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2022.0413 O.A 市立釧路総合病院 泌尿器科 森田研氏&医療技術部 検査科 塚本英範氏~1~ [close to you <dr.編>]

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市立釧路総合病院の検査科には医師1名、臨床検査技師34名、検査助手4名がいらっしゃいます。あまり知ることのできない仕事内容について伺いました。
検査技師の仕事は、医師が病気の診断・治療・予防・早期発見に必要な検査をしてそのデータを報告。主な業務は検体検査と生理学的検査の2つに分けられるそうです。
検体検査とは、採取した血液、尿、便、組織、細胞等の成分を検査すること。患者さんから採取したものを検体と呼びますが、
検体検査では、平日1日500人を超える数を扱っていらっしゃいます。例えば1人の患者さんから血液と尿を採取し検査した場合、2つの検査を行うことになるので、
500人とは言っても、それ以上のものすごい数の検査をなさっているということなのです。
生理学的検査は、直接患者さんの身体に触れ、検査機器を装着して行う検査のこと。例えば脳波検査、聴覚検査、心電図の検査等も含まれます。
この生理学的検査は平日1日100人を超える患者さんの検査をなさっているそうです。
血液・尿等の体液分析検査は、生化学検査、血液検査、一般検査部門で測定。生化学検査では血清を分析。血液中の酵素・脂質・糖質・無機質等を測定しています。
これは肝機能検査、腎機能検査、脂質検査、糖尿病検査など50を超える項目を測定しているそうです。
また、免疫血清検査は、血液中の抗原や抗体反応を利用して感染など免疫に関係する病気を診断する検査。腫瘍マーカーの検査ではガンの存在や治療効果をみることが
できるそうです。他には心筋マーカー、感染症、炎症マーカー、ホルモン等々約30項目を測定していると。
そのほかには、血液検査、一般検査等もあり多岐にわたる項目をチェックなさっているのです。
血液に関するもの以外にもまだまだチェック項目はたくさん。感染症に関わる培養・同定・薬剤感受性検査というものもあります。
細菌検査で喀痰・便・尿等を培養し、肺炎や下痢、膀胱炎等感染症の原因となっている微生物を見つけたり、感染症を起こしている原因菌にきく薬も調べるそうです。
この菌種を同定することに以前は1日以上かかっていたそうですが、4年前に導入された質量分析装置により数分でできるようになったとおっしゃっていました。
昨年から中央採血室の運用を始めたそうです。採血は看護師さんの仕事と思われている方が多いと思いますが、臨床検査技師も採血をすることができるそう。
検査科の技師が採血業務に加わり採血をなさっています。「今後チーム医療が進む中、検査をするだけではなく、検査を理解し、更なる技術や知識を習得して
専門性を高めていく必要があると思っています。それが検査が必要な患者さんに質の高い検査を行い、必要な治療・予防につながると思っています。」

能のQ&A~02(中西 紗織編) [varied experts]

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今回は能にまつわるQ&Aの第2弾をお送りします。
・能の声って独特。どうやって出すの?
〜腹式呼吸で腹筋や横隔膜を使い声を出す。体全体に響かせた、どっしりとした安定感のある声。
能の発声は、体の重心は下の方、おへその少し下辺りの丹田というところにあると言われている。
「下につく声」「息を下につけて出す声」という言い方で表される。
・能はなぜあの様な歩き方をするの?
〜摺り足と呼ばれるもの。能のシテは多くの場合、オモテをかけて演じる。できる限り上半身を動かさずに演じる。よって摺り足。
歩行芸術とも言われる能の美しい身体表現を可能にしている方法。
・子供が大人の役を演じるのはなぜ?
〜能では子役のことを子方と呼ぶ。主に3つの理由がある。
1)シテ中心主義。2)できるだけ人間のリアルな関係や感情を出さないため。3)子方が登場する能がつくられた時に子方の名手がいたから。
そして少年を愛でるという考え方があったから。儚い存在を表現するために役柄上は大人であっても子供が演じるということもある。
声変わり前の少年、または女の子が子方を演じることも。子方の一声で場面の空気がガラッと変わるという効果もある。
・後見って何をする人なの?
〜本舞台に向かい左端の囃子方の後ろ、鏡板の前に二人座っているのが後見。シテの装束を直したり、シテの持ち物をかえたり、道具の出し入れを手伝ったりする。
さらに重要な役割は、万一シテが舞台上で倒れた時等の緊急事態に代役をつとめること。決して能の舞台は中断することがない。

