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前ジテ・後ジテの関係 ~二場物の能~(中西 紗織編) [varied experts]

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どうして能では主人公が入れ替わることがあるのでしょう?とても疑問に感じてお聞きしました。
「これが正解というものはなささそうですが、おそらく面白い!から・・ということではないでしょうか。」と中西氏。
世阿弥の時代からこの形式(前場・後場で主人公が入れ替わる)はあり、世阿弥は伝書の中で、様々な意味において「面白し」とか
「見所の批判」(観客の目や評価)ということをとても重視していたそうです。
能の(演劇的)構成に注目すると、二場物・一場物という分類ができるそう。
主人公が入れ替わる能は「二場物(にばもの)」、つまり二つの場面がある能。
入れ替わらない能は「一場物(いちばもの)」ということになるそうです。
ただ、二場物でも、前ジテ・後ジテが化身・本体ではなく、全くの同一人物というものもあるそうで・・・。明確には分類し難いものもあるのが現実。
その中で、二場物の典型として複式夢幻能と現在能というものがあります。夢幻能とは、亡霊等の超現実的な存在をシテ(主人公)とするものです。
世阿弥が確立した作劇法では多くは二場物なのだとか。対して現在能とは、この世に生きている人物をシテ(主人公)とします。
上の左の写真は、井筒。これは前ジテが里の女で、後ジテが紀有常の娘の霊。
そして真ん中の写真は、船弁慶。前ジテが静御前で、後ジテが平知盛の怨霊。こちらは前ジテと後ジテが全く別個の役柄を演じます。
ちなみに船弁慶は仇同士という設定です。同じ人が一つの舞台で全く別の人格を演じる・・何と無く聞いただけだととても難しそうな感じがするのですが。。
この他には、前ジテ・後ジテが単に全くの同一人物ということもあるそうです。
例えば、狂女物や斬組物によくある一旦退場したシテが扮装を変えて再登場することが多いそう。
シテが入れ替わる能、ちょっと気になってきませんか・・・?

2021.1210 O.A 「野生のペリカン」 [varied stories]

鈴木雅章さん(翻訳者・ライター)

ペリカンは、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、ユーラシア、オーストラリア、ニュージーランド、スリランカ等の沿岸や湖沼などの暖かい場所に生息する鳥。
世界には、ペリカンは全部で約8種類、たいていは群れで行動しているそう。日本の動物園によくいるのはモモイロペリカン(White pelican)だそうです。
最大種はハイイロペリカンで全長170cm。大きいですね。ペリカンは、くちばしの下の袋(咽喉嚢)が特徴。 主に魚類、たまに甲殻類を食べることも・・。
獲物がないときは鳩やカモメを食べることもあるとか???。獲物を水ごと含み、水だけを吐き出すそうで、咽喉嚢には約10リットルの水をためる事ができるそうです。
また、人によく馴れ、時には主人の元に魚を持ってこさせたりするほどにしつけることができるそうで、ペットとして飼育されることもあると。
一般的に寿命は約10~25年くらい、ただ、人に飼育される場合は、50年以上生きることもあるそうです。
オーストラリアに棲息しているのは、オーストラリアン・ペリカンのみ。日本語だとコシグロペリカンといって腰のところが黒くなっているペリカン。
「我が家から車で北に30分ほど行ったところにジ・エントランスという場所があり、ペリカンの餌付けで有名なんです。
The Pelican Capital of Australia、オーストラリアのペリカンの首都とも呼ばれています。」
毎日15時30分にペリカンの餌付けショー、ペリカン・フィーディングが行われ、休日には多くの観光客が集まるそうです。
実は、ペリカン・フィーディングは30年ほど前、地元のフィッシュ&チップスショップのスタッフが毎日ペリカンに残飯を与えていた事から始まったそうです。
そのうち、ペリカンはスタッフに餌を要求するようになり、現在のような餌付けショーにつながったとのこと。そして、1996年に地元の再生計画の一環として
地方自治体とスポンサー企業の協力でペリカン・プラザが建設され、ペリカンに365日、新鮮な魚を与える事ができるようになったそうです。
餌付けショーは無料ですが、餌代や怪我をしたペリカンの救助や治療に必要な器具の購入のために、ショーの最後に寄付を集めているそう。
現在は、残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の防止策として、ペリカンの餌やりショーは中止になっています。
「ショーはやっていない事はわかっていたのですが、先日行ってみたんですね。餌やりは無いにも関わらず、シドニーあたりからやってきた観光客とペリカンたちは結構いました。なんだかじっと佇んでいる姿に寂しさというか悲しさを感じましたね。」
※写真は鈴木雅章氏からお借りしました。
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