SSブログ
close to you <dr.編> ブログトップ
前の10件 | 次の10件

2024.0214 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏 [close to you <dr.編>]

cd0214森田dr.jpg
今回はいよいよ始まる新病院の建築予定についてのお話しです。
今年の夏以降に、現在の正面駐車場に病院が建築開始されます。完成予定は3年後。ですからその頃の医療受給を目指した細かな計画の修正が必要になる可能性があるとのこと。お話しはあくまで現時点での予定です。
・救急外来で全ての検査が完了出来るよう現在のCTだけでなく、MRIや血管造影も配備(重症患者に対するハイブリッドERの計画)
・入院が予定される方の外来手続きや薬の管理・事前準備や検査・事前説明・文書作成が1箇所で完結。(総合患者支援センターの設置)
・外来の診療科間の区別を無くし混雑する科に臨機応変にスタッフ移動を可能に。(外来フリーアドレス化)
・外来の点滴ベッドや観察室を全科共用とし安全性を確保(処置室・待機ベッドの共有化)
・救急外来からの体調不良者を随時診療科に関係なく入院管理する専用病棟を新設(救急科病棟:コロナ5類移行後に既に現病院で開始)
・臓器別入院病棟として診療科の垣根を低くする。
・感染病棟は患者数の増減に合わせて陰圧隔離壁を適宜変更できる仕組み(いつでもパンデミックに対応可能に。)
・売店やアメニティ、資料室などを充実させたアメニティスペースの確保(春採モールを設置)
さらに、手術室はかなり広くなるそう。部屋数も増え、新設されるハイブリッド手術室も設計されているそう。また、市民講演会やイベントが出来るような可変分割式の会議室・講堂も新設。
2027年の新病院完成後に古い建物を解体した跡地が広大な駐車場になる予定です。それまでの間、新築する建物を現在の正面患者駐車場の場所に建築するため、建築中は駐車場のエリアが狭くなるとのこと。ですから立体駐車場の利用がメインになるそうです。
一軒家を建てるのにも建築コストや燃料費の高騰が問題になっていますが・・・そのあたりはどうなのでしょう?最終的な建築費用の目標額は昨年の設計段階と変わらず、建築設計・実施会社と相談しつつ建築方法の効率化や建材の選択を行って価格高騰に対応していく予定と・・・。病床数を現在の643床から599床に減らして病院を運用。現時点では新築病院の病床数は535床に減らし、将来の地域医療に合わせていく計画とおっしゃっていました。また、より経済的な建築を目指し、調整を逐一行うとともに、ゼロカーボンに配慮した建築や使用開始後のライフサイクルコスト(40-50年と言われる新たな建築物の寿命を考慮した運用経費)も考慮してエネルギー供給を行うことを考えているそうです。
「実際に2027年の病院使用開始時には、今より人口が自然減少していく中で、安定した地域医療を供給するために計画を変更する可能性もあると思います。地域医療の維持ということを最低限実現するつもりで計画を進めていきます。」と教えていただきました。

2024.0207 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏 [close to you <dr.編>]