2022.0408 O.A 「今年の冬の撮れ高!」 [varied stories]

逸見光寿さん(写真家)
https://coju.info/

今年は流氷の当たり年・・・新聞紙上でも流氷の話題が多く掲載されていました。
根室の流氷初日は2月9日、平年より2日早く、昨年より22日早く・・・とにかく長期間にわたって流氷を撮影するチャンスに恵まれたと嬉しそうな声が印象的。
根室の流氷の魅力は、ビッシリ接岸し過ぎないところ。雪原だと真っ白で絵にならないのですが、適度な流氷の量がなんとも言えない雰囲気を作り出すのです。
また、撮影ポイントの多さも魅力と逸見氏。流氷は、天候や風向きなどであっという間になくなってしまいますが、
今年は何度も繰り返し接岸し、長い期間撮影をすることができたと。
そのためにはロケハンが大事です。流氷を撮影するためには、どこに流氷がきているか等情報収集が大切。テレビ、新聞、SNSもチェックするそうですが、
海上保安庁が運営する「海氷情報センター」のHPをよくご覧になったそうです。
とは言っても、どこにどんなカタチで出現しているかは、行ってみないとわからないので、事前のロケハンが大事になるのです。
根室以外にも浜中町にも出かけました、浜中に流氷がきたのは5年ぶり。ここもロケハンしていたので、奇跡の風景をものにできたと教えてくださいました。
そして、流氷は何と絡めて撮るかがポイント。流氷だけ撮っても、感動を伝えるのは難しいので、そこにある色のコントラスト、動いている流氷と動かない何かとか。。。
さらに動物が現れてくれると楽しみが倍増します。逸見氏は納沙布岬で、気になっているラッコに遭遇なさったそう。
以前新聞で、ラッコに魅せられて釧路町に移住した方が、納沙布岬で流氷に乗るラッコを撮影したという記事を目にして、チェックなさっていたとか。
そこで出かけてみたそうで、岬に行くと、なんと流氷に乗るラッコがいたそうです。しかも海にはもう1頭。
遠くにいたので鮮明には撮れなかったそうですが、超望遠レンズを使いなんとかとらえたそうです。
また、別の日には、流氷に乗るラッコ以外に流氷の間を泳ぐミンククジラやアザラシも・・・と、とても感動した様子を語ってくださいました。
※写真は逸見光寿氏からお借りしました。
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2022.0407 O.A 洋楽 [chord 5]

・Livin' On A Prayer / BON JOVI
・You Give Love A Bad Name / BON JOVI
・Always / BON JOVI
・Runaway / BON JOVI
・It’s My Life / BON JOVI
~今回の洋楽編、BON JOVI 特集です。
セレクトはToshi氏。今回の出演は、Toshi氏&midoriでお送りします。

温度を測る〜歴史2(中山 雅茂編) [fun science]

