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みんなで考えよう海洋ゴミ問題 〜3(黒田 寛編) [fun science]

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南の海や南国のリゾートのビーチでは、現在、海洋ゴミの問題が深刻化・顕在化していることは余り知られてはいないかもしれません。
さて、今回は、陸や海から捨てられた大量の海洋ゴミ、特にプラスチックゴミが大海原の海面付近を漂い、どこに行くのか?というお話しです。
10年程前に出版されたマーカス・エリクセン氏の科学論文では、海流のシミュレーションを使い、仮想的な海の中で、仮想的に海洋プラスチックゴミを漂流させ、
さらに、実際に観測した海洋ゴミの分布や量的な関係を使い、どの海域に?どのくらいの海洋プラスチックゴミが海面付近にありそうか?ということを計算したそうです。
そこで、北太平洋には、亜熱帯循環流内に浮遊する海洋プラスチックゴミが溜まりやすい場所があることがわかりました。
「すごく雑に説明すると、北太平洋の亜熱帯循環というのは北太平洋の西岸(日本側)から東岸(アメリカ側)に広がる時計回りの循環で、その北西の流れが『黒潮』。
黒潮は日本の南岸にそって東へ流れます。そして日本から離れた後も、東へ東へと流れ続け、果ては北太平洋の東岸にまで達します。さらに、東岸に達すると時計回りに
3時の方向から9時の方向に向きを変え、その後は西へ西へと流れ、再び南から黒潮に合流するような循環を作ります。」
この亜熱帯循環内やその周辺で海洋ゴミが浮遊しやすい・溜まりやすい特徴があるとのこと。その理由は、黒潮のような海流ならびに亜熱帯循環が存在することで、
まるでゴミがベルトコンベアにのって運ばれ、さらに、海上風が作る流れ(エクマン流)が海面付近を漂う海洋ゴミを集積する効果があること等が考えられるそうです。
そして、北太平洋の南国リゾート地の多くがこの亜熱帯循環内にあり、ハワイもまたその一つ。さらに、ハワイ北東部とカリフォルニアの丁度中間位の海域に
「太平洋ゴミベルト(GPGP:Great Pacific Garbage Patch))」と呼ばれる海域があり、特に、海洋ゴミが集積しやすいことが知られています。
さて、海洋プラスチックゴミが海面付近に集積しやすい亜熱帯循環域ですが、世界には5つの亜熱帯循環があります。南北太平洋に一つずつ、南北大西洋にも一つずつ、
それと南インド洋に一つ。これら5つの亜熱帯循環域では様々なサイズの海洋プラスチックゴミが集積しやすい特徴があるそう。
さらに、マーカス・エリクセン氏の科学論文で強調されている事は、南半球では北半球よりもずっと沿岸で暮らす人口密度が少ない。
南半球での海洋プラスチックゴミの発生が北半球よりもずっと少ないにもかかわらず、南北半球の亜熱帯循環でも北半球と同程度の密度で浮遊プラスチックゴミが集積している可能性があるということなのです。これは、海の流れがあることで、海洋ゴミは異なる亜熱帯循環の間を、あるいは、北半球-南半球の間を飛び越えて
簡単に移動してしまう(世界中にばらまかれること)を意味していると黒田氏。
さらにさらに、この論文で強調されていることは、世界の海に浮遊している約5mm~0.33mmのマイクロプラスチックが当初予想された量よりも少なく、
とんでもない量のマイクロプラスチックが海面付近から消えているという結果だったのです。
どの様に海面から消えていくのか?それには、様々な生物化学物理過程が考えられているそうです。
想像できる範囲では、浜に打ち上げられる可能性、鳥などによって陸に運ばれる可能性、紫外線により0.33mmよりもさらに細かく砕かれる可能性、
この他、プラスチックに生物が付着することや、粘土のような無機物とくっ付いて密度が大きくなって沈む可能性、プランクトン・魚などの生物がプラスチックを誤食し、その糞と共に沈む可能性、誤食した生き物そのものが海底方向に移動して沈む可能性、海の中には生物の糞や死骸などの『有機物』がたくさんあり、それらが凝集し
ゆっくりと沈む時にマイクロプラスチックが取り込まれて一緒に沈む可能性等々、多くの生物化学物理過程が考えられているとの事。
いずれにしても、海洋生態系の中にプラスチックが入り込んでしまうと、想像を超えたプラスチックの行く末を考えないといけないということは間違いないと・・・。
「南国のビーチを想像する際に、海洋ゴミ問題がその背後に潜んでいる事実を少しでも想像してもらい、きれいな海をとりもどす大切さを感じてもらえたらと思います。」
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/2MWHNNL0OT4AxZ8u7HyS1M