cd0207森田dr.jpg
釧路は以前から地震の多い地域として知られ、1990年代の釧路沖地震から定期的に災害に見舞われています。市立釧路総合病院は昭和59年に建築された当時の建築基準で、比較的新しい「耐震建築」の基準を満たしていて、大規模な損壊は1993年釧路沖地震・2003年の十勝沖地震でも経験していないそうです。
災害により病院の機能が一部でも影響を受けたのは、最近の5年間では・・・
・2018年9月6日 北海道胆振東部地震のブラックアウト(全道停電)
・2020年6月5日 送電線の落雷による瞬電による影響
・2021年9月6日 近隣の高圧電線の断裂による病院停電
ブラックアウトは全道で停電したので、釧路では地震などの直接被害が無い状態で電力だけが止まり、生活上もガソリンのくみ上げが出来なかったり、通信機器の障害が起きました。発災が早朝4時、病院の使用電力が少なく、この時は自家発電装置が無事動き、かつ消費電力が少ない状態から稼働を始めたため、当日の外来や入院・手術を延期できるものは延期し、緊急で必要な医療のみに電力使用を限定することで乗り切ったそうです。
また、2020年6月5日は地震ではなく、大雨・天候不良に伴い、十勝地方で釧路への送電ケーブルが落雷により瞬電(電力の急激な変動により停電はしないものの医療機器に影響が出る)を起こすということが・・・。これも時間帯が早朝で5時頃、通常診療には影響が少なく、維持電力で通電していたMRI装置の電磁ブレーカーが故障したため、そのMRI装置が使用できなくなるという被害だったと。MRI装置は電力使用量が最も大きい医療機器の代表格、強力な磁場を作るために大量の電力を必要とします。ブレーカー自体も修繕に多額の経費と時間を要したとおっしゃっていました。現在の病院は電子カルテをはじめ多くのIT機器が常時動いていて、停電や瞬電で影響を受けます。大きな電力を必要とする医療機器を如何に把握して停電時に休止するかがカギに・・。病院ではその他に、CTや手術室、検査室、エレベーターなどで電力を使っています。自家発電装置は、重油や軽油を用いて発電を行い、48時間から72時間継続して電力を供給出来ますが。連続運転すると一旦止めたりして再起動する必要が。「幸いこれまではその間に電力供給が復旧しましたが、自家発電を一時停止するときにまた停電になるため、その時には人工呼吸器などが止まらないように、そのような生命維持装置には内臓バッテリーで30分から数時間の間は稼働が継続するような仕組みになっています。」
実際の病院の電力使用量は、夜間や早朝では、500kW以下の電力使用量なので、自家発電装置1台700kWの電力で賄えるそう。朝から外来や手術、検査MRIなどが稼働し始めると電力使用量が増加し、平日日中ピークの1400kWを迎えると、1台の自家発電装置では賄えないのです。
また、2021年9月6日、近隣の高圧電線の断裂による病院停電。月曜日の10:02という時間。直ちに自家発電装置を稼働させたものの、再開時の電力が自家発電装置の最大発電量より多かったため、再開直後にまた停電。この時、エレベーターやMRI、CTといった大容量電力装置を全て停止させ、スイッチを切り、もう一回自家発電装置を起動させ、事なきを得たそうです。その間、22分あまり、電子カルテも使用できず、外来はそのまま重症の方を除いて診療がキャンセル。
このような場合に大きな消費電力の医療機器のスイッチを止めてから電力再開を行うことが必要であることを学ぶ貴重な機会になったとおっしゃっていました。
電力以外に、現在の病院は隣の熱供給公社から蒸気ガスの供給を受けていて、これが止まると冬期間の暖房や滅菌装置、高圧ガス装置の駆動が出来なくなるそう。また、透析など大量の水を使用する医療機器の維持は水道の供給が止まるような大地震・津波被害があると、病院自体は水没しない高さにはあるものの病院機能は止まります。「自家発電装置による電力供給により緊急処置や入院中の治療を継続しながら、災害時の医療をどう展開するかについて、防災計画を立てておく必要があると実感しました。」発災時間帯が平日・休日の何時なのか、ということは診療密度にも影響するのですが、重要なのは病院を動かす人材が居るかどうかにも関係します。「今回の能登半島地震で得られた教訓を是非とも釧路でも生かしていくために、災害対策訓練を重ねていく予定です。」

2024.0131 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏  [close to you <dr.編>]

