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キタサンショウウオも光りものがお好き?(照井 滋晴編) [nature treasure]

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「先日サンショウウオの調査方法についての研究成果を札幌で発表する機会があったので、その内容をお話ししたいと思っています。」
単純にサンショウウオをどうやって捕まえるかという方法。以前は陸にいるサンショウウオを捕まえる方法として落とし穴の話をしていただきました。今回研究成果として発表したのは水の中の話。
まず、サンショウウオを含む両生類の捕獲方法には、能動的な手法と受動的な手法の2種類があり、 能動的な方法は、移動中の個体や転石・落葉などの下に隠れた個体を木や石をのぞきながら探す手法や水の中にいる個体をタモ網などの道具を使って捕獲する方法。 対して、受動的な方法は、トラップによる捕獲。 陸上でのトラップ法として落とし穴を教えていただきましたが、水の中ではどのようなトラップが考えられるでしょう?
実際に海外では、両生類の幼生や水中生活をするイモリ類の成体を捕獲する方法としてカゴ罠が使われ、その効果についてたくさんの報告がされているそうです。
でも、日本国内ではカゴ罠を使って水中で両生類を捕獲したという報告はほとんどなく・・・それならば本当に効果的なのか実際にやってみようと思い立った照井氏。
「サンショウウオを守る活動をしていると、どうしても捕獲しなければいけない場面が何度もあります。例えば公共工事などでサンショウウオの幼生がいる水たまりが埋められてしまうとなれば、できるだけ多くの幼生を捕獲して埋められない近くの水域に移すということもよくあります。 そんな時、たくさん捕獲できる方法があれば、より多くのサンショウウオを守ることができるので、試してみる価値のある研究なのです。」
実際には、サンショウウオの幼生が水の中にいる夏の時期に、たくさんいそうな水の中にカゴ罠を放り込む作業を実施。 ただカゴ罠を入れるだけではおもしろくないので、海外の研究で水中トラップでの両生類の捕獲効率を向上させるとされるグロースティックと呼ばれるものをカゴ罠に入れると、本当に効果があるのか?ということも検証することに・・・。 グロースティックは軽くバキッとおると蛍光色に光る棒のこと。今回の研究では、サンショウウオの幼生がいる水の中に、餌も何もいれていないカゴ罠と、このグロースティック1本だけをいれたカゴ罠を沈め、翌日に幼生が捕れているか確認。この実験は、3ヶ所のサンショウウオの生息地で3日間実験。どこの生息地でもグロースティックを入れたカゴ罠の方が入れていないカゴ罠よりも多くの幼生を捕獲することができたそうです。捕獲した個体数の合計は、グロースティックを入れた罠で117匹、入れていない罠で37匹。グロースティックを入れた罠の方が約3倍多く幼生を捕獲できたということ。この結果から、まず、カゴ罠はサンショウウオの幼生を捕獲する方法として使えるということが判明。さらに光る棒を入れるだけで、その効果はさらに上がるという事もわかったのです。
「今回の研究で試したカゴ罠の場合、水の中に沈めるだけなので生息環境を破壊する可能性は低いので、タモ網と同じくらい幼生を捕獲できるのであれば利点としてはとても大きいと思うので、今後普及していくと良いなと感じています。 」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/20YAea1bfYhlVbSULxFoqC

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