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ストーリーからおう〜9月の紅葉狩(中西 紗織編) [varied experts]

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観世流の季節表では、9月の能として記された能が一番数が多くて迷ったのですが、今回は《紅葉狩》をご紹介いただきました。
「先日、東京の国立劇場で歌舞伎を観てきました。歌舞伎の《紅葉狩》。能から題材をとった歌舞伎は少なくないですが、能の《紅葉狩》から歌舞伎につくられた演目。
夏の「鑑賞教室」という機会で、国立劇場の前には中学生くらいから高校生、大学生らしき学生さんたちも先生方の引率で大勢整列。
開場すると、一階の一等席が若い人たちでいっぱいでした。「鑑賞教室」なので、はじめに歌舞伎役者さんによる解説があり、その後本編の鑑賞というプログラムでした。
暗転になった途端、アニメの「鬼滅の刃」のテーマ曲「紅蓮華」の冒頭部分が大音量で流れ、びっくりしました。客席も、いつもより若い人たちが多かったせいか、
「ジワジワー」と「ジワが来る」というか、最初から会場全体のワクワク感が一気に盛り上がった感じがしました。
歌舞伎は伝統芸能ですが、当世の流行などを活かす、つまりその時代にとっての現代の人々に響くものを積極的に取り入れる舞台芸術なのだと改めて思いました。」
「鬼滅の刃」は一言でいうなら鬼退治のお話、《紅葉狩》も鬼退治のお話し。私たちは、春は桜を愛でてお花見に、秋は紅葉を見物に行きます。能《紅葉狩》は、平維茂とその家来たちが狩りをするために、紅葉の美しい山に分け入っていくと、紅葉狩を楽しみ酒宴に興じている美女たちの一行と出会うところから物語が展開します。
能《紅葉狩》・・・観世小次郎信光(1435~1516) 世阿弥の甥、音阿弥の第七子
登場人物・・・・・前ジテ:上臈、つまり貴婦人(実は鬼の化身) 後ジテ:鬼神 ツレ:侍女(3~5人)ワキ:平維茂(たいらのこれもち)平安時代中期の武将 
         ワキツレ:維茂の家臣 オモアイ:美女の一行の侍女 アドアイ:武内(たけうち)の神(しん) 八幡神に仕える神さま
場所・・・・・信濃の国 戸隠山(現在の長野健長野市)
季節・・・・・晩秋(旧暦9月)(曲柄:五番目 鬼物)    
●作り物が運ばれます:囃子方が出てきて座ると、一畳台と紅葉山、布をかけた縦長のテントの様な形の作り物が運ばれてきます。そのの頂上には紅葉があしらってある。
●前ジテ、ツレ、オモアイの登場:最初にシテの高貴な雰囲気の女とツレであるその侍女たち、そして狂言方のオモアイの侍女が登場。女たちの「時雨を急ぐ紅葉狩。
深き山路を尋ねん」という謡で能が始まる。元々高貴な身分だったのに、今は落ちぶれてしまって・・と寂しげな物憂い様子の美女と侍女たちが静かに酒宴を始めます。
●ワキ、ワキツレの登場:ワキの平維盛とワキツレの家臣たちが登場し、鹿の声を手掛かりに狩りをしていこうと山のさらに奥深くへ分け入っていきます。
この能は、鬼が正体を現して襲ってくる恐ろしさもあるのですが、やはり、紅葉の美しい風情にも引かれてか、和歌が多く出てきます。
●ワキは前ジテ一行に気づき通り過ぎようとする:山蔭に人影が見えるので、維盛が家臣に命じて、「いかなる者ぞ、名を尋ねて来たりそうらへ」と尋ねにいかせます。
戻ってきた家臣は、名前をたずねても「名おば申さず。たださる御方とばかり申し候」と言うのでした。そして、いかにも高貴な雰囲気の女性たちが山奥に幕を張り屏風を立てて酒宴の最中だと。それを聞いた維盛は、邪魔をしては申し訳ないので、わざわざ馬から下りてくつを脱ぎ、静かに通り過ぎようとしたのでした。
●前ジテがワキを酒宴に誘う:維盛に気づいた女は呼び止め、酒宴に誘います。美女が維盛のたもとにすがって引き留める。断ることができず、一行は酒宴に加わる事に。
●前ジテとワキが酒を酌み交わし(クセ)、前ジテは舞(中ノ舞)を舞い姿を消す(中入):地謡の謡に、「仏も戒めの道は様々多けれどことに飲酒を破りなば……よその見る目もいかならん」つまり、仏もいましめた飲酒やよくない行いは他人に見られたらどうしよう、という維盛の後ろめたいような気持ちが謡われています。
ところが女は、「思へばこれとても前世の契り浅からぬ」と言うのでした。そして、酒宴は進み、前ジテが舞います。中ノ舞という舞が前半場面の最後の見せ場。
優美な舞を披露する女は、維盛が眠りに落ちたとたん、様子がおかしくなり、だんだん鬼の本性が現れてくることに。決して目を覚まさないようにと姿を消します。
●アドアイ:武内の神が登場しワキに太刀を授ける。ここでの狂言方の役割は重要。八幡さまに仕える神さまが維盛の夢に現れ「あの女たちは鬼の化身。
だから早く起きて戦え」と。そして、鬼退治のための太刀を授けます。
●後ジテ登場:ワキとの闘い。維盛が目覚めると、辺りに雷鳴が響き渡り、地鳴りがして風も吹き荒れています。今までそこにいた美女たちが化け物の姿になり、
火炎を吐き炎を降らして襲ってくる。しかし、夢の中で授かった太刀がそこに本当にあるのです。維盛は八幡さまのご加護を信じ、あわてることなく襲い来る鬼神に
立ち向かい、ついに倒すのでした。「鬼揃」という小書がつくと、鬼神が数人登場し、大立ち回りとなります。よくある装束としては、赤頭、つまり赤い長い髪を
振り乱したような鬘をつけ、緋の大口、赤い大口という袴をつけているので、舞台全体に赤い色がいっぱいになり、紅葉狩に相応しい色彩感といえるかもしれません。
いかにも高貴な雰囲気の美女が、実は正体は鬼であり、美しい姿で誘惑し、本性を現すと命をとろうと襲ってくる。「恐ろしいお話ですが、わかりやすく、
見た目にも美しく、動きも多い、人気の高い能だそう。機会があれば歌舞伎の《紅葉狩》もご覧になると、能と歌舞伎の違いも味わっていただけるかと思います。」