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最近は、温度計にはまっている中山氏。今回もまだまだ続きます。ところで、前回お話にあったガリレオが発明した温度計はなぜ気圧の影響を受けるのでしょう?
空気が膨張する現象を利用した温度計だったからです。温度計の容器の中の空気が、温かくなると膨張し、寒くなると収縮するのを利用した温度計。
ですから温度だけでなく、気圧の変化によっても空気は膨張したり収縮したりするので、いつでも・どこでも同じ様な値を再現することができなかったという訳です。
次に誕生したのが、気圧の影響をほとんど受けない液体を入れた温度計。1700年代に、ファーレントハイトというドイツの物理学者がアルコール温度計をつくりました。
その後、水銀を入れた水銀温度計を作ったのもこの方。
1724年、ファーレントハイト氏が、アルコールや水銀を入れた棒温度計を作った時には、目盛が現在とは違っています。
華氏(℉)という単位が使われていて、氷の融解点、氷が融ける温度が32度、人間の体温・血液の温度を96度とするものだったそうです。
なぜ氷の融ける温度が32度?基準にする対象物として、氷という水に着目したのではなく、低い温度の基準をどうしようか悩んだそうです。
ファーレントハイト氏は、当時、実験室で得られる最も低い温度を0度にしています。これは、水と氷と塩化アンモニウムを混ぜることで得られる温度。寒剤の一つです。
日本で私たちが普段使っている温度にすると-17.78℃(摂氏度)になります。
1730年に、フランスの自然科学者レオミュール氏が氷の融解点を0度、水の沸点が80度になる温度計を発表。この目盛をレオミュール度(°Re、列氏温度)といいます。
0度は現在の基準と同じになるので、納得!と思いますが、水の沸点が80度という、こちらは、???
現在使っている温度計の単位に使われている「°C」と書く「摂氏度」は、氷の融解点を0、水の沸点を100にして、0~100の間を100等分して目盛をふるという決め方。
一方、この1730年頃にレオミュール氏が作った温度計は、0は氷の融解点を基準にしていますが、目盛をどの様にふるかがちょっと違うそうです。
ガラス管の中に入れたアルコールの体積が増える割合をもとに1度という幅を決めているそう。氷の融解点を0度にします。
この冷たい温度に置かれたアルコールの体積を1000とします。温度が上がるとこのアルコールの体積が増します。膨張するわけです。
もとの1000分の1だけアルコールの体積が増加すると+1にするという基準にしたということの様です。
この様なガラス管の中にアルコールを入れた温度計ですが、ガラス管の上部が空いている温度計でした。レオミュール氏が作った温度計は、水に浸して水をどんどん加熱していくと、沸騰した水の状態では、ガラス管の中のアルコールが沸騰。この時のアルコールが沸騰し始める温度が+80となったということ。
次に考えられたのが、現在使われている摂氏度という目盛の温度計になります。それは、スウェーデンのセルシウスという天文学者が、1742年の論文で、
水の沸点を0、氷の融解点を100とする目盛をもった水銀温度計として発表しているそうです。ただ、この時は、現在と逆で、水の沸点が0、水の融解点が100だったそう。
その後1752年までに複数の人の発想で氷の融解点が0、水の沸点が100に逆転され、現在の目盛になったそうです。

凍った湖にできる湯壺とは?(尾山 洋一編) [nature treasure]

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湯壺というと、一般的に温かいお湯、つまり温泉が沸き出ている場所を想像すると思います。今回のお話しの湯壺には大きく2つのでき方があることが分かっているそう。
一つは水深の浅い所。阿寒湖では、水深が20cm程度の場所で見かけると。形は円形か楕円形。直径が5mに達するほど大きなものあるそうです。
このような場所は、温泉の熱が湖の氷を溶かすことで、湯壺が出来上がるそう。
古い資料によると、水温は湯壺の中心で25℃程度、縁でも5℃程度あるそうです。
もう一つは水深の深い所。阿寒湖では水深が30mくらいの非常に深い場所にも湯壺ができるとの事。
なぜ、深い場所にも湯壺ができるかというと、湖底から火山性のガスが出ているからなのだとか・・・。
ガスが湖底から水面に上がる際に、湖底から水面に向かう、上向きの水の流れが発生します。この流れによって湖底の水が水面まで上がります。
冬の湖の水温は、氷の直下で約1℃くらいですが、水深の深い場所は水温が4℃くらいあります。つまり、冬は湖底の方が水面よりも温度がやや高いのです。
4℃というのは、水の密度が最も高くなる水温。つまり水が最も重くなる水温です。
重い水は湖の深い場所に溜まるので、実は深い場所というのは、台風等で湖水がかき混ぜられない限り、季節を問わず4℃くらいなのだそう。
この湖底の4℃くらいの水が、火山ガスがつくった流れによって水面上まで運ばれるので、周辺よりも氷は薄くなり、場所によっては氷に穴が開きます。
ですから、水深の深い場所にできる穴は、正確には「湯壺」とは言えないのかもしれません。
水深の深い場所にできる湯壺は、たいていは薄い氷の上には雪が積もっている状態なので、見た目ではどこにあるのか分かりません。なので非常に危険です。
古い文献によると、馬が落ちたと記載されていたそうです。おそらく、氷の上で馬を使って荷物を運んでいる際に、誤って落ちてしまったのだと思いますと尾山氏。
・・・という事で、湯壺には2つのでき方があり、一つは浅い場所で、温泉の熱が氷を溶かしている場合、
もう一つは、深い場所で、火山ガスが湖底の4℃程度の水を水面上まで運んで氷を溶かしている場合です。
場所によっては火山ガスと温泉の両方が出ている場所もあり、その様な場所は大変危険です。
「湯壺のできる場所は地元の方がよく知っているので、決められた場所、あるいはガイド同行の下で行うようにしてください。」
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/7w3RXhh72WhQAuqiUt9mgz