cd0131森田dr.jpg
バスやタクシー運転手、建設業、学校関係、農業・漁業関係者などで専門職の成り手が減っているという話を耳にすることが増えました。専門的な技術を身に着けるために訓練する期間が技術の進歩で長期間になる傾向があり、数年・数十年のスパンでかかります。特殊技能になればなるほど、養成には時間が必要。どの職種も高度化・専門化してきているので、多くの特殊技能者の養成が必要になるのです。そんな中、4月から働き方改革が始まります。超過勤務時間は具体的に何時間になれば致死的かという定義があります。勤務時間を1日8時間として、週5日で40時間、月に合計した超過時間勤務が100時間を越えないように残業を認めるかどうかという契約を労使で結ぶ必要が・・・。これは運送業や建設業、医療従事者等、どうしても業務のニーズで超過してしまう職種にも共通に当てはめられ、超過時間勤務で睡眠不足になり健康被害を生じる場合の報道された例では毎月120〜140時間を超える超過勤務をしているケースが殆どだったそう。よって、超過勤務になりつつある人には、交代要員を設けて休ませる等の対応を職場では検討しなければならないのです。その専門職の不在、人材不足のある職場では、例えば長距離トラックの運送業で荷物の到着を遅らせてでも過剰労働を避けるという工夫が必要。ただ、建築が間に合わないのでどうしても超過勤務を要したり、医療現場では患者さんを救うためにはある程度の残業をやむを得ない範囲として、特例が認められる場合があるそうです。これを、医療分野では「暫定特例水準」として研修中の医療スタッフや教育機関の職員、救命救急部門の職員に設けているとのこと。医療では、時間外にどうしても超過勤務で宿直医が働いたり、呼び出されて手術をしたり・・ということが多く、なかなか時間外勤務を削減出来きないというのが現実。「従って、病院にかかる側の意識も今後変えて頂いて、もし翌日の時間内に診察を延期しても大丈夫なケースはできるだけそうしていただき、救急受診や救急車の使用を控える工夫が必要です。消防署の隊員の疲労軽減や救急車の効率的使用にも繋がります。いわゆるコンビニ受診を出来るだけ減らす工夫を皆さんにご協力頂きたいのです。」最近では、その判断がわからない場合、電話で受診をどうしたら良いか病院に相談をすることで、緊急受診の判断を医療従事者に相談したり、他の方法や自宅での観察注意点を連絡したりという事が行われているそうです。単純に医師や看護師をはじめとする専門職の業務を分担し、一般職でも代行できるような業務を分け、専門職にしか出来ない仕事を集中することで多くの患者さんに対応出来るようにする。また、スーパーのレジで電子会計をするようなデジタル化・自動化で、専門職の業務負担を軽減して超過時間勤務を少なくする試みが増えていると・・・。様々な工夫や、業務分担を職場で推進することで、過労死ラインの超過時間(月に140時間以上)となる職員の数は最近2年間の業務改善でかなり減ってきたとおっしゃっていました。「多くの職場で許容範囲とされる月100時間以内に調整できつつあります。それでも特定の職場ではどうしても超過時間が出るんですよね。」一方で、急激な勤務制限を厳格に行いすぎると、必要な方に医療サービスが提供できなかったり、地域医療に支障が出ては困るので、超過勤務負担が生じやすい分野や特定の専門職・個人に、連続勤務が28時間を越えたら18時間を強制的に休ませたり、毎日の睡眠を確保する休息時間が9時間確保できなかった場合は、1週間以内に休息日を追加する等の規制が今年の4月から法制化。「さらに4年後をめどに、必要な人材確保や業務負担整理、病院間の協力や人員配置を進めていくことで、全ての地域で超過時間勤務が許容範囲になることを目指して現在動いている状態です。」

