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海底音響測距とウェーブグライダー(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1_ウェーブグライダー投入.jpg 写真2_海上のウェーブグライダー.jpg
現在陸上ではGPSなどの人工衛星を利用した衛星測位システム、英語では Global Navigation Satellite System、略してGNSSが使われています。
衛星測位システムによる観測で、陸上に設置され基準点の変化を正確に測定すること、つまり地面の微小な動きを測ることで、地殻変動を把握しているそうです。
陸上の観測は国土地理院が行っており、全国の基準点の変動の状況は国土地理院の「地殻変動情報表示サイト」で見ることができます。
ちなみに釧路周辺では桜ケ岡の朝陽小学校に基準点があり、過去10年間の結果などを見る事ができ、これにより釧路では西北西向きに力がかかっていることがわかるそう。
さて、海中では衛星から発信される電波は減衰して使えないので、海底の地殻変動を把握するには、もう一工夫、二工夫ぐらい必要になります。
その計測手法が「海底音響測距」。正確には衛星測位・音響測距結合方式と呼ばれているそうです。
海上は衛星測位を利用、海中は音響を利用することで、海底の地殻変動を把握することが可能となりました。
人工衛星による衛生測位システムで海上の船の位置は正確に測ることができます。海底には、海底に基準点となる海底局を設置し、その海底局の位置は船をゆっくり
移動させながら船と海底局の距離を繰り返し測る事で求める事ができるそう。船と海底局の距離を音響により繰り返し測る事から「海底音響測距」と呼ばれているのです。
特に音響測距については、海況、つまり表層の波や海水の構造などが誤差の原因になるので、いかに精度を上げるかということが課題だったそうです。
海上保安庁の長年の努力、実績により、近年その手法が確立されたことで海底局の位置を正確に決めることができるようになったと。
ただ、海底局の位置を正確に把握するためには、船でその場所に行き海底局との距離を計測する必要があります。
また音響で精度を高めるためには、繰り返し音波を出して海底局との距離を測る必要があるそう。このため、一つの海底局に対して、船でゆっくり移動しながら
500~1500回位繰り返し音波を出し精度を高めるという作業が必要なことで、常時連続で計測ができるわけではないのです。
陸上の様に無人で観測できると良いのに・・・と思いますよね?そこで登場するのがウェーブグライダーという無人の海上観測プラットフォーム。
JAMSTECでは船舶を使わず計測する手法としてウェーブグライダーを使った衛星測位システム音響測距結合方式の計測に取り組んでいるそうです。
ウェーブグライダーは波による上下の動きを推進力に変える事でいつまでも海上を移動することができるそう。音響測距に使っているウェーブグライダーは全長が3mほど。
厚さのあるサーフボードのような形をしていて、海面下8m位に波を推力にかえる翼の様なものが深さ方向に何枚か並んでいるとの事。
また進む方向等を陸上から制御する為の衛星通信システムや音響測距するための装置、太陽電池パネルなどが搭載されているそうです。
いったん投入すると、陸上からの指示で複数個所に設置されている海底局に移動し繰り返し音響測距をすることが可能。
「今のところ、1~2ヶ月の運用となっていますが、この期間に北海道釧路沖の千島海溝南部から本州常磐沖の日本海溝に設置された複数の海底局で測距を行うなどに成功して、現在も5月上旬に投入されたウェーブグライダーで日本海溝で音響測距を行っています。」
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真(左)は船から投入されるウェーブグライダー(写真提供:JAMSTEC飯沼卓史グループリーダー)
・写真(右)は海上でのウェーブグライダー(写真提供:JAMSTEC飯沼卓史グループリーダー)
●プレスリリース記事:https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20200930/

2022.0617 O.A 「今、何を撮る?」 [varied stories]

逸見光寿さん(写真家)
https://coju.info/

大好きな冬を終え、春には一体何を撮っているのでしょう?今回は海ではなく、陸のお話しです。
まず、以前からどうしても気になっていたという雄別炭鉱跡のこと。
廃墟は怖くてあまり行かないそうですが、ここはいつか行ってみたいと思っていた場所なのだそう。
冬は雪深く、夏は草が生い茂りすぎるので、行くなら春と思ったそうで・・・。
「とにかく建物(雄別購買会跡)に差し込む光が美しい。この建物の内部は数年前までは落書きだらけ、瓦礫だらけだったそうですが、
近代化産業遺産に認定されたからか落書きは消され、床もすっきりして言いました。でも廃墟はあくまで自己責任で。携帯も圏外だし、思いっきり熊が出そう。」なんて。
朽ちて行く美しさ、人工のものが駆逐され、自然の力が強くなっていく、そのせめぎ合いみたいなものが素敵なのだそう。
ただ、病院跡にも行ってみたいそうですが、心理的なハードルが高い・・とおっしゃっていました。
そして、春ならではの被写体といえば。。。逸見氏によるとタンポポと新緑と。
北海道の場合、春を象徴する花は桜ではなく、タンポポだと思うそうです。一面に黄色の花が咲く様子はとても綺麗。
写真のタンポポを撮影した場所は鹿追町で、トムラウシ温泉に向かう途中で撮影なさったそうです。
そして、新緑はグリーンの色も様々で、中でも明るい緑が美しい季節。「5~6月は北海道のベストシーズンですよね。真夏と違って緑が生き生きとしていて・・・。
さらに虫がまだ少ないのも良いとおっしゃっていました。確かに然りです。
※写真は逸見光寿氏からお借りしました。
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