Allegedly, the Nusamai Bridge [close to you <art編>]

3回にわたってお送りしてきたいつもと違った切り口での収蔵品紹介。
題して「疑惑の○○」シリーズ。第3回目は疑惑の幣舞橋シリーズです。
Allegedly, the Nusamai Bridge
非常に幣舞橋を描いた作品が多く、幣舞橋の描き方にフォーカス!!
テーマはどこから描いたかのか問題です。
6夕陽のぬさまい橋.jpegまず、小川原脩の「幣舞橋風景」。
1957年の作品です。今の時代なら考えられることなのですが、1957年にはこんな感じで描くことができたのでしょうか?
高いところから幣舞橋と出世坂を見て描かれています。現在のラビスタ釧路川 の2~3階から描いた感じの構図。
当時、北海道新聞の社屋があったのですが、そこから描いたとしたら角度が違う感じがするのです。
実際に見ずに想像で描けるのが絵ですが、もしかすると色々な要素を抜き出してこの構図にしようとしたのかもしれません。
様々な建物が描かれているのですが、普通に真正面から見た建物と右から見た建物が同じ列で描かれたりしています。
もしかするとそれはわざとなのかも・・・?いろいろな視点から見たものを組み合わせて描いたのかも・・・?
そう思って眺めると余計にわからなくなってくる。そんな作品です。
街灯も描かれているのですが、とても変わった形をしています。
ただ、その時代の看板や公民館等はそのままに描かれています。
その意図がわからず、様々な見方ができるという事を武束氏はご自身の中にためているそうです。
7幣舞橋風景.JPG
続いて、赤穴宏の「幣舞橋」。
小川原脩氏の作品が1957年、こちらは1959年。街灯の様子が全然違うのが疑問。
形が全く違うのです。2年間でこんなに変わったのでしょうか?
構図は久寿里橋みた幣舞橋かな?と思ったそうですが、そこに異議ありと言ったのが私です。
幣舞橋の端のたもとから橋を見上げた感じかな?と思ったのですが・・・。
漁船、木材、船の衝撃吸収用タイヤみたいなものが描かれている感じです。
やはり一番の謎は街灯の形が違うこと。なぜなのでしょう?
さらに、これは幣舞橋なのか?というそもそも論まで出てしまいました。
でもタイトルが幣舞橋なので、やはりそうなのでしょう。
8幣舞橋.jpeg

今回のラストは、大本靖の木版画「夕陽のぬさまい橋」。
おそらく久寿里橋から描いた幣舞橋。川の上には蓮の葉氷がたくさん浮いています。
ですから季節は冬。でも夕日が幣舞橋の真ん中に落ちています。実際冬にはこの位置には落ちないはずですが・・・。
そして、道東の四季の像がたつ前の年に制作されたものだったそう。なぜか完成前の四季の像が・・・。
実は、完成前にこんな銅像が完成しますよということでミニモデルを公開しているそうです。
ですからそれをご覧になっていたのでしょう。その後に寄付を募ったそうで、これは寄付のために制作されたのかもしれません。
むしろ銅像をたてるために作られた作品で、逆に外せない要素だったのかも?と武束氏。

今回は釧路美術館の収蔵品の中からのご紹介でしたが、ほかの作品をご覧になる時に作者になった気持ちで作品を見たり、
斜めから目線で眺めて見たり、違った角度から作品をみると面白い発見があるかもしれません。
※尚、写真は釧路市立美術館 武束祥子氏からお借りしました。

