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海底ケーブルを使った観測システムで得られた地震・津波観測データの利活用について(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1:DONETの陸上局舎のある徳島県海陽町の津波碑.jpg写真2:早朝の避難訓練の総評の様子.jpg
海域で地震が起きると津波が発生する可能性があるので、地震計や津波計を沖合に設置し、より震源に近い場所で観測することで、
南海トラフに設置されたDONETの場合は、陸上で観測するよりも地震については数秒から十数秒、津波については数分から十数分早く検知することが可能となるそうです。
得られた観測データは、リアルタイムで気象庁に配信され、地震データについては緊急地震速報、津波に関しては津波警報に活用されています。
また、大学や研究機関で共有するためのネットワークにも配信され、研究や解析に利用できるようになっているとのこと。
特に津波に関しては、海域の観測データを沿岸の各地域で活用するために、沖合で観測された津波から瞬時に沿岸の浸水エリアを予測する「津波即時予測システム」が
開発され、沿岸の一部の自治体、県としては、和歌山県、三重県、千葉県、電力会社や地域の大学で利用が開始されているそうです。
ただし自治体が地域で活用することが目的でも、システム構成や体制がしっかりしているかなど、国からの許可が必要。
導入する自治体では運用体制の整備に加え浸水エリア等のパターン計算が必要で、本格的に導入できている自治体は多くなく、実運用しつつ検証を重ねているのが現状。
さて、1月15日から16日にかけて、トンガの噴火に関連して発生した津波により、全国に津波注意報や警報が発令されました。
でも、発生した現象が通常の津波とは異なるということから、気象庁としても判断するのが難しかったと報道されています。
南海トラフで発生した地震を主なターゲットとしている津波即時予測システムでも、稼働状況等の検証を進めているそうです。
今回のトンガ噴火の津波は、噴火による火山島を波源とする津波が発生していますが、それと異なる気圧の変化による潮位変化という前例のない現象も津波の発生原因として確認されています。同様な現象は1883年のインドネシアのクラカトア火山の大噴火の際にも発生していた様です。
気圧の変化は大気中を伝わり、日本でも一時的に気圧が高くなったことが確認されています。
気圧が高くなる、つまり空気が海面を押すことになり、津波のような現象が発生したものと思われるとおっしゃっていました。
この気圧の変化は地球規模で発生しており、大西洋やカリブ海、地中海でも今回の気圧の変化により数cmですが潮位変化が観測されているとのこと。
「観測システムを開発・整備している立場から、より正確な観測ができるように努力はしていますが、観測網が整備されているのはまだ一部のエリアで、
また今回のようにまだすべての現象に的確に対応できるようなっていません。これを機会に、一段上の津波警報がでたとした場合の避難場所や避難ルートの確認を行い、
実際に警報が発令された時、特に千島海溝で地震が発生した時は躊躇なく安全な場所に避難していただければと思います。」
※尚、資料は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真上(左)はDONETの陸上局舎のある徳島県海陽町の津波碑
・写真上(右)は実際に地震が発生した冬の早朝に行われた避難訓練総評の様子

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