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関東大震災から100年(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1日本海中部地震震源域の海底で見つかった亀裂.jpg写真2北海道南西沖地震震源域の海底で見つかった亀裂.jpg写真3相模湾東京海底谷でみつかった段差.jpg写真4相模湾初島沖の化学合成生物.jpg写真5海底ケーブルを使った地震津波の観測網 .JPG
今年は大正時代に起きた関東大震災から100年。今回は関東大震災にからめ、ここで紹介してきた地震観測について振り返りながらの展開。
関東大震災、発生したのは9月1日、11時58分。相模湾にある相模トラフが震源。震源域は神奈川県西部から千葉県の房総半島にかけての広い範囲。
この関東大震災では10万5千人の方が亡くなりました。うち9割弱が火災による死者、亡くなられた方は東京で7万人、神奈川は3万3千人。
関東大震災はプレート境界に関連した地震で、海溝型地震、つまり東日本大震災や南海トラフで起きる巨大地震、北海道南西沖地震や日本海中部地震、十勝沖地震と同じタイプの地震。この地震は繰り返し発生することがわかっているそう。繰り返し発生する巨大地震を震源近くの海底で観測し、発生に備えることを目的として、北海道沖の千島海溝から日本海溝、南海トラフでは海底ケーブルを活用した地震津波の観測網が構築されています。特に南海トラフの地震津波観測監視システムDONETはJAMSTECで開発したシステムで完成後、防災科学技術研究所が運用・管理。海底ケーブルを利用した観測網は、海で大きな地震が発生した時に、震源に近い沖合で陸よりも早く地震を検知して緊急地震速報に使われたり、あるいは強い揺れが来る前に新幹線を停止させたりと、少しでも被害を減らすために活用されています。
東日本大震災の後、地震予知は不可能と言われたように、何時何分にどの場所でどのような規模の地震が起きるかという確度の高い予測は現在の科学技術では不可能と言われているそうです。「ただ、予知はできないかもしれませんが、私たちが今取り組んでいるのは、地球内部の特に地殻と呼ばれている地震の発生する場所で起きている変動現象を正確に把握すること。このため、海底に基準点を作ってその場所の上下動を含めた変位や、海底を掘削し、その孔に地殻変動を観測するためのひずみ計や傾斜計などの観測装置を入れ、より震源に近い場所で地殻変動を観測するシステム開発や構築、ここ数年は新たな手法として光ファイバをセンサーとして活用する技術開発と実装に取り組んでいます。さらに、過去に発生した地震の履歴調査として、昔の地震に関する文献を調べて発生した地震の規模を調べたり、深海の海底堆積物から地震の痕跡を調べたりしています。」
海底の地殻がどの様になっているのか内部の構造を正確に把握する為に船から音波を出し、その音波の海底下の地層からの反射を調べる事で海底下の構造を正確に把握する調査も行っているそう。今年6月、海底広域研究船「かいめい」で日本海溝の北部の構造調査を実施。様々な手法で得られた調査結果や海底のリアルタイム観測でとらえた変動が、地殻の中でどの様に推移していくか複数のモデルを考えてスパコンを使って予測するという研究も行っているのです。いわゆる現状把握と推移予測。
特に現状把握については、紀伊半島沖の南海トラフで、地球深部探査船「ちきゅう」を使って海底を掘削し、その掘削孔に観測装置を入れ、海底の観測網DONETに接続して海底下の微小な変動のリアルタイム観測。この様な掘削孔を使ったリアルタイム観測を行っているのは日本だけだそう。
この海底下の観測により、「ゆっくりすべり」と呼ばれる揺れを伴わない地震をより正確に把握することができるようになるのだとか。「ゆっくりすべり」は岩盤がゆっくりと動くのため地震のような揺れが発生しません。でも、この時に通常の地震と同じ様に海底にたまっていた歪が解放されることがわかっているとおっしゃっていました。その場所で歪が解放された分、周辺では歪が蓄積し大きな地震につながる可能性があるので、「ゆっくりすべり」のような地殻変動も正確に把握する必要があるのです。「今まで観測が難しかった地殻変動を部分的ですがとらえることで、現状把握の高度化を目指しているのですが、これにより推移予測の精度があがると考えられているのです。制度上、JAMSTECから予報をだすことはできないのですが、将来的には、天気予報の降水確率のような情報発信を目指して、観測システムの開発・構築に取り組んでいます。」
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真上(左)は日本海中部地震震源域の海底で見つかった亀裂(男鹿半島沖、水深約3300m、「しんかい6500」により撮影)
・写真上(真ん中)は 北海道南西沖地震震源域の海底で見つかった亀裂(奥尻島沖、水深約2800m、「しんかい6500」により撮影)
・写真上(右)は相模湾東京海底谷でみつかった段差(水深約1000m、無人探査機「ハイパードルフィン」により撮影、関東大震災との関連は不明)
・写真下(左)は相模湾初島沖の化学合成生物(水深約1200m、断層から染み出す硫化水素をエネルギーとする生物 手前の赤いのはチューブワーム)
・写真下(右)は海底ケーブルを使った地震津波の観測網(BlueEarth166, p20)
詳細情報:https://www.mowlas.bosai.go.jp/mowlas/
長期孔内観測の参考URL:https://www.jamstec.go.jp/chikyu/j/outreach/portfolio/resources/posters/pdf/3-6_a-22_nankai-ltbms.pdf