2024.0124 O.A 林田クリニック 院長 林田賢聖氏&新潟大学 医歯学総合研究科 榛沢和彦氏~2 [close to you <dr.編>]

cd240124.jpg
先週の続編です。まずはそもそもなぜ医学の道に榛沢氏がすすまれたのか・・・から伺いました。実は子供の頃、交通事故にあい入院生活を送り、そこから病院というものに興味を覚えたそうです。専門は心臓血管外科。最初は心臓移植や人工心臓等に興味があったそうです。現在もそのような関係のこともなさっているそうです。
榛沢氏は大変お忙しい毎日を送られているのですが、モチベーションはどう保たれているのでしょう?と林田氏。「一つのことをやっていると飽きちゃうというか・・・色々なことをやっている方が良いというか・・・。知っちゃったことは広めなくてはならないというのがあって、災害についても避難所に皆がいけるわけではないし、そこで知ったことはみなさんが経験できるわけでもないので、そこを分かったことを還元していかないとダメかなって。それは医学でも同じだと思うのですが、自分が知ってしまったこと、自分で研究したり、経験したことで判明したことが皆のためになるのであれば、周知していかなくてはならないと思うんですよ。」
収録後、榛沢氏よりメールを頂きました。ここでご紹介させていただきます。
〜10月22日に十日町、11月12日に小千谷でエコー検査したところ、417人中82人に足の静脈に血栓が見つかりました。中には治療が必要な方もおられました。さらに足の血栓による軽度の脳梗塞が疑われる人も見つかり、まだまだ震災直後の車中泊の影響が残っており、今後も継続的な被災地での検診が必要と考えられます。〜ということで、エコノミークラス症候群を発症した方の中には現在も治っていない方、悪化している方もいらっしゃるとのこと。
災害から10年以上経っても、当時の車中泊が原因でカラダに問題が出ている・・・そうならないためにも
まずは、自分たちがその知識を知ることが大事です。
榛沢氏のクラファンhpから(前回の続きです)・・・・・・・・・
私たちの研究アプローチは、災害被災地でDVT検診を行ってデータを検討する現地調査の方法です。新潟県中越地震及び中越沖地震被災地の小千谷市、十日町市、長岡市、柏崎市では20年近く毎年検査を行っており、200人以上の被験者を集めることが可能になっています。また東日本大震災被災地の陸前高田市、大槌町でも100人程度の被験者を集めることが可能です。また災害後のDVTは長く残存するため、災害から時間が経っても発災当時の避難環境を推測することが可能です。地震発災8年後の聞き取り調査結果では、DVTを検診で指摘されたことがある被災者では、脳梗塞は4倍、虚血性心疾患は2倍、肺塞栓症は73倍多いという結果が出ています。またDVTの発症には、環境だけではなく血液が固まりやすい遺伝的素因が関係している可能性があります。そこで複数の被災地の地域住民を対象に血栓症や健康被害についての調査を行いたいと考えています。またDVTが見つかった方には、弾性ストッキングの着用を勧め、重症な場合は病院受診を勧めます。また収集した大規模データをもとに、避難所環境に関連する健康被害を予防することを目指して、災害対策に貢献します。

2024.0117 O.A 林田クリニック 院長 林田賢聖氏&新潟大学 医歯学総合研究科 榛沢和彦氏~1 [close to you <dr.編>]

cd240117.jpg
今回はzoomで新潟大学の医歯学総合研究科 先進血管病、塞栓症治療、予防講座特任教授の榛沢氏にご出演いただきました。以前から災害医療についてご紹介したい先生がいらっしゃると林田氏からお聞きしていて、やっとそれが実現した感じです。心臓外科医の第一人者であり、災害医療(特にエコノミークラス症候群等)にも熱心に取り組まれている先生とのこと。以前釧路でも講演なさったことがあるそうです。色々な海外の現地に赴き、エコノミークラス症候群の予防検診をなさってきたそうです。最初のきっかけは新潟県中越地震。車中泊が3万人ほど。エコノミークラス症候群がすごくあり・・というよりも突然死が多かったと。これはおかしいと調べに行ったところ、脚に血栓がいっぱい見つかり肺塞栓症に・・・はじめはその報告も信じてもらえず、苦労なさったそうです。それが今では車中泊でエコノミークラス症候群=危ないということが常識になったと思うとおっしゃっていました。
以下、少し前まで行われていたクラウドファンディングの榛沢氏の紹介文からのご紹介です。
ーーーーーーー私たちエコノミークラス症候群予防・検診支援会は新潟県中越地震で肺塞栓症による死亡者が出たことから地元の医療関係者などで結成され、エコー検査を行い車中泊経験者でDVTが多発していることを発信しました。その後の震災でもエコー検査を行い、東日本大震災避難所では多数のDVTが見つかり避難所の生活環境と関連あることがわかりました。またイタリアの避難所を視察した経験から日本の避難所に欠けている、水洗トイレ、暖かい食事を作るキッチン、簡易ベッドの3つを48時間以内に準備するTKB48を提言し避難所・避難生活学会を立ち上げ初代会長をつとめました。なお現在も被災地でエコー検査などを行っています。
私がこの研究を通して成し遂げたいことは、まず震災被災地で車中泊や避難所でDVT(足の深部静脈血栓)ができてしまい、それが残っている人たちの健康被害の予防です。DVTはガイドラインで6ヶ月の治療で終了して良いことになっています。しかし我々のフォローアップ検査ではDVTが20年近く残存し続けている人も少なくなく、その中に症状が悪化したり、肺塞栓症になる人もいます。さらに脳梗塞、心筋梗塞などの循環器疾患が多いのです。そこで定期的にエコー検査を行うと同時に動脈硬化の検査も行って指導して健康被害を予防したいと考えています。またエコー検査を続けることで世界的に少ないDVTの超・長期予後と合併症が検討できます。次にDVTは避難所環境と関係あることからDVTを指標にして避難所環境を改善したいと考えています。日本の避難所環境は先進国で最低レベルです。これは避難所環境を客観的に示す指標が無かったことも原因です。DVTは本人の意志で発症させることはできないため客観的に避難所環境を評価できます。避難所でDVTを検査することで災害対策本部が避難所環境を把握し改善することで災害関連死が予防できると思うのです。ーーーーーーー
現在、情報共有の重要性をとても感じていらして、さらに立法府との連携をとらないと変わらないと思うとも。災害救助法をかえないといけないと。現在の市町村中心でやっているとその力の差で準備が変わってしまう。それは不公平になってしまうこと。ですから県や道や都が中心になってできるようなカタチにしないと格差が出てしまうとおっしゃいます。「本当それは嫌というほど見ているんですよ。」
榛沢氏は今、質の高い車中泊というものを提唱しているそうです。ユーザーとメーカーと地方自治体とマスコミが協力しないと危険性の低い車中泊は実現できないと。ただ、我々が知っていなければならない知識として教えてくださったのは、セダンタイプだと大人2人が限度。幅は80cm、長さは身長プラス10cm。まずはスペースの確保。それから水分の準備。水分とるためには必ず近くにトイレがあること。我々が知ること、自治体やメーカーが準備すること、マスコミが知らせる。長野県はそれをhpでも公開しているそうです。

