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2022.1027 O.A 邦楽 [chord 5]

・SPARKLE / 山下達郎
・恋するカレン / 大瀧詠一
・モンロー・ウォーク / 南佳孝
・I CAN'T WAIT / 佐藤博
・ほうろう / 小坂忠
・ルビーの指環 / 寺尾聡
~今回は邦楽一般。シティポップ特集男性バージョンです。
セレクトは村田氏。今回の出演は、村田氏&midoriでお送りします。

潮目と魚〜果てしない自然への挑戦(黒田 寛編) [fun science]

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潮目のお話しです。まずは、海の中で魚はどこに集まるのかについて。海底付近に生息している魚(いわゆる底魚)は、岩礁、砂の上、あるいは泥の中が好きな魚もいます。
一方、海面付近で生活する魚(いわゆる浮魚)は、底魚の様に底質を選んで生活しているわけではなく、いつも風景の変わらない水面近くで生活しています。
ただ、浮魚は海の中に均一に分布しているわけではなく、何か都合の良い条件の場所があるとそこを選んで生活、または、集合する、その一つの条件が潮目であると
考えられているそう。潮目は、海の不連続線と考えられていると。その線を境に海の性質(海水の温度や塩分、海流など)が急変する場所というイメージです。
潮目は、例えば、温かい海水と冷たい海水が水平的に接してる場所などに現れると。ですから、黒潮を起源とする暖かい海水と親潮を起源とする冷たい海水が到来する
三陸や道東沖などでは、たくさんの潮目が分布し、日々、その場所や強さが変化しているのです。
海の中にたくさんの潮目があり、魚がそこに集まり良い漁場になることは、昔から漁業者は経験的に知っていたようです。それを世界に先駆けて科学的に調べたのは日本人の宇田道隆先生。今から約100年程前に始まった研究テーマとのこと。そして、現在でも、世界の海で、世界の研究者が「魚と潮目」について調べているそうです。
この100年間で潮目と魚の関係について様々なことがわかりつつあるそうですが、一方で、未だによくわからないこともたくさん残されていると。
「調べれば調べるほど「わからないことがたくさん溢れ出てきた」という方が正しいかもしれませんね。」
黒田氏も『釧路沖の潮目と漁業の関係』について調べているそう。特に、注目しているのは秋の道東沖 大陸棚域に分布する潮目。
この道東沖の潮目周辺では、近年、旋網船団がマイワシ狙いの操業をしています。宇田先生の「海と魚」という本にも潮目とマイワシ魚群の航空写真が載せられているそうですが、なぜ、道東沖のマイワシは潮目周辺に分布するのか?ということを説明できる定量的、科学的な答えがないと・・・。
彼は道東沖大陸棚域での潮目の性質を調べる事から始めました。Landsat-8(人工衛星)による水温画像と船舶観測を組み合わせ潮目の長さや幅等の形状を調べました。
例えば、2016年10月13日の潮目を可視化すると道東の大陸棚に沿って、100km以上の長さの潮目が分布していました。
潮目の沿岸側には低温の海水、潮目の沖側には高温の海水が分布。ただ、潮目は単純に1本ではなく、場所によっては2本(潮目が2重に)分布する場所もあり、
潮目が波のようにウネウネと蛇行していることが特徴と。また、潮目の幅は、長さ100km以上に対して僅か100m~1km程度という細さで、これについては驚きだったと。
まさに、潮目が海の不連続線と言われる特徴。さらに、わかったことは、この様な潮目はじっと止まっているわけではなく、数十cm/s以上の速さで陸棚に沿って海水と
ともに流されているということ。ですから、たった数時間前に観測船で横切った潮目が数時間後には海流に流されて場所が変わる、あるいは、消えてなくなるような潮目もある、そんな急速な変化が生じていることもわかってきたのです。
そして、重要な事実として最新鋭の観測機器を用いても、この変化の大きな潮目の四次元構造を観測データのみから捉えることは恐らく不可能に近いということ。
「ですから、鍵となる断片的な観測データを取得する戦略と、シミュレーションを使ってバーチャルに四次元構造を研究するという戦略を組み合わせて潮目の全体像を
明らかにする、そんな戦略を立てながら研究を進めています。」
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4xzzAEnm0k9ExLRr41NurX