2022.0406 O.A 杉元内科医院 院長 杉元重治氏 [close to you <dr.編>]

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この2年位の間、コロナ禍で病院で入院している方と面会ができなかったりすることもあり、在宅医療をのぞむ方が徐々に増えてきた印象があるとおっしゃっていました。
特定非営利活動法人CCL(くくる)の介護と医療の連携に取り組んでいるのですが、その中で肝になるのがすみなれたお家で過ごしましょうという在宅医療の推進。
平成31年に「桑楡の刻」という演劇を上演。人生の締めくくりの時期をどのように過ごして行くかをテーマに、治療を諦め穏やかに最期を迎えようとする主人公を中心に、
そこに携わる人々、現在の医療介護体制等をわかりやすく劇化しました。1回だけでの上演はもったいないという事で釧路演劇協議会とCCLが組み、再度上演。
これは現在もYouTubeでアップしてあります。それに引き続き、続編をショートムービーにして今回お披露目するということになったのです。
こちらは「家族編」「医師編」「家族編」の3部作になっています。前作の構成を引き継ぎ、主人公が在宅支援へ踏み出したところからストーリーは始まります。
約20分くらいの内容、それぞれ関わる視点から製作されたものです。
「家族編」・・・入院治療から在宅での治療へ切り替えた主人公。覚悟は決めたものの、家族はまだ迷っ ていた。
        地域連携室の相談員と話す中で「家族会議」の大切さを知る。家族親族を含めた相互の理解が大切であることが描かれています。
「医師編」・・・主人公の娘が訪問診療を続けている主治医を訪ねる。悩みを打ち明ける娘に、家族がどうしたいのかではなく、本人がどうしたいかを考えるべきと説く。
        そこでは、医師が今まで経験した様々な実例を紹介しています。
「本人編」・・・コロナ禍で在宅医療も変化。入院生活では家族との触れ合いは少ないが、在宅であれば日々を共に過ごすことができる。
        一方で病院にいないということで弊害も少なからずある。その部分をリモートでの診療や投薬、様々な医療体制を経験することで、
        在宅医療の良さに気づいていく。(本人編に関しては、多少手直しがあったそうです。)
2022年3月29日収録時現在、「家族編」「医師編」はアップされているのですが、「本人編」はまだの状態でした。(現在は3編ともアップされています。)
CCL 特定非営利活動法人のhp・・・https://ccl.jp.net/

牛乳を飲もう!(西山 由佳子編) [varied experts]

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新年度とはいえ小中学校はまだ春休み中。春休みに学校給食が休止される事で、牛乳や乳製品の原料である生乳が余って大量に廃棄されるのではと再び懸念されています。
やはり給食が休止になった昨年の暮れから年明けにかけても、全国で過去最大級の5000トンの生乳が廃棄されるのではという危機がありました。
その時には、酪農家の方々が生乳生産を抑えり、乳業メーカーが工場を稼働させ続けて生乳を加工したり、農業団体や企業がさまざまな消費促進に取り組み、
道内の牛乳の売れ行きが前年より5%伸びたりした結果、廃棄は免れました。
釧路市内などに工場を持つよつ葉乳業は工場を24時間稼働させ、保存期間が長い脱脂粉乳の生産量を通常より2割増やしたそうです。
道内の各農協は春に向けて農家に生産を抑えるよう呼び掛けています。そのために乳量が落ちるなどした牛を「廃用牛」として出荷する動きが拡大しています。
廃用牛は一般的には、搾乳を終えて精肉などに向けられる牛を指しますが、今はまだ搾乳できる牛をやむなく廃用牛として出荷している農家さんもいます。
ところが、生産調整の影響で競りにかかる頭数が増えたため、廃用牛の競りの価格が下がっています。
生産調整で生乳の収入が減るだけでなく、牛自体の値段まで下がる「二重苦」で、酪農家の経営に大きな打撃に・・・。
生乳は生産増加が続いてきました。これは国が貿易自由化を見据えて、酪農経営の大規模化を促し、生乳の生産拡大を主導してきたからです。
「環太平洋連携協定(TPP)などで、乳製品の輸入が増えるのは国産が足りないからだ」との見立てで生産拡大を進めました。
その結果、全国で生産量が伸び、供給過剰となっています。国産が足りないからではなく、安価な輸入品が買い求められているんだという状況を
甘く見てきた国の失政だと指摘する専門家は少なくないそうです。
2006年にも消費低迷から生乳の生産調整が行われたことがあります。その後には経営が行き詰まって離農する農家が全国的に相次いで、生乳不足を招きました。
今回、酪農家の離農や生産基盤の弱体化につながることがあれば、乳製品の安定供給が揺らぐだけでなく、地域の経済や社会にも大打撃です。
生産基盤を守るために国の最大限の支援は待ったなしです。さらに、消費拡大へ官民一体で取り組むのももちろんですが、私たち1人1人もできることがあるはずです。
まずは、牛乳を飲みましょう。体質的な問題がない人は、ですけどね。
最近は「乳和食」が注目されています。味噌や醤油といった伝統的な調味料に牛乳を組み合わせ、食材本来の風味や特徴を損なわずに食塩やだしを減らし、
おいしく和食を食べてもらう料理法のことです。健康的な食事と思われている和食も、実は塩分量が多かったり、カルシウムが不足がちだったりするそうです。
実は、コクやうまみを有してカルシウムも豊富な牛乳がその弱点を補うという事。
例えば、みそ汁にだし代わりに牛乳を入れれば塩分は半分で済んでコクも出るとか、納豆に少し垂らしてよくかき混ぜるとたれも半量で十分とか。
別海町の上西春別中学校では3年前から、生徒が授業で和食作りに取り組んでいるそうです。