キタサンショウウオに関する卒業論文(照井 滋晴編) [nature treasure]

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福岡 九州大学の学生がキタサンショウウオに関係するテーマで卒業研究をしてくれたというお話し。
そのテーマは「釧路市におけるキタサンショウウオと太陽光発電所の共生についての研究」市の天然記念物であるキタサンショウウオが太陽光発電施設の建設ラッシュ
によって生息環境を失ってきているという問題に対して釧路市がどう対処していくべきなのかを提言してくれているそう。
「太陽光発電施設の建設ラッシュとキタサンショウウオの関係については、私も度々紹介させていただいたり、新聞等で何度か取り上げられていて、少しずつ問題意識が
世間に広がってきたかなと思っていましたが、まさか九州の学生さんが研究として取り組んでくれるとは思っていなかったので驚きました。」
それは釧路湿原を擁する釧路市と鶴居村、標茶町それぞれの太陽光発電施設の建設によって生じる諸問題に関係する課の職員に対しヒアリング調査を行う方法で実施。
ヒアリング調査の結果、釧路市はキタサンショウウオの生息地で何らかの開発行為をする際には天然記念物の現状変更の許可申請を設けているものの、
博物館担当と市役所の連携がうまく取れていないこと、許可申請を提出された場合にそれを否決する理由事項が存在していないことから直接的に太陽光発電施設建設の
抑止力にはなっていないということがわかったとしています。 これは本当にそうだと照井氏。書類を揃えれば生息地を更地にする場合でも許可が出るので、
規制としての実効性は低いと言わざるを得ない感じと。 そもそも許可申請もなく、いきなり生息地を更地にしてしまう業者もいるそうで、天然記念物の現状変更の許可申請だけだと効果が薄いのはまちがいないとの事。 また、卒業研究では現状を打破するには条例やガイドラインの策定によってむやみな建設に規制を行うのが妥当であるものの、生態系の保全と太陽光発電所の建設に関する条例が制定された前例が全国的にないこと(景観についてはある)、条例を制定したとして実際に有効性をあげられるか
わからないこと、キタサンショウウオの認知度が低いこと、市の担当課が不明瞭になっていることが条例制定のネックとなっていることが明らかになったとのことでした。
鶴居村や標茶町の場合は、自治体が小規模であるが故に条例ないしガイドラインの策定がスムーズに行われたという背景があり、比較的大きな自治体である釧路市の場合は行政の分担を適切に行った上でキタサンショウウオに関係する担当の明確化を図ることが必要だろうとしています。
今後は教育の観点からキタサンショウウオの認知度を高める事や住⺠への土地の返還制度の普及でキタサンショウウオの間接的な保全も求められると結論付けているそう。
「この研究で指摘された現状や課題については、私自身もなんとなくそうだろうなと思っていたものと合致しますし、それを地道な聞き取り調査によって
具体化してくれて、今後の課題がより明確になった気がします。 研究の成果については、釧路市の関係各課にも伝えられているのだろうと思います。
こういう問題や課題があると指摘された釧路市は耳が痛いと思いますが、釧路市以外の方が、丁寧に調べて考察してくれたわけなので真摯に受け止め、今後の対策に
生かしていっていただきたいと思います。 」
今回の研究の結論の一つに、キタサンショウウオの認知度の低さに問題があるというのがありましたが、本当にそうだと感じるそうです。
より多くの地域の方々にキタサンショウウオのことを知って、愛着を持ってもらえれば、太陽光発電施設が乱立することで、キタサンショウウオという天然記念物になっている生物が減少している事に問題意識をもって下さる方々も増えると思うとおっしゃっていました。今後はより一層キタサンショウウオの普及啓発に励みたいとも・・・。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4jE0JJ1l6kdpxDvmn1Ooj3

on the runway at the New York Fashion Show [close to you <art編>]