2024.0110 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏  [close to you <dr.編>]

231200森田dr.jpg
腕時計や指輪、眼鏡などのセンサーを利用して普段の生体情報を記録することで、長年の蓄積された情報から、僅かな変動を捉えて生活習慣病の対策が可能になる生体デバイスの開発が進んでいます。いわゆるウェアラブルなデバイスがたくさん増えてきたということ。
コロナで身近に売られていた指尖脈波動脈酸素分圧モニタ(O2サチュレーションモニタ)がご家庭にもある方も多いと思います。過去には血液を動脈から注射で採血して調べていた血液中の酸素濃度が装着するだけでわかるようになったのは25年ほど前のことだそうです。
また、実際に全身麻酔の手術中に病院では、この酸素分圧モニタの他にも常時、筋肉の運動誘発電位モニタリングで麻酔の深さをチェックするシールを患者さんのおでこなどに貼り、全身麻酔の調節に役立てているそうです。顔の表面にある筋肉の運動反応を調べながら、微弱な電流を皮膚から流し、反応を読み取っています。それで麻酔のかかり具合等をチェックできるそう。
そのような病院のデバイスが一般生活にも応用されてきていると・・・森田氏。微細な生体の水分量や血管内の酸素化状態をモニターするためのシリコンシールにナノメッシュと呼ばれる装置を付け、微弱電流で端末に情報を送ります。装着しているのを忘れるぐらい軽くて邪魔にならないそうです。
例えば、寝ている人の枕の表面に装着して、皮膚からの呼吸数や心拍数・体の動き・筋肉の活動などをモニター。睡眠の深度を記録する装置は、枕の他にスタンド型や布団の中、アイマスクなどで実用化されてきているとおっしゃっていました。シート型や据え置き型では、実際に寝てみると、何かを装着されているのを自覚することなく、普段通りに生活するだけ。それが、病棟のモニターには遠隔信号で安静な睡眠が出来ているか、急なトラブルが起こっていないかを看護スタッフが見守ることが可能になっているのです(一部の病棟ですが)。患者さんにとっても、器械や点滴をしていなくても良いので、非常に違和感なく受け入れられているそうです。
そして、このような先進機器を用いて、災害時の避難所でメンタルケアを行ったり、睡眠や認知状況を解析する研究を行っている方がいらっしゃいます。慶応大学理工学部の満倉靖恵教授。新たなデバイスとして世界初の「リアルタイム勘定認識装置」を開発し、米国TIME誌の世界の発明ベスト50に先日選ばれたそうです。眼鏡型のデバイスとスマホ送信で、視線や瞬き、眼球運動などの生体情報をモニタし、つけている人が見る視野も同時記録して、何に対して感情的反応が起こったのかを遠隔記録する「気持ち録画システム」で、安全な生活に役立てようというものだそう。
確かに便利になものはたくさん世の中に溢れていて、その反面、様々な弊害もあるのが事実。良い方向に利用され、さらに私たちの生活が快適になるのであれば両手を上げて喜びたいところですが・・・。