2022年、キタサンショウウオにとってどんな年だった?(照井 滋晴編) [nature treasure]

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キタサンショウウオは冬になると、ヤチボウズの中や土の中、木の根の隙間などに潜り込み、繁殖期である春が来るまでじっと動かなくなってしまうそうです。
繁殖期はだいたい4月頃からなので、彼らの活動期間は8ヶ月程度、1年の1/3は活動をしていないことになります。なので、彼らの1年はそろそろ終わってしまうそう。
2022年という年はキタサンショウウオたちにとってどんな年だったでしょう?「私はよい1年だったのではないかと思います。特に今年生まれた子たちにとって。」
その理由としてはこの夏の雨の量。今年生まれのキタサンショウウオ4月に産卵され、5月末には孵化。孵化した幼生は6月~8月を水の中で過ごし、その後手足が生えエラがなくなり、陸上生活に移行。4月から8月までの5ヶ月間は水中で生活します。ですからその間生活する水域の水量が維持されなければいけないわけです。
繁殖期である春は雪解け水によって産卵水域が作られますが、その後は降雨による影響が大きく、その年の天候に大きく左右されてしまうそうです。
繁殖期にたくさんの個体が繁殖活動に参加し、多くの卵嚢が産まれたとしても、その後雨が降らなければ産卵した水域は干上がり卵嚢や孵化した幼生は乾燥して
死んでしまいます。ただ、幼生期である6月~8月頃に十分な量の雨が降れば、産卵水域の水量が維持され、多くの幼生が成長し、変態・上陸することができるということ。
今年はまさにそういう年だったと照井氏。2020年は、6月~8月の降水量の合計は280.5mm。2021年は219mm。いずれの年も7月頃に実際にキタサンショウウオの調査を実施したところ、干上がってしまっている繁殖水域が多数あったそうです。そのような場所ではもちろん孵化した幼生も死んでしまったと思われます。
今年は6月~8月の降水量の合計は678mm、一昨年、昨年の倍以上の降水量。サンショウウオにとっては生活場所である水域に十分な水量が保たれ、多くの幼生が上陸するまで無事に成長できた年だったのではないかと。 実際に調査の際に今年生まれと考えられる小さなキタサンショウウオに出会う機会は、数年では1番多い印象だったと。
今年の様な年が何年も続けば、毎年多くのキタサンショウウオが無事に上陸することができますが、もちろん一昨年、昨年の様に雨がなかなか降らない年もあります。
「私は、その年その年で、今年はたくさん上陸できたかな、今年は残念ながらほとんど死んでしまったかもしれないなど、一喜一憂してしまうのですが、
キタサンショウウオにとってはそこまで大きな問題ではないのかもしれません。 」1年、2年厳しい年が続いても彼らがすぐに絶滅してしまうということはないそうです。
キタサンショウウオはそれなりに寿命が長い生物で、10数年は生きることができます。3歳になる頃には成熟し繁殖活動に参加できるようになり、それから死ぬまでの
約10年間は栄養状態が悪くなければ何回も繁殖活動に参加できます。単純な計算をすれば、その間に2個体以上の子孫が育てば個体群を維持することができるわけ。
1年、2年失敗しても今年のようにたくさんの幼生が上陸できそうな年があればキタサンショウウオという種を存続させることができそうです。
今年上陸した幼体も、冬を越すためにたくさんの餌を食べ、これから冬を越そうとするのだと思われます。
「次の心配は、次の繁殖期に産卵することができる水域をしっかり形成することができるくらいの雪が降ってほしいなということです。
ただ、あまりに雪が多いと人間の方がまいってしまいそうなので、ちょうどいい量がいいですね。」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/27wLf2SBsqVrPedQWl1Avk