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2022.0428 O.A 邦楽 [chord 5]

・め組のひと / ラッツ&スター
・ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) / 荻野目洋子
・流星のサドル / 久保田利伸
・暗闇でDANCE / BARBEE BOYS
・Shake Hip! / 米米CLUB
・KANSHAして / 林田健司
~今回は邦楽一般。春だぜ!踊ろう!特集です。
セレクトは村田氏。今回の出演は、村田氏&midoriでお送りします。

北の海の春(黒田 寛編) [fun science]

IMG_4395.jpg 資料FM946_20220405_ページ_1.jpg 資料FM946_20220405_ページ_2.jpg
釧路で桜が咲くのはまだ少し先ですが、「桜が満開」になることを英語ではcherry blossom bloom と言います。
このbloom という英単語ですが、「花盛り」という意味。実は海にもspring bloomと呼ばれる春のブルームがあるそうです。
春の海では桜は咲きませんが、陸の草木が勢いよく芽生える様に、植物プランクトンが大増殖します。
日本周辺の太平洋では、日本の南には温かい水を輸送する黒潮、日本の北には冷たい水を輸送する親潮が流れていて、特に、釧路沖の親潮周辺域で、
超巨大な春の植物プランクトンブルームが生じるそうです。
なぜ春のブルームが発生するのでしょう?まず、冬は、風もビュービュー吹きます。海面が冷やされ、海面水温が下がります。
水温が下がると、海水の密度が重くなり、重くなると沈みます。そうなると、海面付近の水が無くなってしまうので、それを補う必要があります。
このため、海面の少し下から水が海面付近に湧き上がってきます。冬に冷やされて重くなった海面付近の水と、海面の少し下にあるやや軽い水が入れ替わることに。
結果として、海面が冷やされると、海面付近の水と海面下の水がまるでベルトコンベアのようにグルグル入れ替わり、徐々に、均質な水になっていきます。
これを専門用語で「対流」あるいは「鉛直混合」と呼んでいると。鉛直混合が起きると植物プランクトンにどんな良いことがあるのでしょうか?
冬が始まる前、秋の海面付近の水は、植物プランクトンの栄養が少ない状態です。
というのは、暖かい季節に植物プランクトンが増殖するために、海面付近の栄養をほとんど使い切ってしまっているからなのだとか・・・。
一方で、例えば、海面下50m位の水には沢山の栄養が含まれています。ほとんど光が届かない真っ暗な海では、植物プランクトンが増殖できません。
ですから、海面下では栄養が余っているということの様です。
さて、植物プランクトンにより栄養を使い切った海面付近の水と、栄養があまっている海面下の水が冬の鉛直混合で混ざるとどうなるのでしょうか?
海面付近の栄養の濃度が上がることになり、植物プランクトンの増殖にとって良い状態になります。
季節は冬から春に移り変わり、気温と共に水温も上がり、さらに日射も強まります。すると、植物プランクトンが大増殖。これがspring bloom という訳なのです。
黒田氏は、3年位前、母なる潮、親潮周辺で発生するspring bloom について調べて論文を書かれました。
「春に海で調査すると、親潮周辺では、とんでもなく大きなspring bloom がしばしば観測されます。とんでもなく大きなものを目の当たりにすると、
その原因を調べたくなった、というのがこの研究の発端でした。」
1)親潮は北の海から釧路~三陸沖などに、太平洋とオホーツク海を起源とする海水や栄養を運んでいますが、このうち、オホーツク海を起源とする非常に低水温で
低塩分の海水が、大きなspring bloom の発生に関連していたことが判りました。
2)さらに、もう一つ重要な事は、オホーツク海から供給される水だけではなく、オホーツク海から輸送される植物プランクトンの「種」も大きなspring bloom の発生に
寄与していました。要するに、親潮が、生産性の高い「母なる潮」である為には、オホーツク海からの海水・栄養・植物プランクトンの種が不可欠なことが判ったのです。
https://www.marinespecies.org/photogallery.php?album=4394&pic=39660
https://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/PS/Bacillariophyceae/Thalassiosira_nordenskioeldii/index.html
https://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/PS/Bacillariophyceae/Chaetoceros_socialis/index.html
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1JqHWy34Xuapa3ITdA7qm2

カワシンジュガイのこと(照井 滋晴編) [nature treasure]

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1.jpg実はサンショウウオはペットとして結構人気が高く、売れるそう。カワシンジュガイはどうなのかというと
サンショウウオよりもはるかに多くの個体が販売されていたと。
この10年間で約90,000個体のカワシンジュガイ類が野外から乱獲され、販売されているそうです。
そして、そのほとんどは北海道のカワシンジュガイ類。
カワシンジュガイ類は北海道にカワシンジュガイとコガタカワシンジュガイという2種が生息しています。
どちらも冷涼な環境を好み、水中で有機物をこしとって食べるそうです。
さらに、とても変わった生活史をしているそう。 カワシンジュガイ類にはオスとメスがいて、メスが卵を産みます。
孵化した卵からは幼生が産まれます。産まれた幼生は親と変わらぬ二枚貝というわけではありません。
親と変わらぬ形の二枚貝に成長する前に、グロキディウム幼生と呼ばれる期間があるそう。
幼生は、メスの貝の中から川の水に放出されますが、近くにサケ科の魚類がいると、そのエラに寄生を始めます。
国内のカワシンジュガイ類2種では、普通のカワシンジュガイは主にヤマメに、コガタカワシンジュガイは主にイワナに寄生することができるそうです。
逆はダメ。サケ科のエラに寄生しないと生きていけないのにえり好みをして、気に入ったサケ科の魚にしか寄生しないのです。
とても人工的には用意してあげられないので、人工的に繁殖させるのは不可能に近いのです。
寄生した幼生は、宿主である魚から栄養を摂り50~60日の間寄生して過ごし変態。変態を遂げて稚貝になると宿主のエラから離れて川底で生活を始めます。
その後、数年~数十年かけて大人の貝に成長していきます。 ただ、成長が遅い分、とても長生きです。
北海道東部の川では150歳を超える年齢のカワシンジュガイが見つかっているとか。
さて、カワシンジュガイ、何を目的として売買が成立するのかという事ですが、これには、また他の生物が関わってきます。
タナゴという魚。 北海道には分布していませんが、種類も多くコレクション性があり、見た目も美しいものもいるので、とても人気の魚なのです。
実はこのタナゴは、二枚貝に産卵するという生態を持っているのです。
要するに、ペットとして飼育しているタナゴの繁殖のため、産卵させる為にカワシンジュガイを買う人が山ほどいるということのようです。
ある研究で、他の二枚貝よりカワシンジュガイの方がタナゴのたまごの孵化率がよかったと報告されていることが発端になったそう。
ですから北海道のカワシンジュガイが大量に乱獲されていたのです。タナゴの産卵母貝になったカワシンジュガイは長生きできずにほぼ確実に死んでしまいます。
「要するに使い捨てにされる為に、販売されているのです。 何十年もひっそりと川の中で生きて、命を繋いできたにも関わらず・・・
使い捨てにされるために乱獲されていたわけなので、今年に入って特定第二種というものに指定されて販売が禁止されたのは本当によかったと思っています。 」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1VQ5S9OEbKEKHiV8I46kqD