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lisa larson seen and unseen [close to you <art編>]

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スウェーデンの陶芸家 リサ・ラーソン。彼女の初期から近年までの代表作に加え、初公開作品を含むユニークピース(一点物の作品)や、ガラスやブロンズの作品、スケッチ画など250点ほどを展示しているそうです。
彼女はグスタフスベリ社というスウェーデンの老舗の陶磁器会社に勤め、そこで製品となるフィギュアの原型をつくっていました。彼女が制作した原型から製品となり、それが会社から販売され、世界に広まっていったのです。
ユニークピースとよばれる、一点ものの作品も多数出品され、特に、1980年に会社をやめてフリーの作家となってからアトリエで日々制作した作品は、彼女の創造性の豊かさをよく表していると敷田氏。「陶器の筒から人間が出てこようとしていたり、逆にダイブしていたり、などというようなユーモラスな作品から、身近な人たちをモデルにした作品、また、様々な釉薬や模様をもちいた陶器の器などもご紹介しています。さらには、リサさんの夫で画家で版画家のグンナルさんの作品も展示し、彼らがインスピレーションを与え合っていたこともおつたえする内容です。」
そして、忘れてはならないのが、未知の動物という空想上の動物たち。制作のきっかけは、1950年代のスウェーデンの流行歌に触発されて作り始めたそうです。実際に存在はしない、なんとも不思議な動物たち。こちらは、日本の展覧会に出品されるのは初めてと。


敷田さんがオススメのコーナーは「マスメディアの中のリサ・ラーソン」。日本で2000年代以降に開催されたリサ・ラーソンの展覧会は今回で4回目なのですが、その中でも初めて組まれた内容です。彼女がスウェーデンでのマスメディアの中でどのように取り上げられてきたか、ということを主に60年代、70年代の雑誌記事などから紹介しているそうです。女性で仕事があり、しかもクリエイティブ。世界中で販売される商品の仕事をしていて、さらに、同じくクリエイティブなアーティストの旦那さんと、子どももいる。そしてアトリエをもっていて、そこで制作活動をしている、というような、リサ・ラーソン、ひいては、当時の人気女性アーティストの立ち位置のようなものが分かるとおっしゃっていました。
「彼女は多分、理詰めで考える人ではなく本能の赴くまま、というか、彼女も言っていますが、まさに手の中から材料を触っているうちに自然に形ができあがってくるような、そういう感性に従って創作を行うタイプの作家のように思います。だからこそ、親近感のある、ずっと身近においておきたくなるような・・・でも、時には、ちょっとドキッとするようなユーモア、もしくは毒のようなものもある作品を作ってこられたのではないかなと思います。」


※尚、写真は北海道立帯広美術館 敷田弘子氏からお借りしました。
(リサ・ラーソン展は11/19まで北海道立帯広美術館で開催中です。)

2023.0920 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏 [close to you <dr.編>]

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今回は複数臓器にまたがる癌予防で話題となっている遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)について。
BRCA(Breast cancer susceptibility)遺伝子変異(乳がん感受性遺伝子)は、癌の起こりやすさの原因となる変異。乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵がんに加え、東アジアに多い胃がん、食道がん、胆道がんの疾患リスクを高めると言われているそうです。BRCA遺伝子変異が陽性だと、細胞分裂の際に細かな遺伝子の傷を修復する作用が損なわれるため、細胞分裂のたびに細胞が癌化するリスクが上がるということ。実は泌尿器科では、前立腺がんの治療中にホルモン治療や放射線治療、全身化学療法などに抵抗性の進行がんにこのBRCA遺伝子変異を調べると異常が見つかるという事が数年前からわかってきたそうです。
日本人の女性は、生涯のうちに11%が乳癌を、1%が卵巣癌を発症するといわれているそう。一般的には癌は遺伝する疾患ではないのですが、遺伝性乳癌卵巣癌は親から子へ50%の確率で遺伝するそうです。BRCA遺伝子の異常が無ければ、日々身体の中で起こっている細胞分裂時のDNA複製時の「傷」「エラー」を逐一修復する働きがあるので癌にはなりにくそう。それが遺伝子異常があると家系の中に癌が多いと言うことになるそうです。
癌で手術した組織を調べると、この遺伝子異常がわかり最近では血液からも調べられると。一部は健康保険適応もあるのですが、高価な検査。現在、一定の条件の元、費用を研究費で負担して遺伝子医療拠点大学(北海道は北海道大学)病院で研究参加によって検査を研究費で行う方法もあるとおっしゃっていました。また、自費で数十万円かかりるそうですが血液検査でBRCA遺伝子異常があるかどうか検査を受けることが可能。問題は、結果を本人家族がみんな知りたいかどうかとのこと。
検査をする時に遺伝子検査についての専門のカウンセラーと面談することが推奨されています。自分も肉親が病気になった時に、それが自分にも起こり得るのかな?と気になりますよね。家系だから、体質だから、遺伝だから、と言えるのは科学的根拠が無いから想像して言うだけなので、その根拠が遺伝子検査でかなりはっきりわかるとすれば・・・知りたいという方、逆に知りたくないという方もいらっしゃるはず。釧路には常勤のカウンセラーが居ないそう。「外来に集まったご家族ご本人にお話をしたことがあります。BRCA遺伝子異常があるか検査をしますか?」と。ご本人は陽性だったらそれを修復する薬もあるので、前立腺癌の進行した状態であれば希望の光になるはずです。しかしご家族には、本人が陽性と分かれば自動的に遺伝性があると言うことになり、そのことを誰に伝えるかの二者択一を迫られる・・・。
カウンセラーはその辺を十分把握した上で、どの癌に今後どの程度の確率でなる場合があるのか、例えばアンジェリーナ・ジョリーのように反対側の正常か乳房や卵巣まで予防的に摘出するかどうかまで考えてカウンセリングすることになるそう。現在は出張で複数の大学からカウンセリングの訓練を積んだ医師が定期的に出張してきているそうです。
※出典 https://johboc.jp/guidebook_2021/?fbclid=IwAR1tz9jmoNOI5yTyWy0KEiSGGtjeXb6rshYjIov9rdLJdHwXu4H7n1qBIWE