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ドクターとしてデザイナーとしてお話を伺ってきたDr.Maaya氏。
実は去年ニューヨークコレクションでランウェイに登場なさったのです。彼女の大きな目標はパリコレ。そもそもロンドンで勉強なさったのですが、ロンドンではパリコレを成功させて、復讐というか、恨みつらみをはらしに行き、否定された私がここに帰ってきました!と披露したいと。
反骨精神を持ち、活動なさっている彼女としてはいつかそれをやりたいと思っているそうです。「ロンドン留学時は全然うまくいかなくて、自分で打開策を見つけられずに苦労していました。落ちこぼれていましたよ。そんな途中で入国拒否に会い、帰ってくるはめに・・」だから絶対に成功してやる!という気持ちがなおさら強く芽生えたと
おっしゃっていました。
本当の目標は?パリコレに行き、作品をランウェイで見てもらい、「こういう面白い服を作っているのは誰なんだろう。あっ!!この人なんだ」となれる様に。
デザイナーとしての大きな目標はそこにあるそうです。
「2019年にバンクーバーでファッションショーをやった時に感じたのですが、SNSのこの時代、英語での拡散力が圧倒的に違うと感じました。
エディターの方とかインフルエンサーの方とか世界中に発信してくれて、世界各国からオファーが来るんですよ。」
実は今年、パリコレを狙っていこうかな?と爆弾発言が。。。ファッション業界も奥が深く、真の意味でのパリコレに出るというところまでいかないかもしれないけれど、まずでパリでファッションショーをやるというのは今年中にやりたいと思っていると。世界中からオファーはもらうので、そういう意味ではラッキーな方かななんて。
「ロンドンから帰ってきて去年で10年経ったんです。10年目くらいで日本のどこかでファッションショーをやるというのが目標だったんですね。
Dr.Maayaのブランドを2013年に設立し、6年目くらいでバンクーバー。だからすごく早かったと思います。」
とにかく何度もお話を伺ってきたのですが、まさに有言実行の人という事をあらためて感じました。
一番気になったニューヨークでのランウェイの感想・・・「何が違うってニューヨークファッションウィークを世界中から見に来る方がたくさんいらして、
会場も関係者プラス一般の方含め満杯で立ち見状態。多分注目度も高いと思うんです。結論はとても評判がよかったです。
最後ランウェイが終わった後、あなたの作品は華やかでカラフルですごく良かったわと言って下さったんです。」
通常はデザイナーは少しだけ顔を出すだけなのですが、彼女はランウエィに出て、さらに踊ってしまう。出品作品は12点。テーマはガーメントオンガーメント。
洋服の上に洋服がのっている。普通の服の上にいっぱい服が付いている感じ。クローゼットをイメージした様子、床に洋服が積もり積もっている様子等を表現したり。
ただ、それが伝わっていたかどうか・・それは課題。彼女的には表現したいものは全て落とし込んだと思っているとおっしゃっていました。
「エントリーもまだしていないけれど、もし出ることができるなら9月の終わり目指して頑張ろうかな?テーマはまだ非公表。これから最終調整してと言った感じです。
でも出来上がるまでは本当に戦争で、本当に戦いで、苦しい日々になるんですけどね。」パリコレまで半年ほど。まだまだ目が離せない日々が続きそうです。
※写真の一部は、折居麻綾氏からお借りしました。