2023.1227 O.A 杉元内科医院 院長 杉元重治氏 [close to you <dr.編>]

cd1227杉元dr.jpg
インフルエンザ感染拡大とコロナの感染がまだ続いている現状もありながら、それを含めて通常の診療、ワクチンの摂取等々終われる日々を送られています。「今年は常に追われている感じがしていましたね。」内科の先生等も縮小せざるを得ない状況の中で、現状の当番医院を維持するのが非常に大変なのは周知の事実。様々な問題を一つずつ考え、変えていかなければならないことがたくさんあるそうです。人口減、プラス高齢化が進むという現実、当然働く世代が減り、色々な職種に影響が出てくる。もちろん釧路だけの問題ではありませんが・・・。それが地方には顕著に表れている感じです。その現状をどこまで維持できるのかが課題なのです。
この時期人と会う機会が増えます。その後熱が出たり、風邪症状が出たといった事がおそらく日常茶飯事だと思いますが、そうなった時にどうするのか?「今回お話しする中での一番のキモは・・・これから当番医院や各病院、クリニック等に受診する時に診断から医療側に委ねられると、それだけでかなり時間・労力を費やすので、もし薬局にあるのであれば、検査キットを利用するようにしていただけると非常に有難いかな」と。
当番病院に行かれた方はお分かりかと思いますが、病院の駐車場がいっぱいで、とめることができないとか、夜中まで診療していたといった話が枚挙に遑がない状態。患者さんも大変ですが、医療スタッフも同じこと。やはりお互いにうまくやって行かなければならないと。まず、検査キットで自分でまずは確かめるという行為がとても有難いとおっしゃっていました。その情報が有る無しでだいぶ違うそうです。
やはり、マスク、うがい手洗い、解熱鎮痛剤の備蓄、検査キットは忘れないようにしたいと思います。
そして当番病院へのかかり方について。基本的に休日当番病院は休日診療ではなく、おおもとはトリアージ。軽症の方は軽症、重症の方をおとさないようにするというのが、当番医院や休日夜間当番病院等の役割。ただ、釧路市の今までの医療体制、今まで潤沢に人がいた時は在宅当番病院でできる最大のことはなさってきたのです。それがだんだん立ち行かなくなってくる・・・それを続けていると、緊急性のない方もいらっしゃる。今まではそれでもどうにか対応できていたそうですが、今後はそれが不可能になってくるとおっしゃっていました。
最後はアネックスホールみそので開催される催事についてのお知らせです。
ーーーーーーーーーーーー
「みんなで関わる認知症ケア セツさんが教えてくれたこと」
2024年1月21日(日)14:00〜15:30 入場無料(定員80名)
杉元内科医院 アネックスホール みその
プログラム 第一部 お芝居「ヤクルトレディ」 ひとり芝居役者 長谷川 恒希氏
      第二部 講演「できる」探しから始める認知症 アクティビティー ディレクター 桂裕二氏
問い合わせ:0154-22-2261

