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スケトウダラ SURIMI s'il vous plaît(黒田 寛編) [fun science]

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資料4.jpg助宗(すけそう)だらと呼ぶ方もいらっしゃると思いますが、専門家の間では「スケトウダラ」と呼ばれます。
スケトウダラ、と聞き、すごく身近に感じる人は少ないと思います。
鍋を囲む時等は「マダラ」や、その白子である「タチ」が主役になり、スケトウダラを囲む事は少ないかもしれません。
ただ、竹輪やかまぼこなどの練り物、特に、ちょっと高級な練り物にはスケトウダラのスミリが混ぜられています。
例えば、フランスではカマボコや練り製品のことを”SURIMI”と呼んでいて、一時期、SURIMIブームがあったと。
そんな事もあり、イタリアとスペインのグループは、最新の研究機器(次世代シーケンサー)を使い、
スリミの表示が正しいかどうかを確かめる様な研究もしていて、ヨーロッパでスリミが熱い状況にある様です。
もう一つ、スケトウダラで忘れてはいけないのが「たらこ」や「明太子」。
スケトウダラの卵が「たらこ」として珍重されています。九州の博多でお土産を買いに行くと、高級品には
「北海道噴火湾産」と書かれていて、御土産なのか地産地消なのか迷う事が道民のアルアルかもしれません・・と黒田氏。
また、ロシア語でスケトウダラは「ミンタイ」と呼ばれています。「明太子」の「メンタイ」はロシア語の「ミンタイ」に由来するという説があるそう。
さて、北海道周辺では、主に2つのスケトウダラの系群、集団がいると考えられているとのこと。
一つは北海道の西方沖の日本海で卵を産む日本海北部系群と、もう一つは北海道の噴火湾周辺で卵を産む太平洋系群。
スケトウダラの太平洋系群、12月~3月が主な産卵期で、1月に特に多くの卵が海に産み落とされます。
スケトウダラは底魚と呼ばれ、親は、大陸棚の底付近で暮らしていますが、卵は浮遊性、海面に近いところに浮き上がり、海の流れに流されながら成長するのです。
ただし、成長は非常にゆっくりで、通常は卵が産み落とされて10日~2週間は孵化しないまま。0℃近いと1カ月以上も孵化しないそうです。
マイワシ等の卵が数日で孵化することと比較すると、スケトウダラの卵は非常にゆっくりとした成長です。
さて、その卵、年によって様々ですが、多い年だと100兆個以上の卵が浮遊すると推定されています。
太平洋系群の資源量、全年齢の尾数は約100億尾以下と推定されているので、殆どの卵は浮遊はしてもその後成長する事なく死んでしまうことに・・・。
「卵が海に産み落とされ、卵から生まれて成長して親になり、再び卵を産むというこの自然のサイクルは、かなり奇跡に近いことなんだといつも感じています。」
スケトウダラ太平洋系群の増え方ですが、何年かに一度、非常に生き残りが良い年があり、その時に生き残ったスケトウダラが全体の資源を支えるという仕組みになっているそうです。2005年、2007年に生き残りの良い年があり、その後、すごく生き残りのいい年が訪れていません。そこが心配と。
通常10年に数回は生き残りのいい年があることから考えても、非常に珍しい現象であることがわかるそうです。
※なお、写真は黒田寛氏にお借りした資料です。

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