2023.0322 O.A 杉元内科医院 院長 杉元重治氏 [close to you <dr.編>]

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5月8日から現在の感染症の2類相当から5類になることが閣議決定され、また、3月13日からはマスクは原則外ではしなくても良い等々色々covid19に関することが変化する中で、私たちはどうするのが良いのか?伺ってみました。「外をあまり人が歩いていないところでマスクをして歩くというのは必要ないと思います。医療者が考えるマスクの重要性があり、やはり人混みやスーパー等原則はまだなかなかマスクを外せないのかな?と思います。」
これから自分の判断でマスクを外すということになると思うのですが、病院やクリニック、介護施設等は原則マスクをつけるのが必要かなとおっしゃっていました。
そう考えると私たちの生活もそんなに急に変わる感じがしません。「この3年間の皆さんの努力がありますから、そうそう変わらないかなと思います。ただ、少しずつ緩和していかなければならないというか、緩くしていく方向にはありますね。3月10日現在新型コロナウイルス感染症の数も減っていますし、当初懸念されたインフルエンザとの同時流行も一気に広がるということなく沈静化した事もあるので、マスクの効果もあったのかな?と思います。」ただ、一方で子供の学校生活においてずっとマスクを
つけての3年間、顔を見ながら勉強したり、学校生活をともに過ごすことができなかったというのは可哀想だと誰しもが思われていることと思います。
さて、5類に移行した後で何が変わるのでしょう?2類と5類では完全に考え方が違い、2類は本当に閉じ込めなければその感染症が拡がることによって人命が失われていく
とか、社会的に麻痺が起こってしまうことが推定される時に出されるもの。また、5類というのはインフルエンザウイルスと一緒なので、普段気をつけていれば
かからない。気をつけていないと感染を広めてしまうという感じ。「一番最初の豪華客船の時のように、わけがわからないものが流行ったというところから比べると、
だいぶ新型コロナウイルスもオミクロン株になって色々と変異が出てきているとは言われているのですが、だんだん弱くなってきている印象がありますね。確かに感染力はそれなりにあるのですが、重症化してデルタ株の時のように肺炎になってすぐ命が危ないというようなものからはだいぶ変わってきた感じですね。社会全体が免疫がついてきたというのもあるのかな。対処法があるということで5類になるということなのでしょう。」
さらに杉元氏がお聞きになった聖マリアンナ医科大学の國島広之教授の講演ではワクチンの効果、オミクロン株対応の2価ワクチンはかなり効果があり、感染抑制には
つながっていると実際データとしては出ているというお話があったそう。「僕らもオミクロン株のワクチンを打っている人と打っていない人だと、打っている人の方が
かなり軽く、軽いので逆に見つけにくいというのもあるのですが、でも軽くすんでいるケースが多いように思います。」さらにワクチンの効果は3ヶ月ほどと。
今後はそのワクチンを65歳以上の方にとか、基礎疾患がある方にとか・・という話が出てくることになるのでしょう。
「皆さんがノーマスクで歩けるようになるまでには、ワクチンは必要な人には届けなければならないと思います。ただ、全員がやらなければという事ではないと思います。3年前から比べると新型コロナウイルスが全くわからない状態、怖れていた状況からは改善してきていると思いますが、マスク外してok、イコール何でもすぐフリーだと
いうことにはならないと思います。今しばらくゆっくり緩和していくようにしていただければと思います。」