2022.0401 O.A 「オーストラリアのワイン」 [varied stories]

鈴木雅章さん(翻訳者・ライター)

オーストラリアでは、よく飲まれているのはワイン。 オーストラリアでは飲酒できる年齢は18歳から。 2021年9月までの1年間の統計では、4週間に1回以上、
お酒を飲んだ18歳以上の割合は70%弱。 このうちワインを飲んだという回答が46%で最高。
次がビールで約36%。かつては飲酒の76%をビールが占めていたそうですが、ビールを飲む人の割合は近年、減少傾向にあるそうです。 よく飲まれているのは自国もの。
世界のワイン生産量のトップ3はイタリア、スペイン、フランス。2020年の統計では1位のイタリアが約49億ℓ。 オーストラリアは約10億6000万ℓで世界5~6位ぐらい。
ワインの年間消費量 ワインの年間消費量トップはアメリカで、20年には33億ℓ。フランスとイタリアが25億ℓ弱で続き、オーストラリアは6億ℓ弱で10位。
オーストラリアは安ワインから高級ワインまで幅広いレンジのワインを生産、販売しています。現在、最も安いワインはボトル6豪ドル(約530円)ぐらい。
カスクワインと呼ばれる箱入りワインであれば、5ℓ入りで13豪ドルぐらいで売っているとのこと。ボトル(750ml)換算で2豪ドル(約180円)になります。
そのワインの中での変りものについて伺いました。オーストラリア国内ではTreasury Wine Estatesというワインメーカーが最大手で、市場シェアは13.5%。
ペンフォールズやウルフ・ブラス、リンデマンズ等のブランドを持っているそう。 このメーカーのブランドで2012年につくられた「19クライムズ」というのがあり、
このボトルのラベルは昔の囚人の写真なのです。もちろんホンモノ。
オーストラリアはかつて(1788年から1868年までの約80年間)英国の犯罪者が送られてきた流刑植民地だった歴史があります。
19種類の罪を犯し、有罪になった場合(全員ではないですが)オーストラリアに流されてきたのですが、その19種類の犯罪をモチーフにしたブランドです。
また、アメリカのラッパーのスヌープドッグとのコラボレーションでできたワインもあるそう。これはオーストラリアワインとカリフォルニアワインのブレンドで、
スヌープドッグの写真がラベルに使われています。 https://aus.19crimes.com/
オーストラリアにはワイナリーもたくさん。ワイン生産地が65カ所、ワイナリーが2156、ワイン用ブドウの栽培業者が約6000、あるとされています。
2021年のオーストラリアのブドウ畑面積は146,244haと推定され、そのうち南オーストラリア州が52%、ニューサウスウェールズ州が24%、
ビクトリア州が15%を占めているそうです。 また、オーストラリアの2021年のワイン輸出額は20億3,000万豪ドル(約1,790億円)で、国別ではイギリスが1位、
2位がアメリカ、3位が中国でした。日本向けは8位だったそうです。
※写真は鈴木雅章氏からお借りしました。
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