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ナガコンブの長〜い話 vol.1(黒田 寛編) [fun science]

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そろそろお正月。「おせち」にも登場する縁起物のコンブのお話。「よろこぶ」の語ろ合わせから「喜ぶ」、「養老昆布」ともかけるので不老長寿の願いが
こめられていて、おせちでは「昆布巻き」としてお重を飾りますね。
道東ではいくつかの種類のコンブが採られています。最も有名なコンブがナガコンブ。長さが10m以上に、長いもので20mにもなるコンブです。
若い頃のナガコンブは「さおまえ」と呼ばれています。道東では他に、厚葉コンブ(ガッガラコンブ)、オニコンブ、ネコアシコンブという種類のコンブがあります。
コンブ漁業ですが、夏を中心に行われます。漁師さんが朝から小舟を出して、海中のコンブを収穫した後、トラックにコンブを積んで、
砂利を敷き詰めたコンブ干し場まで運び、そこでコンブを広げて乾燥させている光景、見たことがある方も多いはず。
コンブ漁業ですが、釧路周辺で本格的に盛り上がり始めたのは、明治時代に入ってからなのだとか。
釧路~仙鳳趾の海岸に北日本からコンブ漁民が移住し始めたのが明治の初め。国策で、移住が進められたようです。
目的はいくつかあり、主に、中国に輸出するコンブの増産だったそうです。
中国では一体このコンブはどう利用されたのでしょう?一つには、刻み昆布として日本から輸出され、中国では野菜の代用として食べられていたそう。
また、当時中国では、コンブをヨード(ヨウ素)の補給にも使っていたそうで、ある地域では、甲状腺の風土病の薬として使われていたようです。
このヨード不足ですが、今でも、日本以外の国々、特に、発展途上国では深刻な問題で、撲滅されていないそうです。
一方、「日本人の食事摂取基準2010年版」によると、「日本人にヨード不足が起こる可能性は限りなくゼロに近く、むしろ過剰摂取に注意」と書かれていると・・。
それは、コンブやノリ、ワカメ等の海藻を食べる機会が多い日本の食文化に起因していると考えられます。
さらに、海藻には、水溶性食物繊維(アルギン酸とフコイダン)が多く含まれれているので体に良いということは、よく知られている事実。
実は、日本人の腸内には、海藻を消化する酵素遺伝子をもつ腸内細菌がいることが、2010年に、Natureに掲載されました。
要するに、外国の人は生の海藻を食べても体内で消化できないことがほとんどの様ですが、日本人は特異的にこれを消化できるということ。
その理由は、太古から日本列島に住み、海藻を食べてきたその歴史が、私たちの体に代々刻まれているというわけです。

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