しんかい2000移設秘話(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1分割作業中のしんかい2000.jpeg写真2しんかい2000移設直前の記念写真.jpeg
JAMSTECの50周年記念誌に「しんかい2000移設時の記憶」というタイトルで寄稿したのでご紹介いただきました。今回は陸のお話しです。
「しんかい2000」は」1981年に完成してから2002年引退するまでに1411回潜航し、海底熱水活動の発見など数多くの成果をだしています。
引退後、現在はどうなっているかというと。。。。神奈川県藤沢市にある新江ノ島水族館で保管、展示されています。「この展示は2012年から始まっているのですが、
当時、私は広報課長としてこの展示に深く係わっていたので若干苦労話っぽくなってしまうかもしれません。」と。
「しんかい2000」は、停船後「しんかい6500」の整備を行う潜水調査船整備場で保管され、一般公開などで公開されていました。その頃、自律型無人探査機の開発という新しいプロジェクトが立ち上がり、その開発スペースを確保するために、「しんかい2000」の保管場所を空けなければならなくなりました。
満澤氏は入社当初からの居室が「しんかい2000」の整備場に隣接し調査のない時期は毎日の様にみていたので、また実際に潜っているという親近感からしっかりとした展示場所を探したいという思いがあったそうです。当初から屋外であれば受け入れてもらえるという施設があったそうですが、屋外だと傷みは避けられないので何とか屋内で
展示してもらえる施設は無いか探す努力をしたのです。
屋内展示を条件に受け入れてもらえる施設の公募を出し、移設費や管理費は展示側が負担するという厳しい条件だったそうですが、「しんかい2000」の相模湾での潜航数が最も多いということで、相模湾に面している地元神奈川県の「新江ノ島水族館、えのすい」が手を挙げてくれたそう。ところが、えのすいが想定していた展示スペースは、水族館の入り口付近の目立つ場所。ただ、台風の直撃を受けると危険であることがわかり、別の場所で検討しなおす必要が発生する等、さっそく問題が発生。検討の結果、タッチプールを移設することで安全な場所を確保してもらえることになったとおっしゃっていました。
問題は、空中重量24t、全長9.3mの「しんかい2000」をどう運ぶか。陸路は道路の条件からそのままでは運べないので、分解することができないか建造メーカーの営業に相談。それはできないという回答。尾翼と補助推進器は外せるので、それで何とか陸路輸送できないか、母船「なつしま」で江ノ島の港まで運んで陸揚げできないか、
ホバークラフトで新江ノ島水族館の前の砂浜に陸揚げできないか、自衛隊に頼んで大型ヘリで空輸できないかなど、色々考えたそうですが、いずれも現実的ではなく常に
頭の中を「移設問題」が巡っている状況が続いていたと・・・。そこで「しんかい6500」の運航チームに再度相談。「しんかい6500」の点検整備のためにJAMTECに来ていたメーカーの整備担当の方を紹介してもらいました。その方は「しんかい2000」の構造などにも詳しい方だったのです。「確か中央より少し後ろ側で分けられるはずだ」という彼の記憶から、中央より少し後ろ、前から三分の二位のところで二つに分けられる事がわかりました。その結果、陸路トレーラーで移送できることになったのです。
2012年5月の夜、大勢の職員や、同じ建屋内で整備中の「しんかい6500」の見送りを受け、「しんかい2000」の陸送が始まりました。
新江ノ島水族館えのすいまで距離にすると30数km。夜9時に本部をでた大型トレーラーは途中運送会社の車両基地で一旦待機し、翌早朝少し明るくなってから再開。
無事に、水族館の前の国道に停車しました。そこでドライバーによる搬入動線の確認、信号が赤の間にバックでトレーラーを新江ノ島水族館の搬入スペースに入れることができたのです。「一般の車を待たせること無く、まさにプロの技でした。無事に移送できた事と、ドライバーの見事な車両捌きに感動したことを覚えています。」
さて、到着後、クレーンでトレーラーから降ろされた「しんかい2000」は、小回りの利く小型の台車で、チタンボルトのことを気にしていた親方の指示の下、
壁や天井すれすれに展示スペースへの引き込みが行われました。
現在「しんかい2000」は、深海をイメージしたダークブルーにライトアップされた展示スペースで沢山の方々の見学を受け、第二の人生を送っています。
「春休みなどで東京方面へお越しの際は、是非「新江ノ島水族館」まで脚を伸ばして「しんかい2000」の実機を見に来てください。
ということで最後は「えのすい」の回し者になってしまいましたが、ご興味のある方は、是非!ということで!!!」
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真(左)は分割作業中の「しんかい2000」右奥には「しんかい6500」
・写真(右)は「しんかい2000」移設直前の記念写真
YouTube(しんかい2000の移設):https://youtu.be/LmyYsJVCw9Q