2023.1220 O.A 市立釧路総合病院 放射線診断・IVR科 曽山武士氏&北大病院 超音波指導検査士 西田睦氏~2 [close to you <dr.編>]

cd1220.jpg
1回の収録では終わりませんでした。。。曽山氏からどうしても質問があるということでまずはそこからスタートです。「ずっと前から思っていたのですが、国際学会で英語ペラペラで質疑応答をなさっているし、そしてこの超音波技術でしょう?超音波検査士なのに患者さんの病態と採血結果とその他全部総合して、超音波をどう役立てるかって言うでしょ?私、本当は西田先生は医師免許持っているんじゃないかと思っているんです。超音波をやりたいから隠しているんじゃないかという疑惑を持っているんですよ。」その疑惑は100%否定されました。ご自身が医師だったらここまでできなかったと思うと西田氏。「超音波を生かしたいから、その疾患の背景を学んだ、勉強したと言う感じ。超音波を生かしたいので、どうやったら生かせるかのために頑張ってきたみたいな・・・」
現在、日本超音波医学会 北海道地方会の運営委員長でもある西田氏ですが、そもそもの超音波との出会いは・・・もともと新しもの好き。卒業後札幌の太黒胃腸内科病院で超音波検査が募集中だった。見学に行った時にそこには臨床検査技師の方や薬剤師の方とかがいらして。。。こんなことやっているんだ。面白いかもしれないと思い超音波の扉を叩くことに。そこからなぜ超音波にはまって行ったのでしょう?「役立ったからですね。患者さんの診療に。胃腸科病院だったので、胃潰瘍とか十二指腸潰瘍とかの方がたくさんいらして、超音波で診て結構わかったことがあったんですよ。こんなに患者さんに役立つのであればと思い続けてきたんです。」
続いては・・・趣味のお話し。「私天秤座なので美しいもの好きなんですよね。」
「病院でお会いするとバリバリの検査士という感じですが、帰る時にあったら、すれ違った途端に女優さんかなって思うくらい。びっくりするんですよ」と曽山氏。
好きなんですよ、ファッション、靴とか服とか、海外旅行も好きですねとおっしゃる西田氏は上から下までブランドで決めていらっしゃいました。国ではイタリアがお好きだそう。後輩の方がイタリア北部のラ・スペツィアにいらっしゃるそうで泊まるところがあるので・・と嬉しそうにお話ししてくださいました。一番最初に行かれたのがデンマーク。それは学会に出席するため。ほかにはアルゼンチン、ブラジル、ニューヨーク、スペイン、ワルシャワ等々・・・。まだ他にもたくさん行かれていますが、好きなのはイタリア。ファッション、お食事、ワイン、どれをとっても美味しいから。お聞きするところはどこもここも良いとおっしゃっていました。行ってみたい国はギリシャ。あの白い壁の建物とブルーの海が見たいそうです。
釧路は4回目という西田氏でしたが、また機会がありましたら、お話を伺いたいと思います。

2023.1213 O.A 市立釧路総合病院 放射線診断・IVR科 曽山武士氏&北大病院 超音波指導検査士 西田睦氏~1 [close to you <dr.編>]

cd1213.jpg
この日のこの時間に収録を・・・と何ヶ月か前にメールをいただき、今回は北海道大学病院から超音波のエキスパート西田睦氏と共にスタジオイン。
専門学校を卒業後、札幌の太黒胃腸内科病院に勤務し、そこで超音波に出会ったそうです。当時は超音波検査がすごく珍しかったそうで、学生時代も超音波に関する教科書の資料は1.2ページくらいしか記述がなかったと。それが約30年ほど前のこと。それから超音波の世界にどっぷりと関わっていらっしゃったのです。そもそも太黒胃腸内科病院の院長が新しもの好きの方で、院長かもしくは先代の院長が、北海道内に公衆電話を初めて入れた病院だったそうです。ですから超音波検査は北大病院よりも先に入れたそう。北大から太黒胃腸内科病院に患者さんを連れて検査をなさった先生もいらしたそうです。大学病院の検査ではなく、普通の一般の患者さんに定期的に実施する様に位置付けたのは当時の先生だったとおっしゃっていました。
曽山先生とのつながりは・・・。北大病院のお腹部分の超音波検査の歴史が途絶えようとしたことがあったそうです。このままだと大学病院なのに超音波検査部門がやる人がいなくなる状況で、その時に当時札幌医大にいらした西田氏を北大病院が引き抜いたとのこと。その西田氏が検査室を立ち上げて盛り上げていっているところを横から見ていたらしたとおっしゃる曽山氏。そこで実際に研修を受けなければと思い西田氏のところへ。「もう中堅で、医師バリバリで教わることなんてないのにな・・と思っていましたよ。」
昔はCT検査はなく、その後CTが出てきた時には造影剤を使わないCTだったそう。超音波は昔からあるのでCTよりも分解能は上だと考えられていたそうです。それがある時、造影剤を使う様になり非常によく画像が見える様になりました。さらに進み、短時間でたくさんの枚数を撮ることができ、あっという間に検査が終わるというCTが出てきたのです。すると先生は放射線診断の先生なので、その画像をよまなければならない。超音波検査に時間をかけることができなくなってしまったのです。
「ところが、CTやMRIの画像は過去の画像なんです。今診ているものではなく。昨日とか先ほどとったものにレポートを書いているのです。今、患者さんがどうかというのは超音波でないとわからないのです。」と曽山氏。西田氏は超音波検査が大好き。肝臓の中の小さい血管が詰まってしまう病気があるそうで、それをライフワークとして研究なさってきたそうです。超音波の存在は西田氏にとっては患者さんに貢献できるツール。なので、もっと色々な方に使ってほしいし、もっと色々な患者さんに役立ててほしいと。現在、超音波は過小評価されているようなところもあるとおっしゃっていました。実は超音波は非常に有用な検査なのでそれを広めたいのだそう。CTとの違いは・・・CTは機械で人の手はほぼ入らず客観的。誰が見ても同じ初見・診断ができる。超音波はその診断をするための画像を自分の手で作らなければならない。自分の手がうまくなかったら診断に至る画像が出ないと。さらに、CTはX線を使うので放射線被曝がある。MRIは巨大な磁石なので体に金属があると撮れない。超音波は何もない。だから広めたいけれどやる人によってうまさがものすごく違う。無害だけれど術者に依存するということ。「この患者さんのために自分が何をできるかを考えつつ、それを出すために自分がどれだけ努力できるか・・・そこですよね。」

