SSブログ

マリモと生育地の精密調査~1(尾山 洋一編) [nature treasure]

1.jpg2.jpg
2年前から専門家との意見交換を通して調査計画を練り上げてきた結果、今後数年間にかけてマリモと生育地の理解に向けた精密調査を実施することに。。。
阿寒湖のマリモは、10年ほど前から割れたりひびの入ったものが目立つようになったと言われています。丸いマリモは、水深1.5mから2.5mの場所にいるのですが、ちょうど破損が目立つようになった頃に、マリモのいる場所よりももっと深いところ 水深3~4mの所に水草が繁茂しました。水深1~2mの場所には今から50年以上も前から水草がたくさん生えていたので、急にマリモ生育地に水草が入り込んだわけではないのです。
マリモが壊れるのはマリモが回転不足になっているからという仮定の下、マリモを動かす波の力が水草によって弱められているという事で、試験的に水草を刈り取り、マリモを回転させる波の力が回復するか試したところ、一定の効果が見られたそう。そのため、水草を刈り取りましょうと、ここ数年は水草の刈取除去を行ってきました。ただ、その年の気象条件などにより水草刈り取り効果のある年やない年があり、そしてマリモ自体についても目に見えるような回復は確認できていないとのこと。
現状のマリモは、破損については相変わらず。ただ、直径20cmを超えるような大型のマリモ群落は存在しているそうです。「最近ちょっと心配なのは、密度の低い(=柔らかい)マリモが増えているような感じが・・。最近の研究では、マリモの密度はその年の積算水温と関係があることが分かっています。水温が高いとマリモが痩せてしまう。夏の最高水温が24度程度にまでとどまるとマリモはそれほど痩せない、という事が分かってきました。」
このような問題を2年間にかけて議論し、これまでの対策で足りなかった点や、もっと検討すべき課題を整理してきたのです。その結果、水草だけではなく、マリモの生育に影響を与えるその他の要因(水温・光環境・湖底の泥など)をできるだけ一斉に調査して、マリモの生育を悪化させている要因を整理した上で、マリモを回復させるための効果的な対策をもう一度考えるということになったとおっしゃっていました。
一部の専門家からは、20年前と比べると生育状況が悪いと指摘を受けているそう。本来であれば、過去20年間のマリモと生育地のデータがあれば、悪化の要因を解析できるそうです。ただ、そのようなデータはないので、まずはマリモと生育地の精密調査を実施し、現状を詳細に把握することになったのです。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4wlrb8WhnDBnjQ7qBRrCQZ

Facebook コメント