2023.0317 O.A 「大阪桜おすすめspot」 [varied experts]

田伏伸次さん(レコーディングスタジオクーパー代表)
https://studio-cooper.jp/

そろそろ桜の話題も出る季節。釧路はまだまだ先ですが、大阪に桜を見に行かれるという方もいらっしゃるのかな?と思い、popo氏におすすめスポットをお聞きしました。
「大阪ってどこよりも桜が多い感じがします。」と。ですから大阪にはたくさんの桜スポットがあるそうです。
まずは、大阪城公園。とっても大きな公園です。大阪城天守閣をはじめとする歴史的建造物もあり、歴史を感じつつ桜を愛でることができるスポットです。
総面積が105.6haとか。大阪の中心にあり、お城や桜を眺めながら美味しいものを食べることができるそう。popo氏も昔はカラオケセットを持って行かれたそうです。
そして、万博記念公園。あの太陽の塔がある大きな自然公園。ショッピングモールもあるそうですが、ここも桜の数がものすごいそうです。
太陽の塔と桜のコラボも素敵でしょうね。
そして、そしてpopo氏が個人的におすすめなのが天王寺動物園。ここは桜ごしに通天閣が見えるそうです。
アベノハルカス側、天王寺の入り口から入り、坂道沿いに桜が咲いていて、そこから通天閣が見えるそう。周りには新世界。ですから最後は串カツを食べて帰ることも。
ハルカスで観光して、動物園に入って桜を見ながら通天閣を眺め、帰りに新世界で串カツ。ミニマムに遊べ、食を楽しむことができるコースです。
街中にどこでも桜を楽しむことができるそうですから、そのシーズンめがけて出かけるというのも良さそうですね。
「梅はもう終わった感じですね。でもだいぶ暖かくコートは着ませんね・・・冬物ジャケットくらいかな?」
他にもたくさん桜spotはあるみたいですから、ご自身で探して自分なりの桜spotを見つけてみるのも良さそうです。
※写真は田伏伸次氏からお借りしました。
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2023.0316 O.A 洋楽 [chord 5]

・Round About / Yes
・The Court Of The Crimzon King / King Crimzon
・Englishman In New York / Sting
・99 / TOTO
・The Show Must Go On / Queen
~今回の洋楽編、後世に残したい洋楽セレクション特集です。
セレクトはToshi氏。今回の出演は、Toshi氏&midoriでお送りします。Toshi氏ラスト出演です!

冬の造形美は?もう春?(境 智洋編) [fun science]

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今シーズンラストかも?ということでほぼ1年前に出かけた場所と同じところに行って見ました。
え?凍ってない・・・
樹氷とか、アイスバブルとか、フロストフラワーとか確か綺麗に見えたはずなのに・・・。
やはり今年は暖かいのでしょうか?もう一箇所、コッタロ湿原の方に車を走らせ・・・川を見たのですが、ここにも氷が見られず、通常の川が流れているだけ。
再度、塘路湖に戻りました。あれ?鳥がさえずっている。もう春なの?というくらい。
夜明け前の写真はまるで夕日の写真に見えてしまいます。暖かい格好で出かけたのですが、それも必要ないくらいの気温。もちろんマイナスではありますが・・・。
阿寒湖も今年は水が上がってくるのが早いと聞きました。どうやらこの塘路湖もそのようです。
ただ、氷が溶けたり凍ったりするほんの一瞬の美に出会えました。
そして、鳥が滑ったかのような痕跡にも出会えました。冬の造形美よりも一瞬の美しいものがそこにはあったのです。
自然はあまりにも正直で、何もかも感じて動いているようにも思えます。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4irANElTf9Qtl8SOuQfHFy

カマイルカの真実(笹森 琴絵編) [nature treasure]

