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Home [close to you <art編>]

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コロナ禍で「stay home」という言葉をよく耳にしました。
実はそんなことがきっかけで集められた作品たち。ところが状況が徐々に変化し、そのHomeの意味も少しずつ解釈が変わったそうです。
家、住まい、家庭といったイメージに加え、故郷という意味もあります。もっとも身近で安心できる場所、子供の頃の懐かしい思い出・・・
ただ、それだけではない孤独や寂しさを思い起こすような作品もあるそうです。
ご紹介いただいた作品・・・・・・
岡部昌生「オビヒロ・マトリックス1991の10ピース」〜帯広の街の表情や歴史の痕跡を記録にとどめ作品化したもの。フロッタージュ作品。
長谷川哲「HOME 1997-2」〜自宅付近の風景写真が元になっている。独自の制作技法で幻を見ているような印象を与える。
写真をモノクロコピー機に通し、インクが熱で紙に定着する前の段階で取り出し、その画像の上にドローイング。それをさらに撮影し、印画紙にプリント。
ロイ・リクテンスタイン「青い床の室内が描かれた壁紙」〜シルクスクリーン。人が全く描かれていない室内の雰囲気、鏡に映った構図も無機質な印象。
矢柳剛「飛んだえんぴつ バレンタインデー」〜十勝の小学生が作った短詩8編とそのイメージを元に作者が制作した版画を収めた8点組の詩画集の中の1点。
Homeという言葉からどんな印象を受けるでしょう?切り口がホームとして集められたコレクションの数々。
それぞれが心の中に描くHomeとどの作品が共鳴するでしょう・・・。
※尚、写真は北海道立帯広美術館 耳塚里沙氏からお借りしました。
(Homeは11/19まで北海道立帯広美術館で開催中です。)

2023.0913 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏 [close to you <dr.編>]

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この夏、日本は猛暑による高温状態が続いていました。釧路は昨年も急激な温度変化で真夏日の翌日に冷え込み、体調を崩す方が増えたそうです。
今年もそんな日がありました。気温変化や季節的な変化が激しい昨今、この夏は発汗が限度を超え、血液の脱水が起こり、特に高齢者で血管以外の体内から水分調節が出来ないアンバランスが生じるため熱中症による意識障害が起こった方がいらっしゃったそうです。


熱中症は、体温を下げて身体を冷やすだけでなく、このような体内の水分バランスの破綻を人工的に点滴で修正する際に、破綻した体内水分バランスで、酸化ストレスや筋肉融解などで起こった異常、
場合によっては血液浄化や薬物治療などの集中治療で入院を要するケースが増えているそうです。


水分バランス以外にも人間の調節機能(ホメオスタシス)は様々なバランス(酸塩基平衡・代謝安定など)を保つために普段維持されているものが熱中症では破綻するため、意外な合併症を併発することがあるそうです。脳血栓症、心筋梗塞、肺炎や四肢の血流障害、蜂窩織炎などの感染症が起こって重症になる場合も・・・。

特に高齢者では、加齢に伴って今後増加すると考えられている5疾患
(脳梗塞・慢性心不全・誤嚥性肺炎・尿路感染症・大腿骨骨折)が健康寿命に影響するので注意が必要なのです。それらは慢性疾患で、治ったと思ってもまたすぐ繰り返すので、これらの疾患がいったん治ったとしても長期の入院によって生活活動能力が低下し、また別の5疾患を併発することになったりするそうです。こんな数字があるそうです。
大腿骨骨折等でギプス固定をすると安静により1日で1-4%、3〜5週間で約50%の筋力低下が生じる。
> Mäller EA. 1970
骨折が治った一方で全身の筋力低下で歩けなくなり、そのまま誤嚥性肺炎で亡くなる高齢者も。


5疾患をはじめとする何らかの病気を抱える人では、10日間の安静で17.7%の筋肉量減少を認める。
> Puthucheary 2013
とされていて、
入院療養をするとしても常に筋肉を使う運動をリハビリテーションで継続しなければ病気が治っても寿命を短くすることになってしまうのです。

筋肉量の減少ばかりではなく、骨にも長期臥床は影響し3週間の安静臥床により骨盤の骨密度は7.3%低下する。
> 長町頭弘2004 という報告(つまり新たな骨折が多くなる)や
長期臥床により、呼吸機能の低下が生じ、痰詰まりによる肺炎に罹患しやすく、治りにくい悪循環に陥る。
> 佐々木信幸.2022


誤嚥性肺炎、骨折、感染症、血管内脱水による脳梗塞などは相互に関連している可能性があり、

総じて高齢者に対する入院中の安静床や低活動は、ADLの低下や、筋力低下による新規施設入所に関連
> Brown 2004

と言われているそうです。
「これらのことは、病院職員が肌で感じていた印象(元気な高齢者だったのに、手術や入院治療をきっかけとして寝たきりになり、筋肉減少に伴う5疾患で寿命を縮めてしまう経験)を裏付けるものです。現在は、統計データによる科学的検証が行われ、入院期間は出来るだけ短く、活動性を保った在宅や施設入所できちんとリハビリや細かな生活動作運動を継続することが、動物である人間にも終生必要なことであるという考え方になってきているのです。」