れる「大蛇行流路」と、もう一つは日本南岸に沿って大きく蛇行せずに直線的に流れる「非大蛇行流路」。一度、黒潮が大蛇行すると1年から5年くらいは継続すると考えられているそうです。1970年以降では、計6回の大蛇行期間があり、現在の大蛇行は2017年8月から始まったので、もう6年が経過していて、1970年以降では最も長い大蛇行期間になっていると。さらに、この黒潮大蛇行、1970年以降6回発生したそうですが、その形状はさらに2種類に大別される。「典型的な大蛇行」と「典型的ではない大蛇行」。現在の大蛇行は、1970年代の後半に見られた「典型的ではない大蛇行」の形状とよく似ているそうです。現在の流路形状の特徴は、紀伊半島沖の大蛇行が典型的な大蛇行よりも西側で発達、さらに典型的な蛇行よりも南に大きく垂れ下がり、さらに、その一方で、房総半島よりも東側の黒潮(正確には黒潮続流)は極端に大きく北上。また、黒潮大蛇行は黒潮の流量が少ない時に発生する傾向があり、現在、黒潮の流量が少ないことも観測に基づき報告されているとか。黒潮の流量が少なくなると黒潮がまっすぐに流れずに蛇行して流れが撓む、そんなイメージ。ちなみに、黒潮の駆動力も海上風。ですから、海上風が原因となり、黒潮の流量が減り、その流路がたわんで大きく蛇行することで、釧路沖のかなり近いところまで黒潮が北上してきているという状況。また、親潮の駆動力も海上風で、北緯40~42度付近の海上風が原因となり、「極端に北上する黒潮」も「道東以南に南下しない親潮」も北太平洋の海上風分布で説明できる可能性があるとおっしゃっていました。
さて、1970年代後半の「典型的ではない黒潮大蛇行の形状」が、現在の大蛇行形状と似ているという話ですが、実は、1970年代後半も現在と同じように、黒潮が北緯37度を超えて、大きく極端に北上していたそう。その一方で、当時の親潮は、徐々に南下が強まっていた期間であったことが知られているので、現在の道東沖の弱い親潮とは対照的。「したがって強調したい事は現在みられるような「極端な黒潮の北上」と「親潮の弱化」が同時に発生したのは1970年以降初めてということです。」
今後どうなるのか?正直、分からないと。過去の知見や経験則が使えないので、引き続き現況の推移を注視するしかないという状況。地球温暖化や気候変動の難しさは過去の経験が成り立たないことであり、それを感じていると・・・。いずれにしても、現行の海上風のパターンがいつ大きく変わるのか?これが、今後、黒潮、親潮、道東の海を変化させる鍵となるはずと黒田氏はおっしゃっていました。
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/3fujtGdhzHyMMp1TQ1nG7Z

太陽光発電施設〜実際に根室に行ってみた(照井 滋晴編) [nature treasure]

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前回収録の後に根室の状況が気になり、実際に根室まで太陽光発電所の状況を見に行ってきたそうです。
一応事前に下調べをして。。。まず、資源エネルギー庁のHPで根室市の太陽光発電施設の件数の年変化をチェック。2014年4月時点では、家庭用の小さなサイズの太陽光をのぞくと、全部で16件の施設があり、そのうち1件がメガソーラーと呼ばれる大型の施設。そして、2022年12月時点では、全部で169件、そのうちメガソーラーも12件とどちらも10倍以上に急増。ちなみに、釧路市の2022年12月時点の件数は、573件(うちメガソーラー22件)なので、釧路市の方が圧倒的に件数は多いのですが、根室市もものすごいスピードで太陽光発電施設が増えているのがわかります。
さらに、根室市は太陽光発電と同じ再生可能エネルギーである風力発電施設の建設も急増、2014年4月時点では1件もなかった風力発電施設が、2022年12月には大小合わせて79件も建設されていることがわかったそうです。
「いざ根室へと向かったのですが、考えてみると10年ほど根室に行っていないことに気づきました。その頃の根室には太陽光発電施設も風力発電施設もまったく印象にはなかったのですが、今は至るところに太陽光発電のパネルや風力発電の風車があり、かなり驚きました。しかも、釧路とは違い太陽光発電施設単体ではなく太陽光発電施設の脇に小型風車が建っているハイブリッド型の施設がとても多いことにもびっくり。もっとも衝撃的だったのは、根室の町中から半島の先端方向に向かう途中、町中を過ぎてすぐに複数の沼があるきれいな海岸草原の景色が広がっていたはずが、けっこうな面積が太陽光発電施設になり、この地域の特徴的な景観の一部が失われていたことです。」私のそのあたりはしっていますが、とても素晴らしい異国情緒漂う場所です。
他にも貴重な高山植物の群落や希少な昆虫が生息している環境のすぐ近くまで太陽光や風車がきている場所もあったそうで、釧路湿原とは異なり根室では太陽光に加えて風力発電でも自然環境や動植物との軋轢が生まれてしまっているということが今回の訪問でよくわかったとおっしゃっていました。
根室では太陽光発電施設や風力発電施設だけではなく、歯舞湿原という湿原も見てきたそう。この湿原は、近年の研究成果で「ブランケット湿原」と言われるタイプの少し変わった湿原であることが明らかになった湿原。泥炭がブランケットのように地面を覆っていることからそう呼ばれているそうですが、このタイプの湿原が低標高地にあるというのはこの場所が国内で唯一、非常に貴重な湿原なのだそう。歯舞湿原がとても特徴的なのは、河川や海から水が流れ込むような場所ではないこと。歯舞湿原は中に河川が通っていないにも関わらず湿原を形成しています。 なぜかというと、とても冷涼な環境で、濃霧に覆われやすい湿った環境であったため、雨や雪をもとに河川がないにも関わらず湿原が形成されてきたと言われていると・・・。 貴重なのは湿原のタイプだけではなく、カラフトルリシジミという天然記念物の蝶やその他貴重な植物等も多く確認されています。歯舞湿原は、今年に入り根室市の天然記念物に指定されたそうです。さらに、民有地の一部は根室市が買い取っているそう。
「それまでは湿原の周辺地域は保護区ではなく、歯舞湿原の中にも民有地がそれなりの面積があったため、太陽光発電施設の乱立が進む可能性が懸念されていた場所だったそうですが、天然記念物に指定されたことで、今後は開発の波から守られていきます。今回の訪問で、新聞記事や公表されている数字から想像する以上の状況がみえ、また、釧路湿原域とは違う課題を抱えているという事もよくわかりました。」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/2fOoTKgPo6P5UqJmmhVeZW