①笹森カマイルカ.jpg ②笹森カマイルカ.jpg ③笹森カマイルカ.jpg
北海道沿岸には一年を通して、様々な生き物、もちろん鯨類も来遊します。初夏にはカマイルカたちが大群となって押し寄せて晩夏や秋口までなど一定期間滞在します。
春に冬の棲み処を出て日本海側を北上しそのまま道北に向かうグループもいれば、津軽海峡を抜けて太平洋沿岸各海域に向かうグループもいるそう。
また、日本海側だけでなく太平洋側にも同様に北上してくるグループも存在するそうです。カマイルカは夏の北海道の海を代表する鯨種で、函館、小樽、室蘭、苫小牧、
釧路、根室周辺、北方四島、知床半島周辺等いたるところで観察されています。彼らの来遊目的は餌と繁殖。夏の餌場として、また子育ての場として利用しているのです。
「自らの命を次代につなぐため、ひたむきにひたすらに、生まれ育った海を目指してやって来ると思うと、あまりに愛しくて目頭が潤むのです。」と笹森氏。
ところで、昨年末、そのカマイルカにまつわる面白い報告があったそう。日本大学の生物資源学部などの研究チームによれば、全国の水族館で飼育される野生由来の
カマイルカの遺伝子を解析した結果、日本沿岸のあちこちで観察されているこの種が実は2系統に分かれることがわかったという事なのです。以前から日本沿岸でみられるこの種には少なくとも2つの系群がああると言われてきたそう。一方は日本海側の一部に、他方は広く太平洋と日本海の両方にそれぞれ分布し外観も異なると。
両タイプの比較写真をみると、確かにどちらもカマイルカだそうですが、一方は彼女が見慣れたオンザ眉毛の前髪ぱっつんに口紅をべったりでくどめの模様の存在自体が
濃い印象。もう一方は全体的に体色が薄く、丸顔で子供のような顔つきでさっぱり系の印象だったと。生態などで相互の違いが更に明らかになれば、これまでずっと
“カマイルカ”と呼ばれてきたものの一部に別名がつけられて、新種として登録されるかもしれないということなのです。
実は、鯨類界では2019年にも、“ツチクジラ“という種が、ツチとクロツチの2種に分けられたばかり。羅臼海域では以前から地元の漁師さんや観光船のスタッフから
「全体が真っ黒にみえてしかも小型のツチがいる」と報告が上がっていて、“マルタ”や“カラス”等とツチクジラとは別名で呼ばれていたそうです。
今回、漂着個体の遺伝子データを蓄積し分析した結果、それまでツチと呼ばれていた通常のツチとは別種であるとわかったということなのです。
「羅臼のツチクジラのケースは、まさに科学の進歩に加え、地元でデータを集めた方々の努力のなせる成果だと思います。姿や骨からの分類では同種、あるいは少し違う、程度の識別しかできず、それに応じた種判定がなされていたのですが、形態だけでなく遺伝子からもアプローチできるようになり、見かけで分類や判別をしていた
過去の結果を覆すケースが出てきたのです。」実際に噴火湾や釧路沿岸の来遊する個体からDNAを取れない限り断定は難しいのですが、噴火湾近海には太平洋と日本海の
双方に広く分布するタイプが来ているらしいと。たぶん釧路沿岸で見られるカマイルカについても、噴火湾と同様のタイプの可能性があるそうです。
今回のカマイルカの調査研究は、座礁したり捕獲された個体のDNAに限定したもので、今まさに生きて海を泳いでいる個体から得た情報ではないそう。
確かに、野生のイルカの遺伝子採取はハードルが高いと言う事なのです。「私自身、何十年も関わってきたカマイルカのことを実は何も知らないのかもしれないのです。
鯨類について私たちが知っているのは、まだほんのひとかけらの真実にすぎないのです。まして彼らの棲み処=海という謎に満ちた領域について私たちが学ぶべきことは、無限にあるのだろうと思います。」
※写真は笹森琴絵氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/3VsPQHDyCI09BnaAeqI6OH

what is abstract painting? [close to you <art編>]

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IMG_6650.jpg今回は趣向をいつもと少し変えまして「そもそも抽象画て何?」というお話を武束学芸員と沼前学芸員と共に探ってみました。
前回の時に沼前学芸員と話題にしました坂口登の《REFLECTED MIND AND VISIONARY PLAY》
3連の作品で構成されているもの。真ん中が抽象で、両脇には動植物が描かれています。
真ん中の部分の赤は何を意味しているのか?太陽?生命?この抽象部分は宇宙を描いている?と頭を悩ませたのですが・・・。
この作品について武束学芸員に伺ってみました。「私は真ん中はお寿司のガリみたいなものかな?って思います。
いわゆる箸休め的なリセットする存在みたいな・・・」
おそらく学芸員が10人いらしたら、それぞれの回答は10パターンあると思うのです。それくらい抽象画とは理解が自由であり、
見た方の感性に委ねられるものが大きいのでは?と私は思います。
この作品の動植物は放射線状に広がるように描かれていて、さらに大きさは様々。では具象とは一体何?という問題になり・・・。
見たまま、そこにあるがままを描くのが具象であれば、スケールの違いはどう説明したら良いのでしょう?
さらに海の生きものや陸上の生きものが一緒に描かれています。もしかするとこれ自体も抽象?
そもそも抽象とは・・・物体の線や面、色彩を取り出して画面を作りあげた芸術作品として一般的に説明されます。
ですから作品の解釈は大胆な言い方をすると、見た側の解釈に任されているのかもしれません。
ぜひ、今回の作品展をご覧になって、抽象とは?具象とは?を一緒に考えていただけると嬉しいです。
(抽象の世界は3/26まで釧路市立美術館で開催中です。)