2023.1206 O.A 釧路赤十字病院 内科 古川真氏 [close to you <dr.編>]

古川dr3.jpg
今回は医療ではなく、旅シリーズpart2です。前回はアイスランドのお話しでした。今回はイスラエル。
2017年に行かれたそう。とにかくイスラエルに興味があったそうです。「イスラエルって日本でいうと出雲みたいなところ。文化発祥の地、宗教発祥の地みたいな・・・。今のイスラエルは1948年に建国なんです。しかもそれはかなり意図的につくられた国なんですよね。ここにユダヤの方々の国をイスラエルという名前にして作りましょうと。」高校がミッション系スクールでキリスト教の勉強をし、またイスラエルはハイテク国家ということを耳にしたり、さらに、大学院を卒業してイスラエルに留学しないかと言われたことがあったり。なにかと耳に飛び込んでくる国で、行けるチャンスがあるなら行ってみたいと思っていたそう。
ということで、ガイドブックとともにスタジオイン。地中海に面する西アジアの国。 南はエジプト、東にヨルダン。アラブ人とイスラーム文化圏に囲まれた島のようなユダヤ人の国家。行かれた時は落ち着いた雰囲気だったと。テルアビブみたいな大都会があったり。また、エルサレムみたいな昔の中東を感じる街並み。遺跡の中に街がある感じとおっしゃっていました。
圧倒的にユダヤの方が多いそうですが、その次に多いのがアラブの方。「エルサレムの街の中も区域によって住むところが決まっているんですよ。ユダヤの方の区域に行くと、黒い服を着た方が多く、アラブの方の区域では、アラビアのロレンスみたいな格好をした方がいらっしゃるんです。」
公用語はヘブライ語。ただ英語は通じるそうです。そもそも日本人自体が少なく、明らかにお客さんという感じは受けたそうです。気安くフレンドリーという感じではないそう。でも、行けるのならまた行ってみたいと古川氏。「やっぱり勉強が足りなかった。エルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム、3つの宗教の聖地があります。一神教なので同じ神様。でも価値観も考え方も違って一緒に暮らしているという、その不思議さ。」
ユダヤの方々が一つになろうと作った国なのに。。。自分たちはユダヤ人であるという共通意識だけが唯一のつながりで、それ以外はバラバラというイメージだそうです。最後に色で表すと・・・という問いに「120色のペンシルカラーみたいな感じ。全員色が違って当然みたいな感じ。1色では表せないと思います。僕らの真逆みたいな感じかな?意見が違って当然。それを戦わせるのが当然。違っていて当然だから合わせる必要がないという感じでしょうか。」

前の10件 | 次の10件 close to you <dr.編> ブログトップ