2023.0818 O.A 「フィルムカメラ処分しました。」 [varied stories]

逸見光寿さん(写真家)
https://coju.info/

今回はずっと愛用してきたフィルムカメラを手放したというお話し。「昔は中判のフィルムカメラをメインで使っていたのですが、もう何年も使っていないので・・・思い切りました。なんといっても防湿庫がパンパンになって困っていたのです。」
実は釧路で買取業者さんによる無料査定会があることを新聞広告で見つけ、決意したそうです。
準備段階では、売りたい機材をリスト化。そして大手の買取業者買取価格等で相場をチェックし、おおよその金額を把握。それから機材をダンボールへ。
正確な点数はわからないそうですが、ダンボール2箱分くらいの機材を持っていったそうです。
ハッセルブラッド、マミヤ、キャノン、ニコン、オリンパス、リコー、シグマ、フジ、ペンタックス、ゴッセン・・・。
「結構な数の人が来ていて、整理券をもらって順番を待ちました。そこには二人の担当者がいて、順番がくると機材をメーカーごとに並べ、ハッセルやマミヤといった大物から査定が始まりました。カメラは電池を入れて動作を確認し、レンズはペンライトを当てカビやチリ等を入念にチェックしていました。」
マミヤ6が2台もありびっくりされたそうです。普通はレンズにカビが生えているのが多いそうで、逸見氏のカメラはどれも状態が良いと言われたそうです。
逸見氏が思っていたものとその価格が剥離していたものも結構あったそう。安いレンズはまとめて500円とか、カール・ツァイスの銘玉が当時からは考えられない安値だったり・・・。「思い入れのあるカメラを処分するのは気が重かったのですが、処分してみると気持ちが軽くなりました。」と。
今回の写真は思い入れの強いマミヤ6で撮影したもの。マミヤ6は中判カメラなのに、軽量コンパクトで沈胴。沈胴とはカメラの電源を入れると、ボディーの内部に収められたレンズが繰り出してくる方式。カメラを使用しないときの収納性・携帯性に優れ、レンズの保護に役立つそう。このカメラで世界中を旅したそうです。
「マミヤ6で初めて撮った作品です。静岡の三保の松原。海岸にカップルがいたので声をかけて快諾してもらって撮りました。シャッターを切ろうとしたら、彼女が彼にもたれかかってくれて、それがまた最高の図になったと思っています。」
※写真は逸見光寿氏からお借りしました。
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