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深海調査研究船かいれいの退役(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1_ホノルル港出港.jpg 写真2_海フェスタ尾道_差替え版.jpeg
写真3_横須賀本部岸壁に着岸中の「かいれい」.jpgまずは、JAMSTECの調査船についてのご紹介から。
「かいれい」が退役したことで、現在JAMSTECでは6隻の調査船が運航されています。
深海潜水調査船支援母船「よこすか」、海洋地球研究船「みらい」、
海底広域研究船「かいめい」、東北海洋生態系調査研究船「新青丸」、
学術研究船「白鳳丸」、地球深部探査船「ちきゅう」の6隻。
満澤氏はすでに退役した海洋調査船「なつしま」や「かいよう」には入社当初からかなりの日数で乗船していたそうですが、ここ10年位は業務の関係で乗船はほとんどなかったと。
ただ、昨年から久々に地震・津波観測監視システムDONET整備の関係で年2回ほど乗船。
先月もその関係で「新青丸」に乗船なさっていました。
退役した「かいれい」建造された90年代は海嶺や海溝等の深海調査が積極的に行われていたそう。
「かいれい」には当初「よこすか」で運航されていた「かいこう」という世界最深部の
マリアナ海溝に潜ることができる11000m級の無人探査機を搭載し運航することが
ミッションの一つでした。「かいれい」に搭載された「かいこう」はマリアナ海溝では世界最深部10900mのチャレンジャー海淵に潜航し、最深部の水深を圧力計を使って正確に測ったり、数cmのヨコエビを採取したりしました。また、海底の熱水活動が見つかっていなかったインド洋の中央海嶺では初めて熱水活動を発見。
探査関係では、戦時中に沈没した学童疎開船「対馬丸」の海底での確認、小笠原沖の海底に沈んだH‐Ⅱロケットの部品を発見するなど数多くの成果があるそうです。
別のミッションとしては地震に関係するものが柱としてあったそうです。
マルチチャンネル音波探査システムと呼ばれる海底下深部構造を探査するためのシステムが搭載されていて、それはエアガンと呼ばれています。
海面付近で圧縮空気を一気に放出して音をだす装置から音波を発振し、海底下の地層や岩盤から反射してくる反射波を受信。
海底下十数kmの地下の構造、例えばプレート境界や断層がどこにあるかなど詳細に把握することができるそうです。
音波探査で海底の構造が把握できると、例えば発生した地震の震源がプレート境界なのか、プレート境界より上か下か等、どの様な場所で起きたかがわかる事で影響の範囲を推察することができるのです。音波探査については、現状日本の周辺すべてがカバーされてはいないので、「かいれい」のミッションは、より高性能なシステムが
搭載されている「かいめい」に引き継がれているとの事。
「私自身の「かいれい」との関わりや思い出は・・日本海溝の底層流の調査の為1回乗船したことがあります。
また、乗船はしていませんが、私がシアトル事務所にいた時、ハワイ・ホノルル沖でアメリカの潜水艦に衝突され沈没した「えひめ丸」の遺留物の調査を「かいれい」で行った時に、ホノルルで対外調整などの陸上支援をしたことや、カナダの西海岸沖で音波探査航海実施に向けカナダ側と調整を進めていたのですが、環境団体との調整が
うまくいかず出港直前に調査ができなくなった事などが記憶に残っています。また、東北地方太平洋沖地震発生後の3月14日に緊急調査として出航し海底地震計の設置や
海底地形・海底下構造調査をがれきが漂流する中で行っています。この時は、私は「ちきゅう」で八戸の小学生の見学対応で被災しそのまま船から降りる事が
できなくなっていた状況で、「かいれい」がすぐに調査にでたという事で、研究機関として最大限やれることをやってくれ!!という気持ちでいたことが思い出されます。
実際の乗船回数は少ないですが、JAMSTEC職員としては思い出が詰まった船が退役するのは寂しいかぎりです。」
●「かいれい」退役:https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20220202/
●記録動画(YouTube JAMSTECチャンネル)「深海研究船に乗る」JAMSTEC LAB VISIT SERIES #03 : https://www.youtube.com/watch?v=yvGvL2TLhAA
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真上(左)はホノルル港を出港する「かいれい」(2001年9月)
・写真上(右)は海フェスタ尾道での入港歓迎式(2012年7月)
・写真下は横須賀本部岸壁に着岸中の「かいれい」(2021年12月)

2022.0318 O.A 「今なぜシェアハウス?」 [varied stories]

達川慶輔さん(ゲストハウスオーナー)
https://thegeek.jp/

実は、最近、東京から同じシェアハウスに住む20~40代の方たち10人くらいが3泊4日で貸切でGEEKを利用なさったそうです。
そこで感じたシェアハウスの今、トレンド、ニーズ等についてお話ししていただきました。
そもそもシェアハウスとは? 居住スペースです。事業者介在型=シェアハウス ルームシェアとは、友人同士などで直接貸主から物件を借りて住む居住形態。
シェアハウスは運営事業者が介在するケースが多く、入居者の募集から運営、物件管理までを運営事業者が行い借主へ賃貸する居住形態のことです。
男女比率は半々。 トイレ・バス・キッチン・洗濯スペースなどは共同、部屋のみ個室。
達川氏が感じたことは、自身の意見などが確立していて、物おじせず言いたいことは言う人が多かったと。海外思考が強い方々が多い印象を受けたそうです。
そこで、標茶高校の高校生を二人招き、交流を図ってもらう場を設けたそう。お一人は札幌にある起業家シェアハウス(U-25起業家シェアハウス)に応募もしていたそう。
なぜ今、シェアハウスは人気なのでしょうか? 「カーシェア」や「SNS」等「シェア・共有」を用い、合理的でシンプルに生きたい人々のニーズにあっているのでは?と。
「シェアハウス」もTVドラマやバラエティー番組、各種メディアにも多く取り上げられるようになり、広く日本中に浸透しはじめました。
また、2011年の東日本大震災以降、コロナ禍においても、若者の間で「人とのつながり」を求める動き(=ソーシャルシフト)が活発化したことが考えられると
おっしゃっていました。 価値観の変化からより自分のライフステージにあう合理的(敷金・礼金・仲介手数料¥0など)な賃貸住宅へのニーズが高まったことは、
シェアハウス人気を後押ししているのかもしれません。ハード面においては、近年、賃貸住宅の空室が目立ちはじめ、不動産業界におけるリノベーション市況の活性化の
後押しや、古い戸建や利用価値を終えた社員寮などをシェアハウスとして再利用するケースが多く、
特に特徴のある内装デザインや家具・インテリアを共有スペースに設けている物件が人気を集めているそうです。
その他にも、通常の一人暮らしでは中々手が届かない大型スクリーンを配したシアタールームやフィットネススタジオ、本格的な楽器演奏が可能な防音室、
プロ仕様のキッチンなど物件の高付加価値化が進んでいるとか・・・。
よく聞かれる質問にゲストハウスとどう違うの? というのがあるそうですが、ゲストハウスとは、宿泊施設の形態のひとつをさします。
ホテルや旅館に比べて宿泊料金が安い代わりにドミトリーがある他、アメニティ用品が無かったり、トイレ、シャワー、キッチン等の設備も共用になっています。
シェアハウスは宿泊施設ではなく住居なので、入居時に賃貸借に関係する契約書を貸主や運営事業者と結んで入居します。
コロナ禍で様々なニーズに対応するべく形態を多様化させ、それぞれの人々のニーズに寄り添う便利なサービスが始まる時代なのかもしれません。
※写真は達川慶輔氏からお借りしました。
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