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Henri Matisse and Marie Laurencin [close to you <art編>]

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会場に入ってすぐ圧倒されるのが、苦悩と救済をテーマにルオーが心血を注いだ連作「ミセレーレ」全58点。
力強いタッチに目を奪われます。喜びや哀しみ、怒り・・・。直線に並ぶモノトーンの連作は穏やかでかつ美しくもあります。
ジョルジュ・ルオーは、フォーヴィスムに分類される19世紀~20世紀期のフランスの画家。
ルオーは、パリの美術学校でアンリ・マティスらと同期だったこともあり、フォーヴィスムの画家に分類されることが多いのですが、ルオー本人は画壇や流派とは
一線を画し、ひたすら自身の芸術を追求し続けた孤高の画家だったという記載があります。
その後広がる華やかなコーナーはシャガール。
ギリシャを舞台とした物語をモチーフにシャガールが夢とファンタジーを込めて描いた版画集「ダフニスとクロエ」等々。
そして、今回ご紹介いただいたのが、アンリ・マティスの「ポルトガルの尼僧の手紙」17世紀の尼僧の恋文をモチーフに見事な数の尼僧を描いています。
少ないもので10数本の線で、多くは20本に満たない線で描かれる尼僧の表情。
展示されている尼僧は14人と、思いきや実は1人なのです。その時々の表情を見事に少ない線で完成させる技術と感性はものすごい!の一言です。
ぜひ実物をじっくりと見比べて見てくださいね。
そして、マリー・ローランサン。柔らかいタッチとパステルカラーの穏やかな色彩の油絵で有名ですが、この版画の作品も一眼でローランサンとわかります。
色はついていません。でもローランサンなのです。どうしてなのでしょう、不思議です。男性と女性がそれぞれ描かれた作品。
同じ様な柔らかい優しいタッチなのに、それぞれが男性と女性とはっきりと分かります。版画を作成することで油絵にどんな表現を試みたかったのでしょう?
その時代に生きていたらお聞きしたいことがたくさんあるのに・・・と思った私です。
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(ヨーロッパ版画の花束は9/4まで北海道立釧路芸術館で開催中です。)

2022.0824 O.A 釧路赤十字病院 内科 古川真氏 ~1~ [close to you <dr.編>]

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古川劇場のはじまりはじまり〜ではないのですが、今回から3回に渡って血圧・糖尿病、ウイルスをテーマにお話ししていただきました。
まずは血圧ってなに?血管の中を血液が流れていく勢い。血圧をはじめて測った人は誰でしょう?馬の血圧を測ったのが最初。
1733年、イギリスのスティーブンヘールズ医師で牧師の方が、血圧を皆に見せようということになり、まだ麻酔がないので、馬の頸動脈に長いガラス棒をさしました。
その時に赤い血がガラス棒の中を上がっていくのを見て、これが血圧と見せたのがはじまりなのだそう。動物の体の中をその様に血液が巡っていることを証明して
みせたのです。これをどうやって人間に応用したのでしょう?1890年代になり、イタリアのリバロッチという方が今の血圧計の原型(水銀を使用)を考えたそう。
血圧を測ることができるようになって130年位しか経っていないのです。血液というのはほぼ水と一緒の重さ。水銀は液体だけど金属なので、水の13.6倍重いのです。
ガラス棒を使った時に上がった高さはだいたい290cm。もし血圧計を水で測っていたら3m位の高さの機材を使わなければならないということなのです。
血圧の単位にはHgが使われていますが、それは水銀の元素記号。馬で測ったのが290cmH2Oを13.6で割ると、だいたい210mmHgになるそう。
ですから30cm位の高さの血圧計があれば、馬の血圧も測ることができるということになるのです。
その後、ロシアのコルトコフ医師が開発したのが、聴診音法。上腕の動脈を圧迫し、続いて減圧した時に生じる血管音を聴診器で聴き取りながら血圧を測定する方法です。
これが、最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)を客観的に測定した初めての方法とされています。
さらに、当時はその血圧が重要か重要でないのかはわからなかったのです。年をとって血圧が高くなるのは当たり前だと考えられていました。
それが高血圧は良くないのでは?といった事件が・・。1945年ヤルタ会談が開かれました。アメリカからルーズベルト、イギリスはチャーチル、ソ連はスターリンが参加。
その時実はルーズベルト大統領は心不全でヘロヘロ状態だったそう。ヤルタ会談が終わった後、彼は脳卒中で亡くなってしまったのです。その時の血圧が300-190。
ただ、その当時の主治医たちは血圧を下げるための手段がなかったのです。実は、高血圧がまずいと提案したのは医師ではなく、生命保険会社。
1911年位から生命保険会社が保険に入る人たちの血圧を測り始めたのです。すると、どうやら血圧が高い人は病気になりやすいと気づき始めたのが1940年代くらい。
血圧が140-90が、病気が多くなる境目になりそうと生命保険会社が見つけたのです。その頃から利尿剤や血管拡張剤等が出てきたそう。武器ができてきたのです。
さらに、色々研究調査も進み、血圧をあげるホルモンがあるのでは?とか、腎臓の方から出てくる血圧をあげるような成分が発見され、それをブロックすることにより
血圧をコントロールする。武器がどんどん増えてきたそう。それが今につながってきたのです。
血圧が高くなる原因は主に3つ。血管の硬さと塩分と血圧をあげるホルモン。身体にとって負担にならない食べ物をとり、身体を動かすことが重要ということの様です。