SSブログ

La chalcographie du musée du Louvre〜La Joconde [close to you <art編>]

01.jpg 02.jpg 03.jpg 04.jpg
現在、釧路市立美術館で開催中の「ルーヴル美術館の銅版画」の中から、かの有名なモナ・リザ( La Joconde)についてのお話しです。
今回この銅版画の作品をご覧になって、???と思った方もいらっしゃると思います。
確かに色の問題もあるのですが、人物の輪郭、表情ともに原画とは違うのでは?と感じた方も多いのではないでしょうか。
今回はその疑問を武束氏に紐解いていただきました。
イタリアの美術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた油彩画ですが、彼は筆が遅い事で有名で、注文通りに描かない事でも有名だったそうです。
この作品も発注を受けたにも関わらずいつまで経っても出来上がらないので、いらないと言われてしまい、彼はそれをずっと持ち続けて描き続けていたそう。
彼の探求の一つには「絵は線なしで描ける。色の濃淡や陰影で描ける。」があり、それを追い続けたのです。ですからなるべく線を残さない様にしたのです。
版画ですが、こちらはエングレービングとエッチングという技法で制作されました。エングレービングという技法は、ビュランという先端にダイアモンド様の固い刃の
ついたノミのような器具を使い、銅版に線を彫り、その溝にインクを埋め、それを刷って作品にする版画技術。 鮮明な線が特徴なのです。
・・・・・ということは、ダ・ヴィンチの描いた作品とは真逆。線がない絵を線で描く難しさはどのくらいだったのでしょう。
確かにそう考えると素晴らしい版画なのだと感じます。「名画は名画ゆえに複写は難しいのです。」と武束氏もおっしゃっていました。
そして、ダ・ヴィンチは時代や環境によって変わる「美」ではなく、普遍の美を追求して、描いたそうです。
それは、見る人の内面を写す美。ですから見る人によって、同じ人でもその時の感情によって見え方が違うのです。
それはそれですごい作品ですよね。「技術・年月・探究心」それらがあって彼の手から生まれた作品は奥深く、今も私たちの心を揺さぶるのでしょう。
(ルーヴル美術館の銅版画展は7/3まで釧路市立美術館で開催中。)

Facebook コメント