2022.0909 O.A 「釧路旅行」 [varied stories]

菊田真寛さん(会社役員)

3年ぶりに夏休みを利用して、生まれ故郷釧路へ帰った菊田氏、今回、あらためて、釧路・厚岸・白糠・釧路湿原を訪れ、本当に嬉しかったと語ってくださいました。
「40年という長い時間ではありますが、あらためて変化・進化を強く感じました。年齢も重ね少しずつ、歴史、寺社、美術品に興味が湧いてきたんですね。
その様な視点で故郷釧路にあらためて触れると、すごく興味深いこと、歴史や変化を感じました。」
まず、温根内木道。実はご存知なかったそうです。直接湿原の四季に接することができ、風を感じて湿原を感じる・・・宝ですと。「もっと、日本中、インバウンドでも
時間をかけてでもアピールして、観光の目玉にしてはと強く思いました。」
そして・・・厚岸。実は、ひがし北海道で建築物の国の重要文化財があるとご存知なかった菊田氏。
厚岸では国泰寺が有名ですが、真宗大谷派 正行寺本堂は、平成4年1月に東北海道で初の指定を受けたと聞き是非行ってみたいと思っていたそうです。
1799年建築、明治42年、解体して船で厚岸に輸送、明治44年移築落慶法要が行われたそうです。ご住職ご家族の方に、ご無理を申し上げ本堂に入れていただきました。
本堂内部は、まず広く天井が高いことにびっくり。欄間には牡丹等、また、天女の彫刻が素晴らしかったです。色彩も多色で、今に伝えています。
「また、ぜひお参りしたいと思っています。」とおっしゃっていました。
厚岸大橋も今年50年ということで、この時期を機会に、かきえもん、厚岸ウィスキー、などなどもっと宣伝して、観光地として発展してほしいと思ったそうです。
ということで、夏休みは、久しぶりに好きなこと、好きなところへ行き、リフレッシュできたと。
釧路の時間は再発見あり、感動ありの旅でしたと最後に嬉しいお言葉をいただきました。
※写真は菊田真寛氏からお借りしました。
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